Behind the scene: Morisawa Fonts シンガポールでサービス提供開始の舞台裏
2020年12月のスタートから今回で連載40回目!あの頃は、このような対談が実現するとは思っていませんでしたが、きっといつかやれると信じて書き続けてきました。書き続けてきたからこそ、実現したこの企画!
今回はモリサワフォントで有名な株式会社モリサワの田葉井大氏と、2024年2月29日からシンガポール国内に向けてサービス提供を開始した「Morisawa Fonts」の舞台裏を対談を通じてお届けします!
対談のお相手:株式会社モリサワ サービス企画部 田葉井大(たばいまさる)氏
英語インターフェイスに対応したMorisawa Fontsはシンガポールが初の海外サービス展開国
田葉井氏:シンガポールは、英語、中国語、マレー語、タミル語の様々な言語が混ざりあう文化で、かつ国内外のグローバル企業のアジアパシフィック地域のマーケティング統括拠点が多く所在していることが背景にあります。
Morisawa Fontsの書体ラインナップとして搭載されている数が多い「CJK(中国語・韓国語・日本語)」においても、利用される確率が高いだろうという予測から、シンガポールでテストマーケティングとなりました。
大石:
シンガポールでテストすることで、その後の海外展開につながる貴重なインサイトが得られるだろうということですね!
田葉井氏:
ちなみに英語インターフェイスに対応したMorisawa Fontsについてはシンガポールが初のサービス展開国となります。
大石:
ちなみに田葉井さんご自身は過去に海外展開のプロジェクトを手がけたことはあるんですか?
田葉井氏:
海外はまったくないです。
大石:
田葉井さんって、すごいですよね!しかも初回のお打ち合わせをして、すぐにシンガポール出張の日程を決められて「シンガポール行きます!」と。
田葉井氏:
いってきまーす、という感じで。
大石:
田葉井さんのフットワークの軽さが際立って感じられたというか、御社の本気度を感じた瞬間でした。
田葉井氏:
じつはMorisawa Fontsに関しての海外展開については以前からすでにある程度決まっていたのですが、現地でのコネクション作りに関しては一任されていたので、それならば悩むよりもいざ現地へ、と。
大石:
そうだったのですね!
株式会社モリサワとMorisawa Fontsがシンガポールでローンチされた経緯についてご紹介!
株式会社モリサワ:https://www.morisawa.co.jp/
Morisawa Fontsのサブスクリプションサービスがシンガポールでリリース:
モリサワは、日本最大手のフォントメーカーで、Windows OSに搭載されているフォントや、出版社や印刷会社が使用する、書籍や印刷物に使われるフォント、Webサイトやアプリ、ゲームや広告、映像など幅広い分野で活躍するフォントを開発している会社です。出版社やデザイナーの方向けに、2,000書体以上のフォントが使用できるフォントサブスクリプションサービスMorisawa Fontsを日本で展開しています 。このたびシンガポールでもこのMorisawa Fontsの販売を開始しました。日本ではモリサワの文字を見かけない日は無い、とまで言われているデファクトスタンダードのフォントをシンガポールでもご利用いただけるようになりました 。シンガポールに進出している企業でも有名アパレルや飲食チェーンなど様々な企業がモリサワのフォントを利用しています。
デザインデータを海外の法人やデザイン会社などとやり取りする際や、日本語の広告デザインを海外現地でローカライズする際の現地語のフォントの指定など、これまで海外での利用に関する要望があったそうです。今回のシンガポールでのリリースはその要望に応えるべく実施されました。
そのなかでFellows Creativeをパートナーに選んでいただいた理由は?
大石:
ありがとうございます!最終的に、今回のシンガポール展開のプロジェクトをリードする人材のサーチからプロジェクト自体の進行のサポートまでさせていただきました。Fellows Creativeに決めていただいた理由をお聞きしてもいいですか?
田葉井氏:
まだプロジェクト自体はそこまで大きな規模ではない中で、いざ現地に行くぞと言ってもシンガポールには、ほぼネットワークがない状態で、現地の協力者無しでは成果の乏しい出張になってしまう危機感があり、サポートしてくれる会社はマストだと思っていました。その中で、大石さんと打ち合わせをしたところ、人材に軸足が置かれているものの、プロジェクト単位でもお手伝いいただけると聞き、なによりも「同じ目線に立って話を聞いてくれる」と感じました。モリサワの社内ではよく‟地上戦“といったりする“地道な営業活動”が必要だろうと思っていましたし、そう言う意味でもパートナーとしてベストだと思いお願いすることにしました。
大石:
ありがとうございます!こうやって言葉にしていただくととても嬉しいです!
