NY Creative Interns
- Dig It! NYC Vol.56
- Dig It! NYC 藤井さゆり
ニューヨークは、休日である5月最終月曜日の「メモリアルデー」より、夏の始まり。6月に入った今、毎日蒸し暑い日が続いています。
そしてこの頃、アメリカの大学は卒業式シーズンとなります。卒業時期は人によって違いますが、卒業式はこの時期に行われます。
ニューヨークには、スクールオブビジュアルアーツ、パーソンズ、プラットインスティテュートを初めとした、数多くの芸術大学があります。世界的に見ても多くのクリエイターが集まっているニューヨーク。将来クリエイティブの仕事をしたい若者が世界中から最も多くやってくる都市かもしれません。
そこでふと思ったのが、学生達の卒業後の進路。アメリカの学生達は就職活動をどのようにしているのか。実際にアメリカ人に聞いてみたところ、学生時に企業やお店でインターンやアルバイトで経験を積み、そこで改めて正社員としてオファーをしたりされたり、というパターンが多いようです。夏休みだけを利用してサマーインターンをする場合もよくあります。
ニューヨークはクリエイティブ関連の仕事も多いですし、学生達は基本的な専門知識や技術は習得しているので、クリエイティブ系のインターンという間口は広いかもしれないのでは?と思い、クリエイティブ系のインターンの場合、特にニューヨークではどんな企業や仕事内容の募集が行われているのか調べてみたところ、NY Creative Interns(nycreativeinterns.com)というウェブサイトを見つけました。
NY Creative Internsは、まさに「ニューヨーク限定のクリエイティブ系インターン」の情報に特化したウェブサイトです。もしニューヨークで大学卒業見込み&クリエイティブ系の仕事の経験をしたいなら、このウェブサイトはかなり有効な情報源となりそうです。
メインコンテンツである求人を見てみると、ヤフーのエディトリアルインターン、ソニーミュージックエンターテインメントのコーディネーター&カレッジマーケティング、ユニクロのPRインターンの他、ツイッターやビジネスSNSのリンクトインなど、アメリカだけでなく世界的にも有名な大企業からの募集も数多く上がっており、テレビ・雑誌などのメディア、音楽、ファッション業界といった幅広い分野からも募集があります。やはりニューヨークという場所柄でしょうか。また、無給は少なく大抵は有給で、時間給ではなく常勤の案件も多くあります。
基本はインターンと言えども、採用されれば、世界を動かしていると言っても過言ではない、成功している企業で現場の仕事やそれを動かしている人々のそばで仕事を直接見ることができ、教えてもらうことができる、というのはこの上ない贅沢な経験になりそうです。自分の人生を左右する出来事になるかもしれません。
これだけの有数な大企業からの募集がリストアップされるこのNY Creative Interns。求人情報掲載の他、クリエイティブ業界からスピーカーを招いてのイベントの開催も精力的に行っています。イベントはオンラインでの開催の他、ニューヨーク内のギャラリー、大学、劇場やラウンジなど多様な場所で行われています。最前線で活躍するプロの話が有益なのはもちろんのこと、イベントに参加することによって、参加者とのネットワークづくりや、仕事につながる可能性もあり得ますので、将来クリエイティブ業界で働きたいニューヨーカーだったら参加しないともったいない感じです。
そもそもNY Creative Internsの始まりは、2010年にネットワーキングウェブサイトMeetup(meetup.com)のコミュニティからで、その後、瞬く間に大きくなったそうです。特に、フェイスブック、ツイッター、リンクトイン、タンブラーといったSNSによって、より規模が拡大されたという流れなのでしょうね。公式ウェブサイトによると、ツイッターのフォロワー数は6,830、フェイスブックのファン数は2,550とあります。結構な数です。組織の運営は主に採用側の募集広告の料金によってされているようです。
インターンというのは、雇用主にも雇用される側にとっても都合がよいシステムだと思います。雇用主にとっては経費をかけられずに済み、雇用される側にとっても、実務ゼロからのスタートで経験をつめるという他、肉体的・精神的拘束も正社員ほどなく、また、本当にこの仕事が向いているかどうかお試しできる期間でもあり、正社員になれるチャンスも含まれるからです。
また、日本でのクリエイティブ系のインターンについてネット検索してみたところ、インターンやその他ポジションの求人情報がメインコンテンツであるのは同様ですが、NY Creative Internsのように、クリエイティブ系のインターンに特化しつつ、若い学生達をサポートするような活動やイベントを、ここまで盛んに行っている例は少ないように思います。これはきっとニューヨークだから、ということが言えるかもしれません。特にニューヨーカーはネットワーキングが好きですし、前述の通り、アメリカでは人とのコネクションが仕事につながることがよくあるからです。フェイスブックやリンクトインを初めとするSNSがアメリカ発祥であり、ここまで大きくなっていることになるほどなぁと思った次第です。
■NY Creative Interns nycreativeinterns.com
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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