循環型経済を実現する、100%リサイクル・ゼロウエストのサスティナブルスニーカーブランドThousand Fell
「ゼロウエスト」と言えば、これまでに、オレゴン州ポートランドでゼロ、もしくはローウエストライフの方法をシェアするYouTubeチャンネルBlessing Plantや、ニューヨーク市の衣料品産業から出る廃棄物となった素材で洋服を製造販売している、サスティナブルなファッションブランドZero Waste Danielを紹介してきましたが、今回ご紹介するのは、全てのパーツを100%リサイクルできるゼロウエストのスニーカーブランドThousand Fellです。
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こちらのスニーカーはThousand Fellのベストセラーとなっている商品ですが、見た目は全く普通のスニーカーと変わりませんよね。Thousand Fellでは、履いて不要になったスニーカーを引き取り、丸ごとリサイクルするモデル“を立ち上げています。顧客が古いスニーカーをThousand Fellのリサイクルプログラムに出すと、靴が分解され、すべてのパーツがリサイクルまたは堆肥化(※)される仕組みです。
※堆肥化:微生物の力で有機物を分解・発酵させ、有機肥料をつくること
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同社はリサイクル業者と協力し、素材をリサイクルしやすいよう、簡単に分解できるユニセックスのシューズをデザインしました。例えば、アウトソールは水性接着剤で取り付けられているため、リサイクル施設で簡単に剥がすことができます。一部のパーツは新しいスニーカーにリサイクルできますが、その他のパーツは個別に堆肥化またはリサイクルされます。
スニーカーは可能な限り耐久性を持ち、時代遅れにならないようクラシックにデザインされています。スニーカーが擦り切れた場合、顧客は前払いの配送ラベルを使用して会社に送付することができ、会社は地元のリサイクル業者および産業用堆肥化施設と協力し、次の購入に向けてのクレジットを顧客に与える仕組みとなっています。
販売価格は、メンズ・レディースとも125ドルと130ドルの設定で、購入時にリサイクルクレジット20ドルを上乗せして支払わなければなりませんが、リサイクルするとそのクレジットが戻ります。
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この仕組みがThousand Fellの創始者が立ち上げたSuper Circleというプログラムで、Super Circleは自社ブランドのThousand Fellのスニーカー以外の衣類でも可能にしています。
不要になった衣類(洗濯済みのもの、どんなブランドでもOK)を前払いの配送ラベルを付けてSuper Circleに送付すると、送った衣類に対してクレジットが付与され(最大65ドル)、次回のThousand Fellスニーカーの購入に使うことができます。
Super Circleでは、送付された衣類が届き次第、アイテムの収集・分類を行い、その後、その衣類を繊維リサイクルパートナーに引き渡し、新しい繊維に変換して新しい製品に使用します。顧客は自分が送った衣類が最終的にリサイクル、アップサイクル、またはダウンサイクルされたかどうかをWebサイトで確認でき、次回のThousand Fellスニーカーの購入に対してクレジットを受け取ります。
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これがSuper Circleが行っているプログラム、サーキュラーエコノミー“循環型経済“です。循環型経済は、企業や個人が天然資源を枯渇させるのではなく、回復することを奨励するシステムです。
耐久性があり長持ちし、かつリサイクル可能な設計でスニーカーを製造する
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顧客に長く履いてもらうことで無駄を省く
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顧客が長く履いたスニーカーをThousand Fellで堆肥化またはリサイクルする
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スニーカー製造に使用した資源を補充し、より良い状態で地球に残す
※これの一つの方法として、大気中のカーボンを除去し使用する水の補充をするという、「カーボンと水のオフセット」を行っています。
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循環型経済は、温室効果ガスの排出、水の流出、廃棄物の削減、また、耐久性がある製品を作ること、リユース・リサイクルすることで材料の無駄を防げ、天然資源と自然システムの再生にも貢献します。
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毎年1,100万トンの衣類と靴が埋立地に捨てられている現状。Thousand Fellは、廃棄物や汚染を排除し、製品や材料を使い続け、自然システムを再生することによって、私たちはすべてを再発明することができる、と言います。
同社は2018年に、クロエ・ソンガーさんとスチュアート・アーラムさんによってスタート。循環型経済のアイディアは、二人が前職で在籍していた中国内外、アジアで経験した「牛革レザー工場や合成繊維工場でのプロセス」や、「在庫をはるかに超えた受注の問題」といったことが元になっていて、Thousand Fellを始める前から構想していたそうです。本社はニューヨークのマンハッタンにあり、デザインはニューヨークで、製造はブラジルで行われています。
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創始者のスチュアート・アーラムさんとクロエ・ソンガーさん。
ちなみに大手のスニーカーブランドのナイキは、2023年8月に、ISPA Link Axisという全てのパーツをリサイクル可能にした循環型スニーカーを発売しています。ナイキのウェブサイトでは、元々の販売金額300ドルのところ、39%オフの180ドルで販売されています。Thousand Fellの循環型経済が今後、さまざまなところで影響を与えることになるかもしれませんね。
(参考)
When you wear out these white shoes, you can send them back to be 100% recycled – Fast Company
Reformation partners with SuperCircle to enable fiber-to-fiber recycling – Glossy
How Thousand Fell is Championing True Circularity – Sustainable Fashion Forum
The Nike ISPA Link Axis, Made Of 100% Recycled Materials, Is Back In “Anthracite” – Sneaker News
foxylilly.com
Instagram: @foxylilly