田葉井氏:
実際、大石さんは「こういったプロジェクトをご一緒するのは初めてです」と言っていたと思いますが、うちもそれは同じだったし。であれば一緒にタッグ組んでやりましょうよ、となりましたよね。
大石:ははは、たしかにそうでした。できないことはできないと言います、が、できそうなことは最大限やります、というのが大事にしているスタンスなので、それが伝わったってことですね。
田葉井氏:
そうですね。
大石:
よく言うのですが、僕たちエージェントには情熱が大切だと思っています。それは御社の場合と同じくお客様がやりたいことをきちんと把握すると共に、同じ想いの強さで仕事を依頼するスタッフの方へ語ることです。その熱さで語るから、彼らも「よし、やりましょう!」となってくれます。今回弊社がご紹介・アサインしたスタッフはクリエイティブコンサルタントとしてシンガポールと日本の両国で活躍する方だったので理想的なプロジェクトチームが作れたのかなと感じています。
田葉井氏:
その通りですね、良い出会いをありがとうございました。
Morisawa Fontsを使って欲しいと思うお客様にとても近い方でした
田葉井氏:
彼女自身がクリエイティブコンサルタントとして主にブランディングやデザイン領域でお仕事をされている方ということで、我々モリサワがシンガポールでMorisawa Fontsを使って欲しいと思うお客様にとても近い方でした。その彼女にプロジェクトを率いてもらえると言うことで、これ以上ない人材だったと思います。
田葉井氏:
そうだったんですね!私もベストマッチだと感じたのは、彼女自体が理想的なお客様像に当てはまる人物だったから、彼女の意見を聞くことによって調査の一部にもなるというところで。
大石:
なるほど。
田葉井氏:
どういった結果がわかったとしても、彼女の意見は弊社のプラスになるだろうと思いました。
その後もとんとん拍子に進んでいって。その頃にはFellows Creative以外の選択肢は無かったです。
大石:
それがすごいなと思います!田葉井さんの決断力というか、推進力というか。
先進的なイメージだったシンガポールですが、おおらかで陽気な雰囲気のある東南アジアでした
大石:
シンガポール出張のことも思い出しながら話したいです!シンガポールの印象は来る前と変わりましたか?
田葉井氏:
来る前はシンガポールには先進的なイメージをもっていて、西洋化されているだろうなとおもっていました。だけど、ローカルに暮らしている人たちの生活スタイルは全然西洋っぽくなくて。
おおらかで陽気な東南アジアの雰囲気が好きになりました。また、今年で建国59年という比較的新しい国のシンガポールですが、イギリス統治時代に建てられた建築物が残っていますし、テクノロジーの先進国でありながら、そこに昔ながらの文化を感じました。これは来てみないとわからなかったことですね。
大石:
そうですよね。僕もそんなシンガポールの雰囲気が大好きです。
実は今回の出張では現地のクリエイティブ領域で働いている方々に取材しましたよね。彼らに対する印象についてはどう感じられましたか?
田葉井氏:
ダイナミックな勢いがあって新鮮に映ったのですが、ディテールがラフに感じるものも見かけました。もちろんかっこいいクリエティブがたくさんあって魅力的なのですが、素朴なところはすごく素朴で、大雑把な面もあるな、みたいな。
大石:
あー!それはすごいわかる!僕も4年いますけど、技術はあるのになんでかなって。
田葉井氏:
街を歩いてみた印象でしかないので一つの視点としてですが、例えば飲食店のロゴあるじゃないですか。で、フォント調査も兼ねていたので目についたのですが、間違った日本語のまま作られていたり、中国語の漢字で日本語を表記したものがあったりと。我々としては海外あるあるなのですが、弊社が入っていく必要がある、もしくは入っていける可能性を感じる一つだなと思いました。
まさに、と言う部分ですからね
田葉井氏:
東南アジアはこの10年、20年で大きく発展を遂げて変化していますが、日本にいると、なかなかそれに気づいていないですよね。
今回デザインの領域の調査からシンガポールでサービス開始できたことによって、東南アジアのパワーを感じましたし、シンガポールを拠点に、日本と東南アジアのつながりを作っていきたいと思いました。
大石:
僕自身はこのFellows Creativeという人材に軸足をおいたビジネスを展開する中で、エージェント(代理人)として日本とシンガポールと東南アジアの架け橋になりたいと思っているのですごく共感できます!
