WEB・モバイル2011.03.02

日本文化×クリエイターのコラボサイト”J-COLLABO”

Dig It! NYC Vol.29
Dig It! NYC 藤井さゆり

NYに住んでいると、改めて日本の素晴らしさに気づかされることがたびたびあります。

NYには世界中の文化が集まっていることもあり、日本に対して知識や理解のあるニューヨーカーも多く、食、伝統芸能、ファッション、漫画やアニメなど日本文化を自然と目にする機会がたくさんあります。だからこそ、気付きやすいのかもしれません。

ちなみに、NY在住である日本人の友人が「永井荷風について話さない?」とカフェで急にアメリカ人から話しかけられたと言っていました。「いや、いいです!」と即刻お断りしたそうですが…。NYにはそれほど日本マニアな人がいるものです。

そんな折、「日本文化の再考」をコンセプトに、日本文化に興味のある全ての人のために創られたクリエイティブなネットワーク「J-COLLABO」なるものを発見。

ウェブサイト「J-COLLABO.COM」では、NYで活動しているクリエイターとのコラボ作品や、イベント情報、日本にまつわるものを題材としたコラム、NYで日本文化が発見できるマップが掲載されています。

J-COLLABOの興味深い点としては、古来からある日本文化を基礎としたクリエイティブに視点を置いて発信していることです。 例えば、アート、デザイン、食、ファッション等の分野から発信されるコラム「FEATURES」の第1回目では、日本の伝統文化の代表とも言える3つの「道」?書道・華道・茶道?について、それぞれの歴史、用具、作法などの面を深く掘り下げて解説してくれています。日本人としては結構目がウロコです。

また、クリエイターとのコラボ作品では、“ハレとケ”をテーマにしたYシャツとTシャツが紹介されています。斬新なデザインがカッコイイ。

FEATURES - 1#Dou - the way of the beauty

FEATURES - 1#Dou - the way of the beauty

PROJECTS - Products#01 - Hare and Ke クリエイターによりデザインされたYシャツ、Tシャツ

PROJECTS - Products#01 - Hare and Ke
クリエイターによりデザインされたYシャツ、Tシャツ

 
PROJECTS ‐ ARTS#01-COLORS

PROJECTS ‐ ARTS#01-COLORS

「PROJECTS」のARTSでは、 毎回異なるテーマで海外から見て改めて感じる「日本」をクリエイターが表現。第1回目の「COLORS」では、日本固有の“7つの色”?白、朱、金、萌、黒、紺、紫?をテーマにして、美しいビジュアルを見せてくれています。

"日本には、色と色を掛け合わせ、明暗濃淡などのわずかな違いを楽しむ、独特の美意識で他に類のない洗練された色彩文化があります。"とサイトにありますが、全く同感ですし、日本人の高い色彩感覚に改めて気づかされます。

 
KIN - Dazzling Gold (J-COLLABO.COM)

KIN - Dazzling Gold (J-COLLABO.COM)

この金色はDazzling Gold(まばゆい金色)と訳されており、作品に表現されている通り、金箔など屏風絵に使われている金色のことを意味しています。また“萌”は本来、葱の若芽のような色を指すなのだとか。知りませんでした…。

全ての作品の終わりにそれぞれ7色のRGB値、HSB値、CMYK値がわかるようになっているので、色に関係のあるお仕事をされているクリエイターさんはぜひ参考にしてみてください。

この他にもGAMES(遊)、DANCE(舞)、ZEN(禅)といったテーマで美しいクリエイティブ作品が紹介されています。

その他興味深かったコンテンツとして、NYで活躍されている有名クリエイターさんのインタビュー。特に、ウェディングドレスデザイナーの吉岡順子さんのインタビューで「ニューヨークでデザイナーとして生き延びるということはどういったことだと思いますか?」の質問に対して、

「"デザイナーというのは自分を表現することプラスやはりそのマーケット的なものを考えなければいけないと思うんですよ。カスタマーはどういったことを望んでいるのか、そういったこととのバランスです。それらのバランスとうまく波長を合わせながら、まず自分のコンセプトを強く持って、その中でシーズンごとにコレクションをやっていかないと、と思います。私がこのブランドを始めたころ、初めはバイヤーがかなり年配の方が多くてなかなか新しいファッションを受け入れてもらえなかったのが大変でした。最近若いデザイナーがデビューしても2、3年でいなくなってしまうことが多いですが、その理由はやはりマーケティングサイドが十分でないからかもしれないですね。これはヨーロッパでも同じことです。今はヨーロッパもある程度マーケティングの人をアメリカから呼んで、マーケティングを強くしています。そういった意味では、アメリカでこうした環境にめぐり会ったのはすごくラッキーだったと思います。アメリカはコンサバなヨーロッパと違って、若くても自分の会社を開くこともできるし、すごく良い環境だと思うんです。日本も徐々に変わってきていますが、まだアメリカほどではないですしね。"」 (サイトからの文面をそのまま引用)

とおっしゃっています。私も、日本人は高度な技術、クリエイティブセンスを持っているのだから、その価値をクライアント、そして世界中により深く理解してもらうために、マーケティング力の強化が必要なのでは、と思います。

常日頃からアメリカ人はプレゼン能力、マーケティング能力が巧みだなと思っていましたが、その秘密を知るために「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」を読んで、少し勉強したいと思います。

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
Foxylilly.com
facebook.com/foxylilly
instagram.com/foxylilly

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