WEB・モバイル2009.04.01

NYの中の東京アート

Dig It! NYC Vol.6
Dig It! NYC 藤井さゆり

やっぱり「トウキョウアート」ってスバラシイのです。 日本人のクリエイティビティに乾杯!

スミマセン、なんだか80年代的コピーで始まってしまいました…。

先日、ブルックリンのウィリアムズバーグで行われたアートイベント“Tokyo Resionalismー東京地域主義”に行ってきました。日本人アーティストの“力強ーーーい!”作品が、2009年2月27日(金)~3月8日(日)までの10日間、イベントスペース、レストランバー、ヘアサロンなど計6カ所で展示されたこのイベント。会場では、ペインティング、インスタレーション、日本画まで様々な作品を見ましたが、日本人の面白さ、カッコよさを感じられる作品ばかりで「日本人バンザイ!」という気分になりました。

ecret Project Robot 会場の1つである「Secret Project Robot」での展示

ecret Project Robot 会場の1つである「Secret Project Robot」での展示

そもそもこのイベントは、東京・銀座にある「Pepper’s Gallery」によるアートプロジェクト。

「Japanese Emerging Artists' Exhibition in NY」として毎年違うテーマで行われ、今年はその2回目。今回のテーマの“Tokyo Resionalism”とは、1930年代のアメリカの芸術運動だった“Resionalisim(地域主義)”から来ているそうで、リージョナリズムとは、当時、アメリカが世界の主流であったヨーロッパのモダニズムに対抗し、「地域主義」運動という名の下、アメリカンリアリズムを主張する芸術運動だったそうです。

 
Naoko SHIBUYA

Naoko SHIBUYA

ディレクターのアスキさんにお話を伺ったところ、イベント名を“Tokyo Resionalismー東京地域主義”にしたのは、「東京という街は世界有数の都市であるけれども、実は意外とよく知られていない街。ならば、今回のアーティスト達の作品を通して、ニューヨークで“今のリアルな東京”を伝えたい」――それがプロジェクトのテーマ“東京地域主義”になったのだそうです。

 
Yosuke INOUE

Yosuke INOUE

私が見に行ったイベントスペースでは、みなさん個々のスタイルがあり、バラエティに富んだ作品が展示されていました。どの作品もクオリティが高く、細部にいたるまで神経が行き届いた、日本人のきめ細やかさが感じられました。

カラフルな作品も多く、ポップな配色というよりは、十二単のような優美さのある色合いであったり、彩度が抑えめの渋い色とゴールドのミックスであったりと、日本人の持つ優れた色彩感覚や美意識を改めて気付かされたような感じです。

いずれの作品からも、創造すること、表現することへの真摯さ、職人っぽさを感じたのですが、それはアーティストのみなさんが、全身全霊を傾けて作品を生み出しているからなのでしょう。アーティストの「気」、クリエイティブ「魂」を感じられました。

 
Reina MIYAMOTO

Reina MIYAMOTO

その中でもご紹介したいのが、現地に来ていたアーティストの一人、宮本麗奈さんの作品。長い1本の鉄を熱いうちに曲げて一筆書きの形にし、そこに花を活けるというもの。なるほど、白い壁に走る鉄が、まさに毛筆で書かれたような曲線を描いています。

目にも楽しい赤い実やねこやなぎなどが活けられていて、ささやかな日本の春を感じました。静寂さ、そして、凛とした和を感じるカッコイイ作品です。

 
Reina MIYAMOTO

Reina MIYAMOTO

「ニューヨークの人たちにも、作品を通して“日本人のクセや気質”といったわかりづらい部分を味わってほしい」とアスキさんは言います。

「日本人の視点で見た微妙な面白さやカッコよさを、ニューヨークの人たちも同じような視点で共感してもらえるかな?」という問いかけ&期待があるようです。

アスキさんに来場者の反応を聞いてみると、嬉しいことに、ニューヨーカーたちにも大変好評な様子。

ニューヨークに住む多くの若者たちには、土地柄、異文化への抵抗もあまりなく、日本に対してはテクノロジーをはじめ素晴らしいものづくり文化、成熟したクリエイティビティを持つ国としてリスペクトがあると思います。

こういったベースがあるからこそ、日本人のカッコよさや面白さが理解できたり、日本人が生み出すアートがニューヨークで受け入れられ、このイベントが支持されるのでしょう。

東京は、ファッション、アニメといった、他に類を見ないセンスや文化の発信地として世界から注目されています。

このイベントを通して、ニューヨークで東京アートへの理解が深まり、東京から発信される文化として、ファッション、アニメと同様に“アート”という声が近い将来多く上がることもあり得そうです。

 
Ryusen MASUNO

Ryusen MASUNO

2009年10月には、同じくPepper’s galleryのプロジェクトで、今度は映像イベントがニューヨークで開催されるそうです。こういうクリエイティブなイベントを通して、ニューヨークとトウキョウ、そして世界がもっともっと近くなるといいですね。来年もどんな作品が見られるのか楽しみです。

こちらから他の画像が見られます(スライドショーが立ち上がります) http://www.flickr.com/photos/32776021@N07/sets/72157615896015894/show/

 

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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