もっと光を2021! Marcus Lyall
「ロンドンのコロナ規制のレベルが、更に厳しいTier4になるらしいよ?」
「ええっ、Tier4って何?Tier3(Very High)が一番厳しい階層じゃなかったの?」
イングランドでは12月2日に二度目のロックダウンを終えた後、以前から行っていた地域ごとに段階を分けた階層型の規制に戻り、ロンドンは当時最も厳しいTier3(Very High)地区に指定されたばかり。
Tier3に入ってから美術館、ギャラリーの展示は全て閉鎖されたため、わずかに残っていた屋外展示を探してみることに…。
するとありました、サイトスペシフィックアートがロイヤル・ドックスに!
早速訪れてみます。
地図でみるとどうやら、そのアートはゆりかもめを彷彿させるドックランズ・ライト・レイルウェイ (Docklands Light Railway: DLR) 高架橋下にある様子。
DLRのウェスト・シルバータウン駅を降りて高架橋沿いを西へ。やがてテムズ川にかかるロープウェイ、エミレーツ・エア・ライン(Emirates Air Line)が頭上を通過するのが目に入ります。
ちなみにロープウェイはロイヤル・ドックスとグリニッジ・ペニンシュラの間1kmを片道5分から10分で結んでいて、最高地点は地上90mとロンドンが一望できる見晴らしは最高!片道£4.50(オイスターカードで£3.50)で、ロンドンアイの5分の1。
ロンドンを訪れた際はぜひお試しを。もちろん、コロナが落ち着いてからの話ですけれど…。
目的地に到着!ガード下のこの辺りにあるはず?見れば木製の壁の一部がくり抜かれていてそこに大きな穴が。
この手のインスタレーションは通常ならば列に並んで待たなければならないので、行列用のバリアが貼ってあるものの、Tier3エントリーのこの日は人の気なし。
ここでいいのかな?と穴に近づくと、「どうぞ試してみてください。足元にペダルがあります。」ファイルを小脇に挟んだ監視員らしき女性が寄ってきて促します。
穴を覗くと中は真っ暗。
手前にコンピューターのモニターとマイクロフォンがあって、モニターにはこんな表示が。
PRESENCE
フットペダルを踏んであなたの声を録音してください。
タイマーが切れる前にモニターに表示された言葉を言ってください。
そしてペダルをあげてください。
なるほど、ペダルを早速踏んでみるとモニターにカウントダウンのダイアグラムが現れ、言葉を叫んでみると!
遠く彼方からレーザービームの鋭く神々しい光が日の出のように現れ、たった今放った言葉がまるで天から降り注ぐかのようにあたり一帯にこだまします。
作品はMarcus Lyallの「PRESENCE」(2020)。Royal Docks Teamによる委託製作作品。音の波長に合わせて光の動きが変わるようにプログラムされています。
こちらの映像はLyallのオフィシャルサイトから、どうぞご覧ください。
横から見るとこんな感じです。
レーザービームの投影距離は300メートルほど。
遠目で見るとまるでゴーストトレイン!高架橋下を利用したインスタレーションならではですね。
Lyallは参加者によって作品が変化する大規模な光と音のインスタレーション作品で知られ、またコマーシャルな方面ではAdam Smithとのコラボレーションでの英ユニット、ケミカル・ブラザーズのライブコンサートの演出で知られている作家です。
何だか神聖な光を見た後は…そうでした、皆さまあけましておめでとうございます!2021年もどうぞよろしくお願いします。
こう書いている間にジョンソン首相の声明が行われ、冒頭で触れたTier4規制を通り越してイングランドは三度目のロックダウンに突入。
来月は記事書けるかしら?思わずゲーテのように「もっと光を!」と叫びたくなる私です。