スマート&クリエイティブ:Dan Golden Studio
- Dig It! NYC Vol.60
- Dig It! NYC 藤井さゆり
オリジナルで、独特のユーモアもあり、アートのニオイもする、美しいデザインながら他とはちょっと違う面白いセンスを感じるものたち・・・一体誰によるものなのか?
これらを生み出したのは「Dan Golden Studio」という、ダンさん(Dan Golden)とジェンさん(Jen Huh)のパートナー同士のクリエイティブユニット。ニューヨークをベースに活動する彼らは、ペインティング、スカルプチャー、テキスタイル、製品開発といったアートとデザインワークを網羅し、さらに、クライアントやメーカーとコラボレーションしながら様々なクリエイティブプロジェクトを行う、アーティストでありデザイナーです。
お二人のベースは共にファインアートから来ていることもあって、アート要素もありつつ、彼ら独特なセンスが味付けされた製品に、私は心をぐっと掴まれてしまいました。
Dan Golden Studio ~Design works
「Dan Golden Studio」によって生み出されたデザイン&アートワークをいくつかご紹介します。
思わずクスッと笑ってしまう、ひねりの効いたユーモアのあるクッション。
同じシリーズで、ラグもあります。
お皿やワイングラス、コーヒカップのデザインも、遊び心満載。
ちなみに上記でご紹介したクッションやお皿、ワイングラスなどは、モダンでオシャレな家具を扱うショップCB2で売られています。CB2はニューヨークだとソーホーにお店があり、若い人に人気があります。 (※編集部注:http://www.cb2.com/では日本向け発送も対応しています!)
生活を一層楽しくしてくれそうな、ウォールグラフィック。
こちらは、近代建築デザイナーとアメリカ人アーティスト、フランク・ステラの初期作品からインスパイアされたライトコレクシション「Lightforms」。
こちらもまた別のスタイル、1970年代のスタイルでポジティブなメッセージが目を引くラグ「New Age Rug Collection」。
こちらは、「princess pulls」と呼ばれるドアやドレッサーに使われる取っ手部分。美しい、の一言に尽きます!
※商品の写真は全てdangolden.comより転載
Dan Golden Studio ~Interview
最近、彼らは自身のプロジェクトにさらに専念するため、広いスタジオを持つことになりました。スタジオは、マンハッタンから川を渡ってすぐ、ニュージャージー州のMana Contemporaryというアートスペース内にあります。Mana Contemporaryは元タバコ工場だったという所で、びっくりするほど巨大。アーティストが使用するスタジオの他、アート展示、イベントやパフォーマンスのための場所もあり、最近、アラーキーさんの展示会もここで行われました。
スタジオは天井が高く、とてもオープンなスペース。こんな所なら、創作意欲もどんどん涌いてきそうです。向かって左側の壁はダンさん、右側の壁はジェンさんと分けているそうで、それぞれの壁を自分スタイルにペイントする予定なのだとか。楽しそう!
お二人の「クリエイティブラボ」であるこのスタジオで、お話を伺いました。
お二人は「Dan Golden Studio」での共同制作者ということですが、実際にはどのような形で一緒に仕事を行っているのでしょうか。それぞれの担当はありますか?
私たちは、様々な形でコラボレーションしています。例えば、それぞれ独立した形でプロジェクトをすすめることもありますし、また、どちらかがアイディアを持って来て、もう一人がそれを発展させたり、新しいやり方でのアプローチや改良を提案することもあります。そのやりとりはとどまることがありません。 担当は特になく、それぞれがアーティスト・デザイナーという役割です。
コマーシャルプロジェクトとご自身のアートプロジェクト、どちらもクリエイティブワークですが、私はあなたたちのように両方行っている人を他にあまり見たことはないのですが?
最近まで、私たちはスタジオ以外でそれぞれの仕事をしていたのですが、そのことで、私たち自身のアートプロジェクトにフォーカスできる自由がありました。しかし今、コマーシャルプロジェクトとアートプロジェクトを同時に行う上で、よりよいバランスを見つけるべき段階にきていると思います。
これまでにもたくさんのプロダクトデザインや、アート作品などを生み出していらっしゃいますが、お二人がデザインやアートワークをする上で、刺激となっているものは何でしょう?
そうですね、例えば、製品としてインスパイアされるものとしては、BMWやベンツのビンテージカーや、ブリキ製のおもちゃ。映画だと、フレンチニューウェーブシネマ、未来映画、ポスト・アポカリプス・フィクション、ゾンビ、エイリアンムービー。 現代アートでは、ピカソ、ジャン=ミッシェル・バソキア、アンディ・ウォーホール、ヨーコ・オノなど。 デザインでは、イギリスのデザインユニットであるバーバー&オズガビー、オーディオなどの家電デザインを手がけたドイツのデザイナー、ディーター・ラムスなどです。
手がけられたデザインや製品は、基本的にストアやオンラインで販売しているのですか?
そうです。主には、ストア、オンライン、デザインショールームでの販売になります。いくつかの製品は、私たちのウェブサイトかスタジオでも販売しています。
5年~10年後の仕事やビジネスに関して見通しについて教えてください。
大きく成長していきたいと思っています。私たちのアートワークは、もっと強く新しいものになるでしょうし、現代アートシーンの中に私たち自身が深く入り込んでいくと思います。また、国内外で作品を発表していく機会も増えて行くでしょうね。デザイン面に関しては、幅広い認知、製品の流通経路、信頼できるクリエイティブパートナー、優れたメーカーやクライアントとのプロジェクトを通して、ビジネスの拡大を期待しています。
インタビュー中も、二人の会話は流れるように続きます。二人の間でどんどんアイディアが出てくるそうです。とてもスマートでクリエイティブなお二人。こんなお二人だからこそ、クリエイティブワークは2倍も3倍も楽しくそして強力になり、たくさんの素晴らしいデザインやアートが生み出されるのでしょうね。今後もどんなものが彼らによって生み出されるのか、見続けていきたいと思います。
■Dan Golden Studio:dangolden.com ■Mana Contemporary:manafinearts.com
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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