ナイキ、コカ・コーラ、キティちゃんとのコラボからメタバースまで手掛けるNYのグラフィック・ファッションデザイナー、ジェフ・ステープル
以前のコラムで、ケイシー・ネイスタット、KAWS、シェパード・フェアリーなど、ニューヨークで活躍するクリエイターやアーティストを紹介してきましたが、今回は、ニューヨークで20年以上活躍しているグラフィック・ファッションデザイナー、そしてインフルエンサーでもあるJeff Staple(ジェフ・ステープル)をご紹介したいと思います。
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jeffstaple@jeffstaple – Instagram
鳩のロゴで有名な“STAPLE”と言えば、ストリートファッションが好きな方はわかるかもしれません。1997年にジェフ・ステープルさんが始めたストリートウェアブランドSTAPLEは、これまでにナイキやプーマ他、ソニー、マイクロソフト、ペプシ、コカ・コーラを始め100以上の企業・ブランドとのプロジェクトを手がけ、その中でも2005年に生み出されたNIKE SB Pigeon Dunkは多くのスニーカーキッズを虜にしました。現在、NIKE SB Pigeon Dunkの価値はかなり跳ね上がり、サザビーズで90,000USドル(約1,167万円)で落札されたというほど。
下記は、Stapleとスニーカーカルチャーを大衆に知らしめた“NIKE SB Pigeon Dunk”。
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Staple@staplepigeon – Instagram
最近では、夏のサンダルの定番、クロックスとのコラボ“Sidewalk Luxe”を発売。カラーはニューヨークのコンクリートジャングルをイメージし、アッパーにはSTAPLEのアイコンである鳩の足を付け、カスタムジビッツは、ブックマッチ、ピザ付きの下水道ワニ、コーヒーの紙カップ、ゴキブリ、チューイングガム、ねずみ、鳩といったニューヨークがモチーフになっています。先月販売開始しましたが、すでにwebストアではソールドアウト。
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Staple@staplepigeon – Instagram
今年の2月には、スニーカーのセレクトショップ「アトモス(atmos)」と「メディコム・トイ」とのコラボによるベアブリックも販売。ボディには、陰陽のバランスを表す東洋のシンボル、背面には平和を表す西洋のシンボルが施されています。
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Staple@staplepigeon – Instagram
そしてほぼ同時期に、キティちゃんとのコラボウェアも販売。STAPLEはメンズのものが多いのですが、これだったら女性も着られます。
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Staple@staplepigeon – Instagram
コラボはファッション系ブランドだけではありません。ニューヨークにあるメンタルヘルスのサポートを行っているMENTL.SESHとコラボし、メンタルウェルネスのためのオリジナルグッズ(日記帳、ストレスボール、薬ケース)を販売。
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Staple@staplepigeon – Instagram
こちらは、ニューヨークの最も有名なハンバーガーショップ、SHAKESHACK(シェイクシャック)、ウーバーイーツとのコラボ!メンズのセットアップを販売しています。
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Staple@staplepigeon – Instagram
ジェフ・ステープルさんがSTAPLEを始めたきっかけというのは、まだジェフさんがニューヨークの美術大学、パーソンズスクールオブデザインでグラフィックデザインを学んでいた時でした。シルクスクリーンでプリントした自作のTシャツを着て、ニューヨークにあるブティックに足を運んだ時、ブティックのオーナーにそのTシャツが欲しいと言われ、オーダーを受けます。これがSTAPLEの誕生となります。
その後、ジェフさんがニューヨークのローカル雑誌、FADERマガジンでアートディレクターをしていた1998年に、FADERマガジン用のNIKEジャパンのインタビューを決行するため日本へ渡航、その時に紹介されたのがミュージシャン・ファッションデザイナーの藤原ヒロシさんだったそうです。
藤原ヒロシさんとは過去に、Black Lives Matterを支援するためのチャリティーを共同で開催しています。このチャリティーで藤原ヒロシさんは、NIKEとのコラボスニーカーAir Jordan 1を提供しています。
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Staple@staplepigeon – Instagram
Stapleでの活動の他にも、2001年に音楽からファッション、アート、スニーカーなどあらゆるものを扱う世界初のライフスタイルブティックReed Spaceをロウアーイーストサイドに出店。さらに、毎回クリエイティブな起業家をゲストに招いて話を聞くポッドキャストBusiness of HYPEも開始しています。
多彩なクリエイティブ活動をしてきているジェフさんですが、STAPLEが25周年を迎える今年、新たに取り組んでいるのがメタバース。「STAPLEVERSE(ステープルバース)」として、「世界中の複数の都市にまたがるオンチェーンのインタラクティブストーリーゲーム」というコンセプトで展開されています。
ジェフさんは「メタバースとはヴァーチャルでのコミュニティであり、アーティスト、コラボレーター、プラットフォームにとって、公平にクリエイティビティをシェアできる機会だ」と語っています。
以下は、STAPLEVERSEの世界観を表現している動画。ニューヨークがベースになっています。
Chapter 1 : Empire Staple Pigeonz – Stapleverse – YouTube
最後に、Lifehackerでのインタビューで「ジェフさんが解決しようとしている問題は何ですか?」という質問に対する答えが興味深かったのでシェアしたいと思います。
“クリエイティブな人々が年をとってより多くの経験を積むとき、彼らの情熱が衰えることは避けられません。彼らの意欲はおさまり、そして他のものが優先されます。しかし、彼らが得た知識と知恵は貴重です。逆に、若いクリエイターは、世界のすべてのエネルギーと意欲を持っています。情熱はたくさんあります。しかし、彼らには知識、知恵、経験が不足しています。
私はこのギャップを埋めようと絶えず努力しています。講演、スキルシェアクラス、ポッドキャスト、若者の注目を集める製品の発表など、それが私の使命と課題です。次世代に力を与えながら、ベテランを元気づけます。”
長い間、第一線でクリエイティブの分野で活躍されてきた経験があるからこその言葉です。だからこそ、たくさんの企業からのオファーが絶えず続くのでしょうし、長くブランドが愛されている証拠なのでしょう。STAPLEがこれからどんな企業やブランドとコラボしていくのか、そしてジェフさんの新しい試みであるSTAPLEVERSEが、今後どのように展開されていくのか楽しみです。
(参考)
YouTube – B/R Kicks – JEFF STAPLE TALKS PIGEON DUNKS, RELEASE DAY IN 2005 AND MORE ON UNBOXED
YouTube – sneakerwatchtv – Jeff Staple on How He Began Work w/ Fragment’s Hiroshi Fujiwara
Lifehacker – I’m STAPLE Founder Jeffstaple, and This Is How I Work