ニューヨーク・ブルックリンでアメリカ人が醸造する日本酒&タップルームBrooklyn Kura
以前にも、Oishii、Bokksu、NYrture New York Nattoなど、日本の食や文化を用いて成功しているニューヨーク生まれのビジネスを紹介してきましたが、今回は、ニューヨークのブルックリンで日本酒を醸造販売しているBrooklyn Kura(ブルックリン・クラ)をご紹介します。
Brooklyn Kura: Hand-crafted Sake On Tap – Behind the Scenes NYC
Brooklyn Kuraは、元アメリカン・エクスプレスで役員をしていた経歴を持つブライアン・ポーレンさんと、元生物科学者で、現在は醸造責任者のブランドン・ドーアンさんというアメリカ人によって創業。
Brooklyn Kuraを知ったのは、お酒の量販店で夫が何気なく買ってきたことでしたが、飲んでみたら予想以上に美味しかったのを覚えています。ニューヨークでも日本酒は手に入りますが、値段が高く圧倒的に品数が少ないので、それ以来、和食を自宅で楽しむ時は必ずBrooklyn Kuraを飲んでいます。正直、このクオリティの日本酒をアメリカ人が作っていることに驚きと賞賛を感じずにはいられません。主力商品は、14番目のレシピということで名付けられた純米吟醸“Number Fourteen”。価格は375mlで20ドル、750mlで30ドル。
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Brooklyn Kura@brooklynkura – Instagram
Brooklyn Kuraの誕生は、ある時、日本で友人の結婚式で知り合ったブライアンさんとブランドンさんが、日本に滞在していた時に味わった日本酒に魅せられ、日本酒を作ろうと決心したことからでした。
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左がブランドンさん、右がブライアンさん。
最初はブライアンさんの家で日本酒を作ることから始め、2016年1月にBrooklyn Kuraをスタート。そして2018年に、ブルックリンのサンセットパークエリアで、醸造所と日本酒が味わえるタップルーム(併設のバー)をオープンします。
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タップルームでは、数種類の生の純米吟醸酒がタップから飲めるようになっています。扉のロゴが目を引くデザインで、内装もシンプルでおしゃれです。
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日本酒を作るのに最も重要な原料である米は、カリフォルニア州とアーカンソー州にある小さな農場から調達、水はニューヨークの水道水を濾過して使用。ニューヨークの水はニューヨーク州中部の山岳地であるキャッツキルから届けられており、日本よりも水質基準が高く、綺麗で軟水なのだそうです。麹はBrooklyn Kuraの醸造所で作られ、酵母は日本からのものだそうです。
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日本酒醸造の工程の一部、アメリカで特別に作られた甑(こしき)で米を蒸している様子。100キログラムの米だそうです。
ブライアンさんは、BuzzFeed Bring Meのインタビュー動画で以下のように答えています。
日本酒が素晴らしいものということは、ニューヨークに住んでいるならば知っているし、日本酒を口にする経験はあるけれども、初めて日本に行く前まではそれが本当にわかっていなかった。日本にいた時に味わった、地元直産から飲める日本酒は、アメリカで見つけられるどんな日本酒よりももっと幅広いし、もっと手頃な価格で手に入りやすい。日本で日本酒を味わった瞬間、私たちは「どうやったらこれを私たちが作れるのだろう、どうやってアメリカに持ってこれるだろう、また、日本酒を作る上での職人技や管理をもっと多くの人に知ってもらうにはどうすればよいか。」ということを思いました。
This Is The First Sake Brewery In Brooklyn, New York – BuzzFeed Bring Me
日本で本当に美味しい日本酒を味わったことがきっかけになり、ニューヨークで日本酒を醸造するという考えに至ったこともすごいですし、何より、それを成し遂げる行動力と情熱が素晴らしいですよね。
そして2021年には、八海山で有名な新潟県魚沼にある八海醸造と業務資本提携を結んでいます。商品開発や販路開拓などで協力し、アメリカでの日本酒の普及につなげるということですが、まだまだアメリカでは日本酒のマーケットは小さいので、これを機に拡大するといいなと思います。
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その他にも、以前にご紹介したニューヨーク産の日本品種のいちごOishiiともコラボしています!フルーティーな味わいの純米吟醸と甘酸っぱい日本品種のいちごの組み合わせ、ぜひ味わってみたいです。
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過去には、日本酒と漫画のイベントも開催。こちらは講談社とAnime NYC(ニューヨークアニメコンベンション)とのコラボ。日本ではなかなか見られないようなイベントですが、ナイスアイディアですね。
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ブランドンさんは静岡県沼津市にある高嶋酒造で実地訓練をしたこともあるそうです。
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ニューヨークに訪れるチャンスがありましたら、マンハッタンから地下鉄で乗り換えなしで来れますので、Brooklyn Kuraのタップルームまでぜひ足を伸ばしてみてください。日本の酒蔵で飲むのとはまた違う経験ができると思います。Brooklyn KuraのあるIndustry Cityには、日本のスーパーマーケットやウィスキーの醸造所、おしゃれなバーやレストランが入っていますので、ぜひチェックしてみてください。
(参考)
The New York Times – Born in Japan, and Now Made in Brooklyn:Sake