何を書いてもなあ・・・

番長プロデューサーの世直しコラムVol.80
番長プロデューサーの世直しコラム 櫻木光

おかげさまで、「番長プロデューサーの世直しコラム」は 連載を開始して今回で80回目を迎えます。80ヶ月。6年と半年。 バックナンバーで、昔書いた事を読み返してみると、はじめの方はなんだか呑気ですね。 世の中の雰囲気が今ほど殺伐としていなかったのがわかります。 今は社会が極度に憂鬱です。

その原因は明らかです。 3.11の大地震と福島の原子力発電所の事故以降は、本当に日本人は馬鹿だ ということが露呈してしまいました。日本人が馬鹿なんじゃなくて、 日本をオペレーションしてる奴らが馬鹿なんだろうけれど、それを選んだ責任を持つ人全員が馬鹿だという事になります。

原子力発電が悪いのかというとそういう事ではなく、また、天変地異の結果の事故だったでしょうから、起きてしまった事はただの事実。

悪いのは、なんで事故になったのかという原因の究明もなされないまま、(地震なのか津波なのかすら未だに解っていないそうです。)原子力発電を再稼働したがっているやつが居るということ。みんなそれに文句を言い続けているし、首相官邸の前ですごい規模のデモまでやっているのに、日本を操作している奴らはそれを「無視」しているという現実。 すごい事だと思います。怒りを通り越して気力を失うというかなんというか。

馬鹿なら馬鹿で、馬鹿な事はやめようぜという機運は、若者を中心にいろんなところで噴出しているのだけれど、メディアを含めて、その馬鹿さ加減を見て見ぬ振りして日々が進んでいるのがすごい。なんで?

もともと日本にはそういう気質はあって、いろんな事を曖昧にして、みんなが忘れるまで放置して「赤信号、みんなで渡れば怖くない」的な感じでやってきたのかもしれませんが、命のかかった状況でもやっぱりそうなのか。という絶望感もあります。

日本は少人数の権力者が握っている独裁体制なんだなぁ、ということがついに解ってしまいましたね。反対意見は弾圧されずに無視される。解ってしまうともう後戻りはできないんですけどね。ばれた方もばれた事すらわかっていない。まだ隠そうとするし嘘をつく。

もう、嘘ばっかりです。 これだけ平然と国が嘘ついても許されるんだったら、子供もみんな嘘つきになりますよ。都合の悪い事はごまかして。

今年の暑さからして電力不足は必至かと思っていたらそうでもなさそうですね。 去年インターネットに出ていた電力使用量のインジケーターとかも嘘っぱちだったんでしょう。いろんな手を打ったから電力の供給が安定したのは解りますが、原子力がないと電気は圧倒的に足らないって言ってましたよね。

選挙のときに、政党ごとに出すマニフェストっていうのも、そのまま守られたことも無いんだから、嘘ばっかり言ってないでやめたらどうだ?と思うのです。 消費税の問題、沖縄の米軍の問題、原発の問題以外も嘘ばっかりですね。仕方ないんでしょうけど選挙で人気をとるための嘘マップとなっている訳です。マニフェストは。マニフェストを実現できなかったら責任を追及するという監視のシステムは何故無いのでしょう?

利権構造やなんやかんやで、原子力発電が危ない。という以前に経済的な理由が複雑に入り組んでいてなにも簡単に行かないのもばれちゃった。あと数年で逃げ切れる偉い人たちからすると「もうちょっと黙っててくれる?」という気分なんでしょうけど。

まあ、そんなこと言ってる場合ではない状況に来ちゃったんでしょうし、報道が規制されたとしてもネットなんかでいろんな事がすぐばれるご時世です。アラブの春と似た状況になっている。 嘘がつけない世の中になってきたのに。です。 インターネットを介して、嘘をついてもすぐばれる世の中で、平然と嘘をつき、他人が怒ると無視をする。というすげえ状況。

こんな状況になっても、力を持った人たちがみんなの言う事を聞く気がないという事に、本当に吐きたいくらいの気持ちの悪さを感じるのです。 いま「ここにある危機」を無い事にしようとする人たち。

実は放射能汚染された水を海に垂れ流してました~と言いながら、 海開きをして子供を泳がせておきながら、 それでも原子力発電所の再稼働を急いでおきながら、 広島では「核廃絶」をスピーチする首相。みたいな。 機能が、感覚が、狂ってきてるんじゃないのか?

そういうことを目の当たりにしちゃうと、「世直し」なんて言っているこのコラムなんか本当にあほらしく思えてきちゃうのです。 何を言っても届かないからなあ。と。 少数の権力者に届けたい訳ではないけれど、バス停でひっくり返っちゃった女のその後の無礼さを攻撃している場合ではないなあと思う訳です。そういう事を書いていられた頃はのどかだったんだなあ。

国がこれじゃあ世直し無理だぜ。 ・・・ただのうるせえおっさんでしかない。 でも、真面目にヤバいと思います。なんとかしなければならない。

こんなことじゃ優秀な人材や自分の人生を大切にする人たち、才能や技術のある人たちは日本に居なくなってしまうかもしれません。それも自由。それでもいいのかもしれないし、国を単位で物を考える時代ではないかもしれない。日本を出ようとかそういう事を考えている自分も居たりします。

こういう事ってどうやったら正しい方向に向けられるのか、やる気のある奴らで本気で考えて行動をおこしていかないとこの国は無くなってしまうかもしれない。

そんな事を考えていると、やっぱりすごい憂鬱です。実際には食って行かなきゃいけないし、やらなければいけない自分の仕事は山のようにあって、悩みもおおいのだけれど。頭の片隅でものすごい心配を抱えながら日々の事をやる。というのがすごい憂鬱になってきました。本来はそういう気分にさせないのが国家の仕事なんでしょうけどね。逆方向にいってますね。

この日本のどの構造をどう変えたらいいのか? いいかげん、個人レベルで本気で考える時がきたかもしれません。諦めたらそこで試合終了ですよ。何をどうすればいいと思いますか?このコラムみたいに中学生みたいな言い分でもいいと思うのです。そこからみんなで議論を始めて、新しい仕組みの構築を考えた方がいいと思うのです。馬鹿に任せておかないで。

国が聞く気もやる気もないのなら、 こっちで勝手にやっちゃうぞ。っていうのも ありですよね。

Profile of 櫻木光 (CMプロデューサー)

プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが、矢面に立つのは当たり前と仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。


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