手づくりの図書館「casa della biblioteca かさでら図書館」@名古屋市南区

chocotabi vol.6
ライター
DECO KATO
加藤 デコ

名鉄名古屋本線・本笠寺駅から歩いて5分ほど。

笠寺観音への参道沿いに

私設図書館「casa della biblioteca かさでら図書館」があります。

(以下、かさでら図書館)

こちらを運営されている、

坂本直子さん、八町順子さんにお話をうかがいました。

 

本から広がるコミュニティ

最近、よく耳にする本箱オーナー制の図書館・書店。

かさでら図書館も、同様の仕組みを使って運営されており、

2023年2月にオープンしました。

運営されている坂本さん(左)と八町さん(右)です。

坂本さんが手にされているのは、

国家資格である日本浴槽設備技能士の標識。

かさでら図書館は、

以前ヒノキの浴槽を製造・販売していた場所を間借りしています。

大家さんがここでお仕事をされていたという町の歴史を

大切にしたい。

そんな思いで、この標識を保管しています。

本箱のオーナーさんは現在、約90人です。

「みなさん、個性的ですね。

今まで自分が手に取ることのなかった本をすすめてもらえるので、

世界が広がりました」

と坂本さん。

「本好き」は自分の好きなジャンルの本棚に目がいきがち。

かさでら図書館はオーナーさんごとの本棚で、

ジャンル別に分類されていないため、

多様な本を手に取るきっかけになりそうです。

 

八町さんは、

「ここでオーナーさん同士を紹介すると、

すぐおしゃべりが始まります。仲良くなるのも早いんですよ」

と目を細めます。

「待ち合わせして、一緒にお出かけされている方もいて。そういうの、うれしいですよね」。

 

本や本好きとの出会いの場になっているんですね。

 

「手づくり」から生まれる心地よさ 

集まった仲間の間で、

図書館づくりにそれぞれの特技を活かしています。

例えば、壁面の「ご利用案内」もオーナーの方が描いたもの。

坂本さんは、材料の購入から切り出し、扉の製作まで担当しました。

ワークショップを開いて参加者を募りつつ、

坂本さん自身が組み立てた本箱は全体の約3分の2にのぼります。

 

箱の大きさは大・中・小の3種類。

のぞき窓のある扉がついた本箱もあります。

思わず扉を開きたくなりますよね。

本箱と本箱の「間」(隙間)もスペースとして貸し出しています。

箱の中も、

「買える本」

「借りて読んでほしい本」

「ハンドメイドの品」…と、

オーナーさんが自由に決めています。

 

「1日にひとつ、なにかが起こる」

かさでら図書館にはたくさんのエピソードがあります。

 

図書館のお隣りは、郵便局。

ある日、郵便局に来た方が図書館にも立ち寄ってくださいました。

その日は、偶然、その方のお誕生日だったそうです。

「これも何かのご縁だと思うので」と、

記念に本箱オーナーになってくれました。

 

目の不自由なお母さんと、介助する娘さんが来館されたことも。

娘さんがタイトルを読み上げ、お母さんと相談して

本を買っていかれました。

きっと、ご自宅で

娘さんがお母さんに本を読んであげているのでしょう。

 

坂本さんと八町さん曰く「1日にひとつ、なにかが起こるんです」。

 

運営スタッフや地域のみなさんの力で成り立っているため、

公共図書館とは違うご苦労もあるかと思います。

そのうえに、

かさでら図書館のものがたりが日々つむがれていきます。

 

「10年後も、

今日と同じようにこの図書館があればいいなと思います」。

そうおっしゃるお二人。

 

ほんとにその通り!

本好き・活字中毒の

一人として、うれしい気持ちでかさでら図書館をあとにしました。

 

★おまけ

オーナーさんの手づくり品をさっそく購入しました!

 

casa della biblioteca かさでら図書館

名古屋市南区笠寺町西之門12 『かさでらのまち箱』内

開館時間などは上記でご確認ください。

プロフィール
ライター
加藤 デコ
目指せ、ソロワーク、ソロ旅、ソロ温泉。 そのために、フリーライターとしてがんばって働きます。

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