まるで日本に旅行しているような体験を売っているー日本のお菓子をアメリカ国内外に届けるサブスクサービスBokksu

Vol. 33
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

ご存知の通り、アメリカにはたくさんのユニークなビジネスやベンチャー企業があり、これまでにも過去コラムでいくつか紹介してきました。

 

今回ご紹介するBokksu(ボックス)は、日本人としてとても誇らしい気分になる、ニューヨーク発のビジネスモデル。Bokksuは、日本のお菓子をアメリカ国内外に届けるサブスクリプションサービスです。和装デザインの箱の中に、20〜24種類のお菓子とお茶、ブックレット、アレルゲンインフォメーションが入っており、毎月、日本から直接届けられます。地方限定の伝統的お菓子メーカーのものや昔懐かしい駄菓子、甘いものからお煎餅といったしょっぱいものまで、いろんな種類のお菓子が詰め込まれています。

 

Welcome to Bokksu! Bokksu – YouTube

 

サブスクリプション料金は1ヶ月49.95USドル(約5,762円)で、3ヶ月単位、6ヶ月単位、12ヶ月単位で購入すると、1ヶ月分の料金が少し安くなるという形になっています。

 

Bokksuのアイディアはアメリカ在住の日本人だろうと勝手ながら思っていたのですが、設立者はDanny Taing​​(ダニー・テイン)さんというニューヨーク生まれのカンボジア系アメリカ人。

 

 
 
 
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Danny Taing@dannytaing – Instagram

 

ダニーさんはアメリカの大学を卒業後、グーグルでデジタルマーケティングに従事、その後日本に移り住み、4年間楽天でビジネス開発に携わります。2013年にニューヨークへ戻りますが、その時、スーツケースに日本のお菓子を詰め込んで帰国したそうです。持ち帰ったお菓子は友人たちに分け与えたところ大人気。アメリカ人にも気に入られた日本のお菓子ですが、アメリカで入手する方法がなかったことがきっかけで、このビジネスアイディアが生まれたのだそうです。

 

 
 
 
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アメリカのお菓子はクッキーを始めとする甘いものが多いので、日本のお菓子がアメリカで受け入れられているのが個人的には意外なことでした。

 

そんな日本のお菓子に馴染みのないアメリカの顧客が、Bokksuに惹きつけられる理由として私なりに考えてみたところ、季節ごとにキュレーションされたお菓子を美しく詰め込んでいる、という点にあると思います。それは、日本のお菓子のパッケージデザインが非常に美しいこともあるでしょう。

 

リミテッドエディションで出される和のボックスデザインも素敵です。下記はムーンフェスティバル(お月見)と桜のデザイン。

 

 
 
 
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また、他社にはない特色としては、Bokksuがメーカー100社以上と独占的提携をしていることで、他社では手に入れられない商品に出会えることです。また、お菓子メーカーの素晴らしい技術を世界に伝えるため、メーカーのストーリーを伝えることにもこだわっており、動画コンテンツで提携先のお菓子メーカーを紹介しています。現在、「大文字飴本舗」、「せんべいラボ」、「風美庵」、「ほんま」、「赤いリボン」の5つのメーカーが紹介されています。

 

 Snack Bites: Documentary Trailer Bokksu – YouTube

 

下記の動画は、1921年創業の京都にある飴メーカー「大文字飴本舗」。

 

 Snack Bites: Daimonji Ame Honpo Bokksu – YouTube

 

2013年にニューヨークに帰国したダニーさんは、2015年にBokksuを設立、翌年にサブスクリプションサービスをスタート。2018年には、日本のお菓子やお茶、キャラクターグッズ、食器などを販売するマーケットプレイスBokksu Market、2021年にはオンラインでアジア系食品を販売するBokksu Groceryを立ち上げています。

 

 
 
 
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現在、Bokksuのサブスクリプションとマーケットプレイスの発送先は100カ国にもおよび、サブスクリプションの発送個数は100万個近くに上り、Bokksuは2018年以来、前年比100%の成長を遂げるほどの躍進ぶり。その企業価値が見込まれ、つい先日の2022年1月25日に、Bokksuは2200万ドルの資金(約25億円)を調達しています。

 

Bokksuのウェブサイトに掲載されている顧客からのレビューを見てみましょう。

 

箱の中の商品はデリシャス&クリエイティブ。ギフトに最適!”

 

“シーズンボックスを購入しましたが、色々なアイテムに嬉しい驚きを覚えました。説明書きを読むと、私がおそらく食べなかっただろうなと思ういくつかのお菓子がありましたが、それらもとても楽しんで頂きました。箱が届いたときはすべてが良好な状態で、くだけたお菓子を受け取ることはありませんでした。​​”

 

“箱には、さまざまなフレーバーを含む、楽しくカラフルなパッケージの品揃えがあります。毎月の箱に何が入っているかを見るという期待があり、刺激的でおいしいです。”

 

Bokksuは、開ける前のワクワク感があり、開けてからもや美しいパッケージデザインでの詰め合わせで目にも楽しく、日本の季節のお菓子やお茶を味わうことで、日本に旅行しているような体験を味わうことができ、ブックレットで日本の文化について知ることができる、「日本のお菓子」を売っているというよりは、体験を売っているからこそ、こんなにも好評なのでしょう。

 

日本で生まれ育っていないアメリカ人が、日本のお菓子の美味しさを世界中の人に届けたいという思いでBokksuを始めたこと、しかも、こういった形で日本の文化を伝えていることは、日本人としてとても喜ばしい限りですね。

 

ちなみにBokksuのインスタでは、chelsea.misaさんというインフルエンサーさんがBokksuを紹介していたりするのですが、彼女の日本語がとても可愛くて癒されます…ぜひチェックしてみてください!

 

 
 
 
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(参考)

Bokksu Authentic Japanese Snack & Candy Subscription Box : bokksu.com

YouTube.com/Bokksu

Bokksu bags $22M Series A at a $100M valuation to deliver traditional Asian groceries to your home : Techcrunch.com

Danny Taing : Linkedin

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。 https://lnk.bio/foxylilly Instagram: @foxylilly

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