Fellows Creativeの大石の印象は「まっすぐな人」
大石:
話が変わりますが、僕の印象を聞いてもいいですか?
田葉井氏:
すごく真っ直ぐと言うか、人のことをうがった目で見ない人だなという。
大石:
ありがとうございます。自分で聞いておいて照れますね。
田葉井氏:
笑
大石:
僕自身もシンガポールの人たちと仕事を通じて触れ合う中で、人間的に成長させてもらったと思います。前提として相手の話をよく聞いて受け入れる方が多くて、それは多様性のある環境で育ってきた方が多いからでしょうね。だから会話の中でも表現が直接的だし、婉曲した表現を好んで使う人は稀ですね。あと日本の「本音と建前」はほぼ皆無です。ここビジネスをしていく上では重要です!ちゃんと言いたいことを伝えないと伝わらないですし、できないことややりたくないことはNoと言わないと。
大前提、何がわからないかをわかっていない人が日本の企業には多いと思う
大石:
今回ご一緒させていただいて、Fellows Creativeと仕事をするメリットみたいなところを他の企業の方に言えるとしたらどんな部分がありますか?
田葉井氏:
僕自身がそうでしたけど、 「何がわからないかわかっていない」状態からわからないことを明確化していくために、現地調査や現地の方のお話を聞く必要がありました。ペインポイントに対してFellows Creativeは、最適な人材を紹介してくれるだけで無く、現地調査のアテンドや顧客になり得る方々とのミーティングの機会を作ってくれました。それが良かったですね。
大石:
おお、ありがとうございます!
田葉井氏:
結局、自分たちでは、いきなり現地に行ってもつながりなんてつくれないですよ!日本から海外へのアポイントって簡単じゃない。その意味では今回大石さんに“ハブ”になってもらってスケジュールを組んでもらいました。思ったよりギチギチで疲れましたけど。
大石:
僕も「こんなにアポ組んで大丈夫かな」とは思ってましたよ!笑
田葉井氏:
でもあれが私たちの背中を押してくれるブーストの役割になりました!あの数のセッティングがなければここまで実現する絵は描けなかったと思います。
大石:
ありがとうございます。田葉井さんたちもシンガポールは初めての中で慣れないこともあったかと思いますが、そういっていただけるとすごく自分の存在意義を感じます!
Fellows Creativeを通じて出会った方々をさらにまた繋げていく
Fellows Creative が拠点を置くシンガポールのオフィスにて撮影
大石:
田葉井さんからみてFellows Creativeの強みはどこだと思いますか?
田葉井氏:
プロジェクトを通じて出会った方々が、またさらに別のプロジェクトでお仕事を共にしていく、みたいなことなのかなと思っていて。実際それは我々モリサワが体感したことでもありますが、そこが一番大きなアドバンテージだと思います。
大石:
シンガポールは人口も600万人に満たない小さな国ですが、だからこそ人と人との距離が近いし、繋がりも多いです。中核事業としてシンガポール国内の企業への人材紹介をしていく中で、「誰からの紹介か」がキーになると思っています。だから一人一人とのコミュニケーションは深くあるべきだし、相手の情熱を汲み取って、繋いでいくのがFellows Creativeのエージェントですね。
今回、久しぶりに(株式会社モリサワ本社がある)大阪に行きまして。やっぱり活気があるなと。大学時代、僕は京都に住んでいたのですが、その時よりも強く感じました。2025年には大阪万博もありますから、例えばそれを目掛けて海外展開を準備していきたいという会社が周りにいらっしゃいましたら是非ご紹介ください。
田葉井氏:
もちろんです。そしてまだ今回のプロジェクトは続きますので、ひきつづきよろしくお願いいたします。
大石:
はい、よろしくお願いいたします!
参照
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