「オリーブオイルは高級である必要はない」総売上4,800万ドル、新進気鋭のオリーブオイルブランドGraza

Vol. 65
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Sayuri Fujii
藤井さゆり

高級なオリーブオイルを買ったからサラダにかけて贅沢な気分に…とかよく聞きますよね。高級なものではなくても、オリーブオイルのボトルって意識高そうなデザインのものが多いですよね。

 

古い歴史があり、たくさんの料理やトッピングに使われ、数多くのブランドがあるオリーブオイルですが、アメリカで売られているオリーブオイルは、古いものや安価なものとブレンドされて生産されていたり、イタリア産と謳っていても他の国のオイルとブレンドしたものが販売されていることがほとんどだそう。

 

ニューヨーク・ブルックリン出身のアンドリュー・ベニンさんが始めたスタートアップGraza(グラザ)のオリーブオイルは、世界のオリーブオイルの半分以上が生産されるスペイン、ハエン産の新鮮なピクアルオリーブを使用、古いもの・安価なものと決してブレンドしない、“本物の”エキストラバージンのみ。

 

 
 
 
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創業は2020年10月でまだ4年しか経っていないのですが、すでに2024年の総売上が4,800万ドル(約73億円)を越えると予測されている、新進気鋭のオリーブオイルブランドです。

 

Grazaのオリーブオイルの、他のブランドとは違うユニークな点の一つが、フレンドリーなキャラクターがプリントされたプラスチックのスクイズボトルに詰めて販売されていること。

 

GrazaのTikTokやインスタを見ると会社の雰囲気とフレンドリーなキャラクターがリンクしていることに気付きます。

 

@getgraza Just letting you know Sizzle + Drizzle learned how to do parkour (and also it’s the last day to get 20.76% off all Graza products online)!!! #graza #evoo #sale #parkour ♬ som original – someone

 

スクイズボトルは、ボトルを逆さにしてギュッと押すだけでオリーブオイルを自分が使いたい正確なところに使いたいだけの量を出すことができる、という利点があります。オリーブオイルもマヨネーズやケチャップと同様、スクイズボトルだと軽いし使いやすいですよね。このアイデアは、ベニンさんが自宅でシャワーをしていた時に、使っていたボディソープの入れ物がスクイズボトルだったことから思い付いたのだそうです。

 

 
 
 
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Grazaのオリーブオイルは、食べ物の上からかけるトッピング用の“Drizzle”(ドリズル)とクッキング用の“Sizzle”(シズル)の2種類があります。DrizzleもSizzleも同じ種類のオリーブから収穫されますが、Drizzleのオリーブは早めの収穫時期である10月に収穫、若く緑色で石のように硬い状態のものが使われ、Sizzleは収穫のピーク時期である11月に収穫、より成熟して少しジューシーになるものが使われます。Drizzleは500ml入りで21ドル(約3,190円)、Sizzleは750ml入りで16ドル(約2,430円)。

 

以下のビデオでDrizzleとSizzleの使い方の例が見られます。

 

 
 
 
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創始者のベニンさんは、Grazaを始める前にWarby Parkerの小売部門や、マットレス会社 Casperでプロジェクトマネージャーを務めた経験があり、過去にこういった若く新しい企業で働いたことが起業家を目指すきっかけとなったそうです。

 

2019年12月、ベニンさんは奥さんと奥さんの母国であるスペインへ旅行するのですが、そこでベニンさんは今まで飲んだことのない最高のオリーブオイルを味わいます。これがGraza誕生のきっかけでした。スペインの人々は、ブレンドされていない新鮮なオリーブオイルをガロン単位で買っているのだそう。

 

最高のオリーブオイルを味わった後、ベニンさんはスペインでオリーブオイルテイスティングツアーに参加し、オリーブオイルをアメリカに持ち帰ります。ベニンさんはこのオリーブオイルが高級ブランドになるかもしれないと考え、彼の指導者であるシェフに試してもらったところ、「このオリーブオイルは素晴らしいので、できるだけ多くの人が利用できるようにするべきだ」と言われます。

 

そこでベニンさんがオリーブオイルを作るために最適なオリーブを探し始めたところ、スペインのハエンにたどり着きます。ベニンさんが気に入ったオリーブは、大西洋横断の長い運送にも耐えられるものでした。

 

 
 
 
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Casperの創業者やエンジェル投資家より投資を受けたことで、生産のためのコストを賄ったり、ウェブサイト構築のための費用に当てることができましたが、マーケティングのための予算を取っていなかったため、インスタグラムのフォロワー数十万人を抱えるインフルエンサー達に300本ものオリーブオイルを送ったそうです。それによって広く周知され、2022年1月11日、ウェブサイトで商品が購入できるようになりGrazaは大ヒット。

 

その後もアメリカの大手スーパーマーケット「ホールフーズ」での販売や、フードマガジンのレビューで取り上げられるなどされ、2022年には400万ドル以上、翌年2023年には1,900万ドル以上にまで売り上げが跳ね上がりました。

 

そして、今年2024年5月には100%リサイクル可能な詰め替え缶を販売。オリーブオイルの最大限の鮮度を保つため缶には窒素充填がされており、Drizzle、Sizzleともスクイズボトルと同じ容量と価格で販売。

 

 
 
 
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その他にも、オリーブオイルのポテトチップスやGrazoraという商品名のグラノーラ、他企業との共同開発でノンアルコールオリーブオイルマティーニやオリーブオイルソープなど、精力的に新しい商品を生み出しています。

 

 
 
 
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いかがでしたでしょうか。ベニンさんは「オリーブオイルは高級である必要はない 、できる限り多くの人が買える価格帯で、本当に高品質であることが必要だ」と言います。全くもって大賛成です!Grazaのインスタには、オリーブオイルを使った美味しそうなレシピがたくさん投稿されているので、ぜひ見てみてください。

 

(参考)

Graza

Trendy olive oil brand Graza is cracking open a new way to refill its iconic bottles – Fast Company

31-year-old built a company that could bring in $48 million this year—all due to olive oil – CNBC

プロフィール
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藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。
foxylilly.com
Instagram: @foxylilly

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