イーロン・マスクに“スペースシップにビデを置いてみよう”と提案、ブルックリン発アタッチメント・ビデメーカーTUSHY
先月、SpaceXのCEOイーロン・マスクがInspiration4ミッション完了後、“次回のミッションではアップグレードされたトイレが必要。今回の搭乗においてトイレが課題だった”とツイートしました。
Definitely upgraded toilets 🙂 We had some challenges with it this flight.
— Elon Musk (@elonmusk) September 21, 2021
これを見て反応したのが、ニューヨーク・ブルックリンにあるアタッチメント・ビデメーカー、TUSHY(トゥシー)。TUSHYは“イーロン・マスク、スペースシップにTUSHYビデを置いてみよう”と、スペースシップ内に置くトイレのスケッチを添えて提案。
.@elonmusk, let us put a TUSHY bidet on the spaceship. pic.twitter.com/BieRcvrZV3
— TUSHY Bidet (@hellotushy) September 22, 2021
このツイートにイーロン・マスクが反応した様子はありませんが、このTUSHYの提案は興味深いです。
「アタッチメント・ビデメーカー」と言われて、すぐにピンと来る方はあまりいないかもしれませんが、TUSHYは自宅のトイレにおしりを洗うビデを設置できるアタッチメントを製造販売している会社です。
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Tushy Bidet@hellotushy – Instagram
現在、TUSHYでは3つのタイプのビデを販売しています。
こちらは、TUSHY CLASSIC 3.0という一番ベーシックなタイプ。手でボタンを回すとノズルから水が出て、より回すと水の勢いが強くなります。価格は99ドル(約11,238円)。
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二つ目は、温水でおしりが洗えるTUSHY SPA 3.0。水を出して勢いを調節するボタンの他、水の温度の調節ボタンが付いています。価格は119ドル(約13,509円)。
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三つ目は、電動のビデアタッチメントと便座がセットになっているTUSHY ACE ELECTRIC BIDET SEAT。上記2つは手動のビデアタッチメントのみですが、こちらはリモコンで制御できる水の勢いと温度調節、乾燥機能、暖房便座(温度調整可能)、自動ノズル洗浄などが付いたものとなっており、日本のウォシュレットに近いタイプものですね。価格は599ドル(約63,459円)。
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アメリカでは、ビデ自体が、トイレの横に別で設置されているケースはまれに見かけますが、それでもビデやウォシュレットを身近に感じる人は少ないと思います。アメリカの家だと、バスルームとしてトイレとお風呂が一つの場所にあるため、必要ならばシャワーをするという考えなのかもしれません。
このような背景で、TUSHYがこのアタッチメント・ビデという分野にビジネスチャンスがあると踏んだのは凄いことだと思います。
TUSHYは2015年に設立されましたが、顧客による熱心なシェアや口コミによって、新型コロナウイルスのパンデミック以前までは前年比で2倍の成長を遂げ、過去には290万ドルを調達しました。これはTUSHYの狙いである「多量のトイレットペーパーを使わずビデでおしりを洗うことが環境に良い」という環境の観点からだけでなく、ビジネスの観点からも、過剰雇用をしたり、マーケティングに多額の費用をかけないなど、企業努力を続けてきたことが成長の要因のようです。
ちなみに私の自宅のトイレにもTUSHY CLASSICが設置されているのですが問題なく快適です。ウォシュレットやビデが身近ではない人にとっても、一度体験したら用を足した後おしりを洗うことの気持ち良さは万国共通だろうなと思います。
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また、日本では古くからある暖房便座ですが、アメリカの家はセントラルヒーティングが一般的で冬でもバスルーム内は寒くないため、アメリカで暖房便座は見たことがありません。しかし冬場は便座が冷たく感じることがありますし、暖房便座の快適さを知っているがゆえに、あればいいなとは思います。ですので、暖房便座機能などが備わったウォシュレットに近い製品であるTUSHY ACEにニーズは当然あると思いますが、あくまでラグジュアリーを求める顧客向けという感じです。
TUSHYの設立者は、以前にもコラムで紹介したことのある生理用吸水ショーツTHINXの設立者でもあるMiki Agrawal(ミキ・アグラワル)さん。
アグラワルさんは、トイレットペーパーでおしりを拭くのは効果がないだけでなく、尿路感染症、痔、真菌感染症、裂肛、肛門のかゆみなどの健康問題の原因となり得ること、そして、環境問題の闘争を緩和し、世界的な衛生危機と戦うのに役立つと考え、TUSHYを設立。
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アグラワルさんは日本人の母とインド人の父を持ち、カナダのモントリオール出身。これまでにTHINX、ICON、WILD、そして最近ではTUSHYと、人々がタブーと見なしているトピックや問題に常に取り組み、革新的な起業をしてきました。国の排便問題に取り組むために、個人のまた企業の社会的責任として、インドへ清潔なコミュニティトイレへのアクセスを提供するプログラムにも取り組んでいるそうです。
TUSHYではアタッチメント・ビデの他、TUSHYでおしりを洗った後に軽く水気を拭き取るためのバンブーティッシュペーパーとペーパーを取り出すためのスタンド、うんちをより出すために踏ん張るための足乗せ台、エコフレンドリーなヤシの実の外皮で作られた使い捨て可能なトイレブラシなど、全て環境に優しく画期的な製品を生み出しています。
TUSHY OTTOMAN
Hello TUSHY – YouTube
Intro-deucing, the TUSHY Brush
Hello TUSHY – YouTube
今後もTUSHYがどんな製品を生み出すのか楽しみです。
(参考)
Bidet startup Tushy scales up to meet demand amid toilet paper shortage – TechCrunch
Miki Agrawal’s Latest Mission? An Eco-Friendly Toilet – Forbes