ライブとフィルムの素晴らしきフュージョン!
- Dig It! NYC Vol.11
- Dig It! NYC 藤井さゆり
夏、週末、ニューヨークと言えば野外ライブ!
ブルックリンにあるプロスペクトパークでは、毎週末夏になると、野外ライブが行われます。これは、ブルックリンでアートイベントを企画・運営しているNPO「BRICS」による“Celebrate Brooklyn!”というパフォーマンスアートプログラムの一環。1979年より実施され、1700人あまりのアーティストが出演した歴史あるものです。ブルックリンをアートで刺激し、盛り上げていこう!という趣旨のプログラムとなっています。
パフォーマンスアートと言っても、映画、演劇、ダンス、音楽と幅広いジャンルで実施しています。音楽の回でも、ジャズ、ヒップホップ、ポップ、ロック、エレクトロ・・・etcと、様々なジャンルを取り上げており、その日によって違う音を聞くことができるのでとても興味深いです。しかもこのイベントは無料なのがスバラシイ! 私が行くときは音楽の日が多いのですが、地元では結構有名なバンドや、ヒップホップの大御所が出演していたりしています。
最近見た中で面白かったのが、「13 Most Beautiful…Songs for Andy Warhol’s Screen Tests」。アンディ・ウォーホルがアーティスト達にスクリーンテストをさせた1960年代当時のフィルムを映し出し、そのイメージに合わせてバンドが演奏。フィルムと音楽を同時に楽しめるというものでした。*生前アンディ・ウォーホルはニューヨークを拠点に活動
音楽は60年代を彷彿させるガレージポップで、Dean and Brittaという男女ユニットをメインにしたバンド形態での演奏。映像に合わせて奏でられる音楽がとても心地よく、切なくなるような60年代サウンドにモノクロの映像が重なって、その時代にトリップしたような感覚になりました。映像には、ヴェルベット・アンダーグラウンドのボーカルだったニコ、“ファクトリー”の中心人物だったイーディー・セジウィック、ルー・リードが出てきます。コカ・コーラを飲むルー・リードがカッコよくてシビれます!
もちろん、映像だけを見ても面白いと思いますし、音楽だけでも美しくすばらしいライブです。しかし、さらに2つのものが組み合わされることにより、どちらもより深く楽しめる、という仕掛けとなっています。完璧なフュージョンです。
その完璧な組み合わせの空間で、アンディ・ウォーホルという人物、ニューヨークの歴史、アーティスト達のストーリー、そしてアンディ・ウォーホル×アーティスト達とのコラボレーション、といった色々な側面を感じ取ることができました。
“映像とライブの組み合わせ”だけなのだけれど、いろいろな側面を発見できた面白くてクリエイティブなイベント。1+1で2以上のものを生み出す。これこそクリエイティブじゃないですか!
ライブも終わり、さてそろそろ帰ろうかと席を立った瞬間、隣に座っていた50代くらいのご婦人が突然、「彼らはスバラシイ!!」と私に話しかけてきました。ニューヨークでは、野外ライブは若者だけのものじゃないのです。年齢は関係なく「楽しもう!」とするこの姿勢が、ニューヨークのよさなんだと思います。
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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