女性だけではなく、男性にも知ってほしい!拡大する「フェムテック」マーケット

vol.22
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

先月Black History Month(黒人歴史月間)だったアメリカ、今月はWomen’s History Month(女性史月間)となるのですが、これは、女性たちがこれまでに行った様々な業績や貢献について学び、称えようというもの。期間中、3月8日には「International Women’s Day(国際女性デー)」があり、日本も含め世界中でイベントが予定されていますが、状況的に今年はほとんどバーチャルでの開催が多いようです。

 

というわけで今回のコラムでは、女性が主役、そしてほとんどの企業で女性が代表を務める「フェムテック」について書こうと思います。「フェムテック」とは、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を合わせてできた言葉で、ネットやスマホなどのテクノロジーを使い、女性の健康問題を解決したりセルフケアをしてくれる商品販売やサービスを行っているビジネスのこと。

 
 
 
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フェムテックの事例を挙げるとすると、以前の自分のコラムで恐縮ですが、ナプキン不要のサニタリーショーツのオンライン販売をしているThinxや、低用量ピルのサブスクリプションNurxなど。この二つのコラムは2018年時点のものですが、その時よりもフェムテックの市場は大幅に拡大しており、日本では2020年が「フェムテック元年」と言われているようです。昨年は新型コロナウイルスによる影響でオンラインビジネスが加速したということもあるでしょうね。

 
 
 
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フェムテックの市場はかなりの広範囲・他業種に渡っています。国内外のフェムテック商品を取り扱うfermataでは、海外のフェムテックマーケットのカテゴリを「月経」、「女性の健康全般」、「セクシャル・ウェルネス」、「妊よう性・不妊」、「妊娠&産後ケア」、「更年期・閉経」、「メンタルヘルス」と7つに分けたマーケットマップを発表しています。

 

マーケットマップに掲載されているフェムテック企業は基準により選考されたもので、36カ国581社にも登ります(2020年11月時点)。半年前の前回の調査よりも212社も増加しているということなので、世界的なフェムテックマーケットの拡大が見て分かりますよね。

 

マーケットマップはこちらから:Femtech Global Market Map – released by fermata Inc., (Nov 2020)

 

マーケットマップの各カテゴリに掲載されている企業・ブランドの事業内容を見ていくと、「月経」はオーガニックナプキン・タンポンのサブスクリプション、サニタリーショーツや月経カップの販売であったり、「女性の健康全般」はピルのオンライン販売など、「セクシャル・ウェルネス」は女性のための性生活のサポート商品やアダルトトイ、「妊よう性・不妊」は妊娠を目的としたアプリと連動した月経周期のトラッキングキットなど、「妊娠&産後ケア」は母乳サポートや妊娠中のモニタリングデバイスなど、「更年期・閉経」は女性の更年期の症状を緩和するデバイス、更年期症状を緩和するサプリメント・ケア用品販売など、「メンタルヘルス」は産後うつなど女性のメンタルケアにフォーカスしたサービスといったものが見られます。 

 

では、この大きく拡大しているフェムテックビジネスの中で、いくつか事例を紹介したいと思います。

 

Flex(フレックス) : 月経ディスク・カップ販売

 

月経カップは割と浸透してきているような印象がありますが、Flexが販売している「月経ディスク」はまだそんなに一般的ではないかもしれません。

 

この月経ディスクは、月桂カップを装着する場所よりも奥、子宮頸部の入り口のところ(恥骨の裏側あたり)に装着し、経血を収集するというもの。使い終わったら生理用ナプキンと同様に捨てることができ、最長12時間装着可能、100%医療用グレードの素材を使っており、生理痛の緩和にも効果があるとのこと。生理中、装着してのセックスや水泳も可能だそうです。

 

How to Insert, Wear, and Remove Your Flex Disc | Flexpert | Flex

Flex – Youtube

 

昨今、アメリカでは月経カップの種類やブランドも多いのですが、月経ディスクの種類はまだまだ少ないです。Flexの月経ディスクは使い捨てですが、煮沸して繰り返し使用できる、月経ディスク型の月経カップINTIMINAのZiggy Cupも登場しています。

 
 
 
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カリフォルニア州ロサンゼルス を拠点にするFlexは、2016年に投資企業より400万ドル以上の資金を調達。投資家からは「Flexは素晴らしく革新的な商品だ」と賞賛されています。今後、月経ディスクのマーケットも月経カップのように大きくなるかもしれません。

 

Mosie Baby(モジーベイビー) : ホーム人工受精キット販売

 

コロナ化で不妊治療のための度々の通院もままらない状況の中、不妊で悩んでいるカップルには朗報だと思われる、ホーム人工授精キット。このMosie Babyのキットは、いわゆる「シリンジ法」を自宅で行えるというものです。シリンジ法は、シリンジ(専用スポイト)に精液サンプルを取り、妊娠を望む女性の子宮内に注入することで、妊娠の確率を高める方法です。

 

What Makes Mosie the Best Syringe for Artificial Insemination at Home

Mosie Baby – Youtube

 

シリンジ法は以前よりあったものですが、Mosie Babyのキットはより妊娠の確率を高め、女性の体に優しい構造に設計されています。

 

通常のシリンジよりも先端が丸みを帯びたデザインで、注入時の流れをよくするためシリンジ先端の筒先が従来のものより面積が広くなっており、精液の収集がスムーズに行われ、また、子宮への注入が最大限になることで、妊娠の確率を高めるそうです。

 

Mosie Babyは、テキサス州オースティンに住む不妊で悩むカップルによるアイディアが始まりだそうです。不妊の専門家と共に開発したMosie Babyのプロトタイプを試したところ、すぐに妊娠。現在では、同じく不妊に悩むカップルや、LGBTQカップル、代理母を利用しているカップルから妊娠報告が届くそうです。

 
 
 
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使い捨ての専用シリンジ2本、収集カップ、インストラクションが付いて89ドル。時間と費用がかかる不妊治療で通院する前に、このキットの使用を検討する価値はありそうです。

 

Gennev(ジェネーヴ) : 更年期に関するオンライン相談・商品販売 

 

更年期の女性のためのオンラインクリニックGennevはシアトルを拠点とし、2019年に400万ドルの資金を調達したスタートアップです。更年期の症状に関するコンサルテーションを30分45ドルからオンラインで受け付けている他、ほてり、睡眠改善など更年期症状のためのサプリメントやフェミニンケア商品も販売しています。

 

 
 
 
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ベンチャーキャピタル会社の女性創設者基金によるレポートによれば、2025年までに世界中の女性10億人が更年期を迎えると言われ、更年期の女性をターゲットにしたビジネスは、マーケットとして6000億ドルを生み出す機会があるとのことです。

 

いかがでしたでしょうか。フェムテックは、女性が主な顧客ではありますが、提供されるサービスや商品はパートナーや家族にも関わってくることでもあるので、ぜひ男性にも「フェムテック」について興味を持ってほしいと思います。

 

(参考)

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。 lnk.bio/foxylilly Instagram: @foxylilly

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