「2024年シンガポールデザインウィークが、9/26~10/6にかけて開催!潜入レポート編」

Vol.46
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. 代表
Junya Oishi
大石 隼矢

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。

前回のコラムとの連動企画として。シンガポールデザインウィーク(Singapore Design Week:SDW)について書いていきたいと思います。(前回のコラムはこちら

毎年開催されているシンガポールデザインウィークは、創造性と革新の祭典であり、ユネスコ・デザイン都市であるシンガポールで、シンガポール内外の最高のデザインを紹介するイベントです。

実は今年初めて、モリサワフォントで有名な株式会社モリサワが展示側として出展いたしました。弊社も大きく関わらせていただいたのですが、その模様にもふれつつ、シンガポールデザインウィークへ潜入したレポートができればと思います。読者の皆様が知らないシンガポールのデザイン・アート最前線をお届けします!

https://sdw.designsingapore.org/

■Typography as Muse

まずは冒頭で触れた展示イベントから!

「Typography as Muse~Beyond the Boundaries of Language」と題されたこの展覧会は、アジア全域から集まったグラフィックデザイナーや教師、学生たちの作品を紹介する展示イベント。主催は、日本を代表するフォント開発企業モリサワ、共同企画はシンガポールのタイポグラフィー集団Death of Typographyが務めています。総合プロデューサー的な立場として関わってくれた弊社契約のクリエイティブコンサルタント Yukie Huidge Shawさんのインタビュー記事はこちら

 

この展覧会では、タイポグラフィーを通じて文化やアイデンティティを探求し、言語の境界を超えて表現することに挑戦していました。アジア各国から集まった参加者たちは、異なる言語システムへの理解やそれに対する不完全さが、自分自身や世界における立ち位置にどのような影響を与えるのかを作品を通して問いかけています。そもそも、タイポグラフィーはその言語的意味から切り離せるのかという挑戦的なテーマさえ浮かび上がってきて、単に作品を眺めるだけでなく言語を使う者として深く考えさせられる機会でした!

文字は視覚的な魅力と文章としての意味を持つ、独特なコミュニケーションの手段です。その二面性が、無限の解釈の余地を持っていることを、この展示会は見事に示していたのではないかと思います。展示された作品は、訪れた方に新たなタイポグラフィー表現の可能性を考えさせ、自分の文化圏を超えた言語体験を提供してくれます。

主催者の紹介

株式会社モリサワ

モリサワは、アジアおよび世界の多言語フォントを支える日本のトップフォントメーカーです。大阪に本社を構え、半世紀以上にわたるフォント開発の経験を持ち、多言語対応のフォントにおいても業界をリードしています。

Death of Typography

Death of Typographyは、シンガポールを拠点に活動するタイポグラフィー集団で、革新的かつ境界を押し広げるデザインで知られています。彼らのアプローチは、従来のタイポグラフィーの枠にとらわれない、挑戦的なものばかりです。

この展覧会は視覚的コミュニケーションの未来を垣間見る絶好の機会であり、タイポグラフィーが単なる「文字」ではないことを実感させられるものでした。

As a Matter of Fact

続いて、シンガポールデザインウィークの中でもう一つ注目していた「As a Matter of Fact」に行ってきました!この展示会場では、デザイナーたちがそれぞれ異なる素材を担当し、テーマは「デザインでつくる、より良く持続可能な未来」。最近のデジタル化や無形化が進む中で、「素材の大切さ」と「想像力」を通じて、心に残る持続可能なデザインを生み出すことが重要だよね、というメッセージが込められています。

プロジェクトはリサーチフェーズからスタートし、各グループは与えられた素材の出所や加工方法、使い方、製造過程などを徹底的に調査。その後、その素材を使って画期的な作品を生み出したアーティストやデザイナーのケーススタディを行ったそうです。ここが面白いポイント!グループごとに、与えられた素材と他の副素材を組み合わせて「新しい素材」を創り出すというクリエイティブな作業が待っています。これが次の「ハイブリッド理論」プロジェクトへの伏線となっているんです。

