WHO SHOT ROCK & ROLL?
- Dig It! NYC Vol.14
- Dig It! NYC 藤井さゆり
NYに来たら、MOMAやメトロポリタン美術館の有名どころに行くのもいいですが、私は「ブルックリン美術館」をおすすめします。
マンハッタンにある美術館と違って、ブルックリンらしいリラックスした雰囲気。春には桜も咲くボタニカルガーデンが隣にあるのもイイです。
美術館自体は、古代美術から現在アートまで幅広く展示していて、メトロポリタン美術館に次ぐ規模。特に、古代エジプト美術のコレクションは世界随一なんだそうです。昨年、村上隆さんもここで特別展示をしていました。
さらに、毎月第一土曜日の午後5時以降は無料で入館でき、11時までいろんなアートプログラムが行われています。9時から11時まではアトリウムで恒例のダンスパーティーが開催。老若男女問わず、地元のニューヨーカー達で盛り上がっています。
もちろん、私もこの無料の日をねらって行ったワケですが、私の一番のお目当てはダンスパーティーではなく、特別展示「Who Shot Rock & Roll: A Photographic History, 1955 to the Present」。1950年代から現在までのアーティストの写真で綴るロックの歴史です。
無料の日ということもあって、かなりの長蛇の列に並ばないといけず、観るまでに1時間弱かかりましたが、並んだ価値ありでした!
エルヴィス・プレスリー、ビートルズ、ローリングストーンズの往年のロックスターから、マイケル・ジャクソン、エイミー・ワインハウス、エミネムまでロックだけに限らない様々なジャンルのアーティストやミュージシャンの写真が展示。
写真は国内だけではなく世界中から集められ、展示総数175点以上。105人のフォトグラファーによって撮影されています。
展示は6つのテーマに分かれており、情熱やエネルギーを感じる鮮烈なライブ風景、裏側から撮られたレアな写真、アーティストの魂や創造性を感じさせるポートレート、まだ若かった頃やキャリアの浅い当時のスナップ、芸術作品としても価値が高いレコードジャケット、熱烈なファンの光景など、コマーシャル用に撮影されたものだけには留まらず、量、質ともに見応えあるもの。
この展示の面白い点は、アーティストに重きを置かれたものではなく、ロックの歴史を担ったフォトグラファー達のクリエイティブな功績に焦点を当てて開催されたというところ。ロックが誕生した1950年代以降、アーティストを被写体として撮影された写真は、社会的、文化的な意味のあるコミュニケーション手段であり、ロックの歴史において非常に重要な役割を占めています。
私が気に入った展示5点。
個人的に興味深かったのは、その時代のファッションやスタイルなど時代の変遷。時代がアーティストを作ったのではなく、「いつもアーティストが時代を作ってきた」ということを実感。
展示されている写真は全て、クリエイティブ作品として観ても、歴史的な記録として観ても、価値の高いもの。アーティストの個性や存在感を引き出すフォトグラファー達の感性の素晴らしさにも驚かされました。
観終わった後は、ビールをひっかけがてら、アトリウムで行われているダンスパーティーを覗いてきました。夜10時過ぎだというのに、小さい子供や、お年寄りもDJに合わせてダンスしています。アトリウムの壁には古い宗教絵画。新旧入り交じったこの不思議なコラボレーションは、ブルックリンならでは、でしょう。
「Who Shot Rock & Roll」は2010年の1月31日まで開催されているので、もしNYに来られる予定がある方はぜひ訪れてみてください。
ブルクッリン美術館 : http://www.brooklynmuseum.org/
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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