Z世代を虜にするDTCスキンケアブランド「Bubble」

Vol. 53
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

私には11歳になる娘がいるのですが、最近メイクやスキンケアに興味津々。その娘からある日突然、「バブルのクリームがほしい」と言われました。「バブル」が何なのか全くわからず、娘に聞いてみると「Bubble」というブランドのスキンケアシリーズということで、TikTokで知ったようです。

 

 
 
 
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Bubbleは1990年後半〜2012年頃に生まれたZ世代(ちなみに私の娘は2012年生まれです)をターゲットにし、特にTikTokで人気を集めています。しかし、TikTokで人気だからといって本当に信用できる商品かわかりませんし、まして肌に直接付けるものなので慎重に…と思い調べてみると、製品全てが皮膚科医によって処方されており、シリコン、香料、パラベン、合成着色料は含まれていないこと、原料が植物由来であること、敏感でニキビができやすい肌に向けたブランドであること(娘はおでこにでき始めたニキビを気にしています)、一つ一つの製品が娘のお小遣いでも頑張って買える値段であること($13〜$19)ことがわかりました。

 

私は化粧品にそこまでこだわりはないのですが、ここまで徹底されていると信頼性も高まってきて、まずは娘がほしいと言っていたクリームだけ買ってみることにしました。娘は乾燥肌タイプなので、普通肌〜乾燥肌タイプのためのクリーム「Slam Dunk」​​を購入。キャップを開けてプッシュするとクリームが花の形になって出てきます。こういうのも10代の心をくすぐるのでしょうね。パッケージデザインもビビッドカラーでかわいいです。

 

 
 
 
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こちらは「Fresh Start​​」という商品名のジェルタイプ洗顔料。肌を乾燥させたり刺激したりすることなく、毛穴に詰まった汚れや老廃物を洗い流し、皮脂生成のバランスを整えてくれるそうです。

 

 
 
 
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こちらは、肌の皮脂レベルを調整し、赤みを抑えてくれる化粧水「Break Even」(左)と、水分を与えてバランスを整え、日中のテカリを抑えるミストタイプの化粧水「Bounce Back」​​。

 

 
 
 
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ニキビ用のスポットトリートメントは「Knock Out」と「Fade Away」の2種類。

 

 
 
 
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「Knock Out」に配合されている1.8%のサリチル酸が、吹き出物の元となる毛穴の皮脂などを除去し、白ニキビ、黒ニキビ、吹き出物ができるのを抑え、「Fade Away」に配合されている​5%過酸化ベンゾイルが、肌にストレスを与えることなく細菌を除去してくれるとのこと。

 

これ以外にも、日焼け止めやフェイスパック、フェイスオイル、メイククレンジング、朝用と夜用のスキンケアセットなどがあります。

 

 
 
 
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Bubbleを設立したシャイ・アイゼンマンCEO​​は、自身もニキビに長い間悩んでいたそうで、Z世代向けのサービスを立ち上げるべく、この世代が利用できる既存のスキンケアブランドについて調査したところ、「Z世代は最も先進的な世代であるにもかかわらず、スキンケアに関しては、自分も使っていた昔ながらのニュートロジーナ、クリニークといったブランドを使用している。Z世代はこれらのブランドに繋がりがあるわけでもなく、好きでもなく、楽しんで使ってもいない。」とひどく失望したのだそう。そのことが自分で「Bubble」を立ち上げるきっかけになったと言っています。

 

 
 
 
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ブランドを立ち上げる前にアイゼンマンCEOは、特定の製品に対する人々の反応を確認するため、フォーカスグループ(マーケティングリサーチのために行う対話形式のグループ)を開催。そのフォーカスグループを通じて「ブランドのコミュニティと実際にコミュニケーションを取る方法を見つけたい」と考えたBubbleは、ブランドが正式にデビューする数カ月前に「Geneva」(ジェニーバ)アプリに加わりました。

 

Genevaは2022年にZ世代の間でユーザーが増加したグループチャットアプリです。美容やファッション業界のブランドは、熱心なコミュニティとの関係を構築するために、Genevaを利用しています。Z世代はFacebookを使っておらず、TikTokと少しInstagramを使う世代であり、これらのサービスにコミュニティの要素はないためGenevaに決めたとのこと。Genevaには、Bubbleの顧客でありファンである「ブランドアンバサダー」が製品についての質問ができる部屋があり、GenevaアカウントはBubbleチームによって社内で管理されています。