このプロジェクトは、素材に対する理解を深め、素材同士を組み合わせて新しい価値を生み出す創造性を刺激することが目的。デザインやアートにおける先駆的な取り組みからインスピレーションを得て、素材が持続可能で意味のある暮らしにどれだけ重要かを考えさせてくれます。「デジタルの時代でも、やっぱり物質は大事!」というメッセージをシンプルに伝えつつ、未来を見据えた素材使いの可能性を感じられる展示でした。

主催者

LASALLE芸術大学(シンガポール芸術大学)

LASALLEは、東南アジアで最も評価の高い芸術大学の一つで、パフォーミングアーツやアート&デザイン分野でトップの地位を誇ります。ここでは、次世代のアーティストやデザイナー、クリエイティブ業界のリーダーたちが、グローバルな視野を持ちながら学べる、インターディシプリナリー(学際的)な学習環境が整っています。

Ship of ReNeWorld: Navigating towards a Better Future

もう一つ紹介させてください!同じLASALLE芸術大学内にて空間・プロダクトデザイン学部(SSPD)の2024年卒業予定のインテリアデザイン学部の学生10名による展示が目を引きました。この展示は、社会や環境に配慮したデザインプロジェクトを通じて、「良いデザインがどのように未来をより良くできるか」という理論的なビジョンを提示しています。

この展示のテーマは「船」。みんなが「同じ船に乗っている」というメタファーを使って、世界が協力してより良い未来に向かって進んでいけることを表現しています。展示デザインも物理的な「船」の形をモチーフにしていて、来場者はまるで船に乗り込むかのように、この未来への航海に一緒に参加する感覚を楽しめる仕掛けになっています。

またそれぞれのデザイン模型は実際のシンガポールにある場所をフィーチャーしていて、当然私も行ったことや知っている地名が出てきており「こんな未来の建築がシンガポールにできるかもしれない!」と心躍りました。

主催者

LASALLE芸術大学 空間・プロダクトデザイン学部(SSPD)

LASALLEは、アジアでトップクラスの現代芸術・デザイン教育機関であり、次世代のアーティストやデザイナー、クリエイティブ業界のリーダーたちを育成するための学際的な学習環境を提供しています。また、シンガポール芸術大学(University of the Arts Singapore)の創設メンバーでもあります。

この展示は、デザインを通じて社会や環境への意識を高め、未来を見据えた共通のビジョンを一緒に「航海」するというユニークな体験ができるイベントです。

全て回ることはできませんでしたが

全ての展示会場を回ることはできませんでした。しかし、本イベントは規模感としては国内のいろんな場所で展示やワークショップがされている大きなイベント!皆様にお届けできるのが一部となってしまい申し訳ないのですが、せっかくの機会ですのでどんなイベントや展示があったかだけでも知って欲しく、以下のリンクも併せてご紹介いたします!

シンガポールデザインウィーク 全イベントまとめ
https://sdw.designsingapore.org/all-events/

■まとめ

私たちFellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd.は、ここシンガポールや東南アジアを拠点としているクリエイティブな人材と多くのネットワークを持っています。

この記事を読んでくださる企業の皆様には、フェローズシンガポールをぜひ課題解決や新たな取り組みに活用していただければと思います!ぜひプロフィールよりお気軽にご相談ください。

Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd.では、フリーランスのクリエイターがリモートワークでプロジェクトを受注できるようなサービスをはじめました。その名も「Fellows Creators」。例えば日本在住者がシンガポールの案件を、シンガポール在住者が日本の案件を、といった形でクロスボーダー(越境)に案件の受発注ができるようなエージェントサービスを目指しています。

https://fellow-s.com.sg/fellows-creators/

プロフィール
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. 代表
大石 隼矢
1990年 静岡県焼津市生まれ。2012年 京都外国語大学 卒。2010年カナダ・ウエスタンオンタリオ大学へ交換留学。2012年株式会社フェローズ入社。2020年4月にフェローズ初の海外拠点であるFellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd.の責任者に就任。シンガポール国内のクリエイティブ人材や専門職人材に特化した人材マネジメントサービスを提供している。
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