だいぶ秋になりましたが、今年も秋は短いのでしょう。「今年の夏は暑いね」と今年は何度言ったかわかりません。この「今年の夏は暑い」というセリフは去年も一昨年も言いました。「今年の冬は寒いよね」は言う年もあれば言わない年もありますが「今年の夏は暑い」はずっと言っている気がします。そして間違いなく来年も再来年も言うはずです。でもその先はどうだろうと考えると恐くなりました。

というのは、10年後はおそらくまだ「今年の夏は暑いね」で済んでいるかもですが20年後はもはや暑いを通り越して簡単に「暑いね」とか言える環境ではなくなっている気がしますし、さらに30年後は四季など忘れ去られていそうです。その頃の世の中はどうなんでしょう。スマホはさらに進化してとんでもないことになっていますよね。もう本体は持ち歩くことはなく口で「ピッ」とか「ポッ」とか「プッ」とか言うと空中に画像が現れて顔認証で通信開始。冗談ではなくこれはもし来年に実現されても驚かないです。だってスマホ元年が2011年ですからついこの前のこと。でももうその前の世界に僕たちは戻れない。一度便利の味を知ったらそれを手放すことはしないのが僕たち人間。実に困った生き物です。交通手段もです。最近よく街で見かける自転車なのかバイクなのかわからないアレとか、ローラースルーゴーゴーの親方みたいなアレとかは、乗りたい気持ちよりも危ないという思いが先に立ちます。きっと大きな事故が起きます。そしてまもなく車は空も飛ぶのでしょう。

と、ここまで考えたところでふと、そもそも30年後はもう僕はいないだろうし平均寿命で考えると20年後もあやしいなという不安（？）がよぎり思考停止。突如、悩んだり人を羨ましがったりする時間すらアホらしく思えて、今見たいものを今見て今やりたいことを今しようという気持ちが強くなり、いきなり早速（意味ダブリも気にしない苦笑）見たいと思っていた映画を見にそのまま街に出ました。原田眞人監督の『BAD LANDSバッドランズ』。これはもう単純に主演の安藤サクラがデビュー作『百円の恋（2014年、武正晴監督）』から目が離せないでいる（最近の軽めのコトバでいうと「推し」）ので見たかったのですが、見てよかったです。面白かった～、これぞ映画、小さい画面で見るものではありません。メチャ（少し丁寧に言うと「震えるほど」）よかったです！多少ネタバレを含みますが（この但し書き付けないと今はダメなのかなぁ）、特殊詐欺を扱った犯罪映画です。冒頭この手の映画でありがちな犯罪実行のシーンから始まったので、アレアレこのパターンかよ、と一瞬思ったのですがその気持ちを数分後には見事に裏切ってくれて、そこからはぐんぐん映画の中に引きずり込まれました。僕の好きな漫才師であらゆるサブカルに造詣の深い米粒写経のお二人がYouTubeで同様のことを言っているのを後日発見してうれしくなりました。

映画館を出た後、夕方に人と会う約束の時間までまだ少しありました。待ち合わせ場所は恵比寿。それならばと東京都写真美術館に寄ると偶然ホンマタカシさんの写真展をやっていたのでふらっと入りました（※写真①）。

※写真①

そして現在進行中のホンマさんのエネルギーをこれでもかと浴びました。毎年毎年よくこれだけ撮りまくるものです。僕は1999年の暮れに一度だけホンマさんと仕事をさせていただいたことがあります。クライアントは地元のファッションビル。そのときは福岡の街の中でホンマさんに老若男女をスナップで撮ってもらいました。ただ広告なのでひとつだけ条件（翌年が2000年だったので全員にピースをしてもらいました。ピース＝2というベタ企画）を付けてあとはホンマさんに自由にやってもらいました。今回の写真展のタイトルは即興ですがモチーフは風景。ホンマさんの瞬間にかける姿が思い出されて帰宅後当時の仕事のスクラップを見返しました（※写真②）。

※写真②

ホンマさんの写真に僕が拙いコピーを書いています。その中の一つ、幼い女の子の写真につけたコピー「未来のことを思うと、恐くなるのはなぜだろう。」今日の午前中にこれとまるで同じ気持ちになったことをフシギだなぁ、と思いながら早めに床につきました。

ところで今回のタイトルは原田監督とホンマさんの二人の作品を見た夜に浮かんだコトバですが、僕はできれば自分の布団の上で寿命で死にたい、という話はまたの機会に。

※写真は許可を得て撮影しています。

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