深掘りシンガポール ~アート~
Fellows Creative Staff Singapore PTE. LTD.の大石隼矢(おおいしじゅんや)です。
いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
第15回目のコラムは、先日シンガポール国内で開かれていたアートウィークについてレポートしたいと思います。
SINGAPORE ART WEEK(SAW)とは
シンガポールで開催される年に一度のクリエイターとアーティストの祭典
アジアのアートの中心地としてシンガポールをポジショニングしていくことを目的として年1回開催されているSINGAPORE ART WEEK(SAW)。第10回を迎えた今年のSAW2022には、シンガポール人アーティストの活動とシンガポールのビジュアルアートの成長の10年間を祝福する意味合いもありました。
SAW 2022は2022年1月14日から23日まで開催され、シンガポール全土およびオンラインで、新作や国境を越えたコラボレーション作品の発表、バーチャルアートの体験など、100以上のイベントが行われました。シンガポールの芸術文化施設はもちろんのこと、あらゆる場所で展示されるエキサイティングなアートを発見したり、充実したディスカッションやトーク、パブリックアートウォークツアーなどが開催されたりと、シンガポールのアートコミュニティーにスポットライトを当てたとても意義深いイベントでした。
*SAW 2022は、シンガポール国立芸術協議会(NAC)とシンガポール政府観光局(STB)による共同開催。
■アートへの興味関心を高める取り組み
For the house; Against the house
For the House; Against the Houseは、アートについてゲストスピーカーたちが議論するディベート形式の展示です。主催は、弊社のクライアントでもあるOH! Open Houseです。観客は、そのディベートの観覧や展示されている作品の説明を通して、シンガポールの芸術と文化的景観の進化を学ぶことができました。参加アーティストはシンガポール国内にとどまらず、インドネシア、マレーシア、インド、日本からも。OH! Open Houseは多種多様なアーティストを招き、活動が限られていた存在に光をあて多くの人に知ってもらう機会を増やす取り組みを行っている組織です。
OH! Open Houseは、定期的にアートツアーも開催しているということなので、シンガポールはじめ、アジアのアート事情に興味のある方は、是非参加してみてください。
■シンガポール国立美術館へ大型のプロジェクション、現代アートの奇抜なインスタレーションも
ART SKINS ON MONUMENTS: REFRACTIONED
Metamo IndustriesのBenedictとPalmerはシンガポール国立美術館(横幅100m近くありそうな建物)に対してプロジェクションマッピングを敢行。独自に開発した“リアルタイム画像合成技術”(英語ではproprietary real-time image synthesis techniques)でコロナ禍のロックダウン(サーキットブレーカー期間)中に撮影したシンガポールの歴史的建造物のイメージを色鮮やかに表現していました。
美術館前の芝生が広がるスペースには、夜になるとライトアップされる展示アートが置かれ、日によって異なるミュージシャンやライブアーティストが自身の作品をパフォーマンスしていました。なんと、10日間で120以上の展示に遭遇することができます。私もいくつか見ましたが、特別な雰囲気を感じましたし、日本とは異なる表現方法で見ていてついつい時間を忘れるほどでした。そういえば私がシンガポールに来たての頃、街角の壁に書かれたストリートアートに目を奪われた記憶がよみがえってきました。また、日ごろ訪れる商業施設やレストラン、カフェも内装デザインが洗練されているものや、おしゃれな雰囲気のものがありました。気になって調べてみると、その中には有名な建築家が手掛けているものがあったり、アーティストの絵を飾ってあったり。シンガポールの人々って私が思っているよりずっとアートに敏感な人たちなのかも。
まとめ
今回はシンガポールのアートについてアートウィークというイベントを通じて深掘りをしてみました。私としてはこのシンガポールでアートを感じられる素晴らしい取り組みを日本の方々へ知ってほしいという気持ちでこのコラムを書いたのですが、アートはやはり実際の目で見た方がその全貌を伝えやすいと思います。書きながらアートについて言葉で伝えるのはなんと難しいことか、と身に沁みました。
今回紹介したシンガポールのアーティストやOH! Open Houseのような組織はほんの一部です。私たちフェローズが普段接しているクリエイターは、映像制作やゲーム、Webデザインなどといったどちらかと言えばエンターテインメントやビジネス領域で活躍される方々が多いです。そういった人々とは異なった域で作品作りをするアーティストたちは、その作品やパフォーマンスを通じて私たちの感性に刺激を与えてくれるし、アイデアのひらめきを助けてくれる存在なのかもしれません。シンガポールのアートシーンがもっともっと盛り上がり、サポートさせてもらえるクリエイターの人口がさらに増えることを、今回のコラムを執筆しながら思いました。
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