「今日もポツンとぽつねんと」
桜の季節は僕たちアレルギーピープルにとっては花粉症の季節真っ盛り。この時期は部屋の各所にティッシュの箱を用意しています。さて、「世の中には二種類の人間がいる」という文句はよく使われますが、僕は子どもの頃からの習性で使ったティッシュをその位置で丸めゴミ箱に投げて入らないと同じ位置に戻り、入るまで何度も投げ続けてしまう派なのですが皆さんはいかがでしょう。自分でも大嫌いなクセなのですが、入るまでやらないと何かに(一体何に?)負けてしまうような心持ちになるのでついつい今日もティッシュフリースローをしてしまいます。
クセといえば無くて七癖あって四十八癖らしいですが、自分ではなかなか気が付きません。ずいぶん以前のこと。飛行機で隣の席の学生さんから「貧乏ゆすりをやめてもらえませんか」と言われました。はじめは僕のことだと思わなかったので「なに言ってるんだコイツ」と無視したのですが、そのイライラも作用したのか自分の左足が確かに小刻みに震えていたのです!それまで全く意識していなかったので驚きました。すぐさま隣席の彼に「教えてくれてありがとう」とヘンな謝り方をして気持ち悪がられました。
ジーンズをよく履きます。コロナ前は毎日出かけていたのでもっと履いていましたが、リモート生活になってからはジャージとジーンズと半々くらい。それでもよくお世話になっています。古着やヴィンテージにはさほど興味がないので新しいものを購入しますが、決まって3カ月くらいたつと左の太もものあたりが綻び始めます。そして半年後にはボッコリと穴があいてしまうのです(※写真①)。
後輩からは「いい感じのダメージですね」と想定外の誉め言葉をもらったりします。穴の理由がわかりません。それから意識的にジーンズの日は左の太ももを触るようにしました。
すると「あ!これか」とわかりました。左のポケットに入れた家の鍵の先っちょがちょうど太もものあたりに当たっているのです。これがチクリチクリと蓄積されて破れていくのですね。右のポケットにはハンカチを入れています。僕は右ききなのでよく使うハンカチを右だけに入れるクセがあったのです。このことに気が付いてから鍵を右に入れるようにしました。案の定、三カ月後に右の太もも部分が綻びました。
いや~、自分のことは自分ではわからないものです。以前も当コラムで少し書きましたが(※とりとめないわ第41話参照)今から28年前、僕はコピーの師匠の仲畑貴志さんから「上空」という俳号をいただきました。響きもいいし字面もシュッとしていてとても気に入りました。が、仲畑さんから「お前はほんとに人の話を聞かないからな」と言われ、あ~そういう意味なのかとしみじみしたものです。うわのそらかぁ。それはそれでこの名前は大好きです。
クセ字です。ワープロが普及しパソコンが全盛になってからもしばらくは手書き原稿を続けていました。さすがに色々と支障をきたすので10年前くらいから仕事の原稿は文字打ちに変えました。でも日常のメモやノートや下書きなどは今でも相変わらず手書きです。
これがあとで読み返そうとすると読めません。何じゃこりゃです(※写真②)。
自分で書いたのに自分でわからない。情けないです。確かいいアイデアを思い付いて書いたはずなのですがさっぱりです。その昔、福岡で働いていた頃は僕のこの字を解読してくれる後輩のフジムラくん(現サンアド・コピーライター)がそばにいてとても助かっていたのですが自力では読めません。
他にも就寝時はベッドの左側に寝るクセや、目薬をさすときに口を開くクセ、湯気で曇ったガラスがあるとついついくだらない落書きをするクセ、道路工事のドリルの先をジーっと見つめてしまうクセ、同じくガラス張りの店頭で今川焼きやたこ焼きを作っている人の手元をジーっと見つめてしまうクセ、鳩サブレは潔く頭から食べるクセ、ひよこ饅頭は中の白餡を取り出して皮だけ食べてしまうクセやシューマイのグリーンピースは先に取って別にして食べるクセなどはどれも誰かからの指摘で気が付いた僕のクセです。もう丸二年以上、人と近くで会うことが減ってからは僕のしぐさやクセについて言ってくれる人がほとんどいません。きっとおうち時間が増えたことでまた新しいクセが生まれたと思うのですがぽつねんと暮らしていると自分ではわかりません。そういえばポツンとぽつねんとは同じ語源なのかな?と辞書をひくことが多くなった気がしています。
ところで口癖をテーマにした「のめる」という古典落語がありますが僕は柳家三三師匠のが好きという少々マニアックな話はまたの機会に。