ファイアbyルブタン

ミニ・シネマ・パラダイスVol.18
ミニ・シネマ・パラダイス 市川桂
movie

またまた有楽町のヒューマントラストシネマにやってきました。 映画好きだって、観るものに困るときだってあります。 コレも気分じゃない、かといってこれも気分じゃないし、 でもコレは遠いし遅い時間しかやってないし、コレの公開はまだ先だし・・・ でも何か観たい! そんな欲求を満たせるラインナップになっているのが、ここなのかもしれません。 立地を考えても、マルイやルミネのすぐ近くで、ちょっと大人の女性や、感じの良い主婦、でも新橋も近いからサラリーマンも多い。 そうなると、大きいスクリーンではできないけど、一般受けしやすいライトな、惹きの良い、でもミニシネマらしい味も持っている作品を感じよくチョイスしているような、気がいたします。

「ファイアbyルブタン」も、枠にとらわれず、様々な層に刺さりそうな雰囲気をかもし出しています。 “ルブタン”は女性なら誰でも知ってる、セレブ御用達のシューズメーカーだし、 広告イメージは刺激的な裸の女性ですので、男性も自ずと気になってしまいます。

パリにある有名なナイトクラブ「クレイジー・ホース」で80日間限定で行なったルブタンの公演を 3Dで収めたドキュメンタリーです。

映画館に入ると、80%くらいの座席が埋まっています。 老若男女そろっているようですが、予告編がはじまっているところだったので、 そそくさと席に着きました。 わたしの前にはオシャレな感じの女性2人組みがいました。 左右ははじめは席が空いていたのですが、一人、また一人と埋まりまして、 またそれがすべて男性。気づけば左右は一人客の男性にがっちりと挟まれました。

ルブタンの手がける靴。それもダンサーたちのための靴。 ダンサーたちの鍛えられた脚、引き締まった身体が惜しげもなく映し出されます。 Tバックを食い込ませたお尻が、音楽とともに美しく踊り出します。 ドキュメンタリーは現実を切り取るものですが、切り取り方で様々な表情を見せます。 斜めに切ってみれば、裏側にある人間関係やドラマがあるかもしれないし、 真っ直ぐに切ってみれば、意外な魅力に気づくこともあります。 現実そのものを映すだけでなく、時にそれを加工し、誇張するものだってあります。

本編はいくつかのダンスシーンごとに、 その合間に人気ダンサーひとりひとりをスノードームのような場所に入れ、 その美しい体を回転させ、こちらに魅せてくれます。 またその合間にソファに座ったルブタン自身が、この公演やダンサーに対する熱い思いを語ります。 実際のステージを撮影したものではなく、 80日間限定のステージを、永遠に終わらせないために映像に残そうというプロジェクトらしく、 映画用に様々な角度での撮影や、特殊加工を行っています。 実際のステージ以上に、その魅惑的なステージに魅了されてしまいます。 とにかく、靴!脚!ボディー!エンターテインメント!を堪能できる、 なかなかあるようでない作品かと思います。

とはいえ、はじめからほとんど服らしい服を着ていない女性ダンサーたちが 惜しげもなく踊り、またそれが3Dで飛び出してくるので、 左右の男性客と私はなんだかちょっと気まずい気分になりましたが。笑 映画を観た、というより、ステージを観た、という不思議な感覚を味わいました。

予告編を観て、ぜひ劇場の3Dで、パリ・ナイトクラブのステージを体感していただきたいです! ※予告編のYouTube動画は限定公開の為、今回はリンクしておりません。 映画公式ページhttp://fire.gaga.ne.jp/からご覧ください。

http://fire.gaga.ne.jp/

http://fire.gaga.ne.jp/
監督 ブルノ・ユラン
音楽 デビッド・リンチ
原題 Feu par Christian Louboutin, le film 3D
製作年 2012年
製作国 フランス
配給 ギャガ

Profile of 市川 桂

市川桂

美術系大学で、自ら映像制作を中心にものづくりを行い、ものづくりの苦労や感動を体験してきました。今は株式会社フェローズにてクリエイティブ業界、特にWEB&グラフィック業界専門のエージェントをしています。 映画鑑賞は、大学時代は年間200~300本ほど、社会人になった現在は年間100本を観るのを目標にしています。

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