 

 
 
 
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ブランドアンバサダーは、クチコミやSNSを通してブランドの認知度を広めたり、Bubbleの製品テストプログラムに参加し、製品開発者と協力して貴重なフィードバックを提供する​​などの役割があります。ブランドアンバサダーになるには13歳以上、18歳に満たない場合は保護者の許可が必要で、Instagram、TikTok、Pinterest、YouTubeの中で少なくとも一つのアカウントを持っていることが条件となります。

 

ブランド誕生は2020年でまだ3年ほどしか経っていませんが、TikTokのフォロワー数は150万人(2023年9月現在)、通常一日一回投稿されるBubbleのTikTok動画は平均で二十万回再生、中には数百万回再生されているものもあります。​​

 

アイゼンマンCEOは、TikTokでのブランドの急速な成長は顧客との関係によるものだと話します。例を挙げるとすると、TikTokに投稿されたほぼすべてのコメントにBubbleが返信していることや、7,000人のファンから組織する前述のアンバサダープログラム、そして、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を取り入れていることです。

 

 
 
 
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ユーザー生成コンテンツとは、 一般ユーザーがSNSに投稿する写真や動画やレビューといった消費者が作成したコンテンツのこと。Bubbleの例としてはこうです。アイゼンマンCEOは、TikTokに投稿されたファンによるBubble製品の紹介動画を見ていて、多くの動画の背景に動物のプラッシュトイが置いてあることに気づきます。そこでBubbleで最も人気が高い製品「Slam Dunk」をプラッシュトイとして販売す​​ることに決めました。2023年6月にTikTokに投稿された「Slam Dunk」プラッシュトイのティーザー動画は、2023年9月現在、120万回再生されており、コメント欄は「かわいい!欲しい!」で溢れかえっています。販売価格は$17。

 

@bubble

Stay tuned. Something cozy’s coming soon!👀

♬ youre my best friend – queen 𓆩 ♡ 𓆪

 

TikTokを投稿した翌日は売り上げが増加する傾向にあるBubbleですが、当初はウォルマートのみで製品を販売するDTC(Direct to Consumer=顧客直結)ブランドでした。それはBubble立ち上げ前に行われた調査で、Z世代の消費者の40%以上が月に3~4回ウォルマートに通っていて、同世代の58%が大型小売店でスキンケア製品を購入しているという結果があったため。意外にもオンラインでの購入をしている人はわずか20%だったとのこと。オンライン購入が少ないのは、おそらく、10代はスマホは持っていても自分のクレジットカードはまだ所持しておらず、自分がほしいコスメはお小遣い=現金を持ってお店に買いに行くことが多いからだと思います。現在はBubbleウェブサイトの他、Amazon、大手ドラッグストアCVS、美容専門チェーン店ULTAでも購入できますが、Bubbleは「ブランドを真にアクセスしやすいものにすること、通路にあること、都市部だけでなく消費者が本当に見つけやすい場所にあること」​​を優先に考えています。

 

 
 
 
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ちなみにBubbleの本社はニューヨークのマンハッタンにあります。BubbleのTikTok動画を見ていると、「Bubbleが大大大好き!」「ブランドアンバサダーになりたい!」という熱の高いコメントがとても多いのですが、イギリスのマンチェスターにポップアップストアが出店すれば、色々な都市や違う国からも「来て!」とリクエストされていて、アメリカだけでなく世界中のZ世代も虜にしている様子。日本に上陸する日も近いかも?!

 

(参考)

Bubble  Skincare

Bubble  TikTok

Everything From This TikTok-Viral Skincare Brand Is Under $20 and Actually Works – Who What Wear

Bubble Skin Care Targets Gen Z With Launch At 3,900 Walmart Locations – Forbes

How Brands Are Using Gen-Z’s Latest App – The Business of Fashion

How skin-care brand Bubble uses Geneva, an app popular with Gen Z – Marketing Brew

‘They love being heard’: How Bubble built an avid fan base via TikTok and brand ambassadors – ModernRetail

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。
https://lnk.bio/foxylilly
Instagram: @foxylilly

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