レディ・ガガのあの曲がギャッツビーの時代に生まれていたら…ヒット曲をビンテージミュージックにアレンジして魅せるYouTubeチャンネル
あけましておめでとうございます。今年も本コラムをよろしくお願いします。
昨年12月ですが、Open AIの動画生成AI「Sora」がついに正式にリリースされましたね。私も使ってみましたが、「うわ、こんなに簡単に動画ができちゃうんだ…」という驚きが強かったです。
さて、今回は動画繋がり…ということで、私がハマって今見ているYouTubeチャンネルPostmodern Jukeboxをご紹介します。
これは、2009年リリースのレディ・ガガのヒット曲、Bad Romanceを1920年代のギャッツビースタイルにアレンジして演奏されたもの。Postmodern Jukeboxは、新旧のヒットソングをビンテージスタイルにアレンジし、それをバンド形態で演奏しているYouTubeチャンネルです。
楽曲の素晴らしさはもちろん、歌手やバンドがその時代のファッションや歌い方、スタイルを取り入れていることもあり、その時代感や世界観を味わうことができます。このギャッツビースタイルのBad Romanceが、オリジナルと全く違う曲に感じてしまうのも面白く、素晴らしいところですよね。ちなみにこの動画は2024年12月現在、4,700万回再生されています。
コメントには「84歳のおばあちゃんに見せたけど、とっても好きだったみたい!」、「ガガもこれを見るべきだ!」との声があります。
他にもいくつかご紹介しましょう。
イギリスのロックバンドRadioheadの代表曲「Creep」(1992年リリース)のカバー。ビンテージソウルバージョンにアレンジされ、こちらもオリジナルとはかなり雰囲気が違うものとなっていますが、この動画は2024年12月現在、1億2,700万回再生されており、同チャンネルの中で最高の再生数を誇っています。
コメントには「これはカバーじゃない、名作だ」、「この女性の声は最高だ」などのたくさん称賛が見られます。
こちらはシアトル出身のオルタナティブロックバンド、サウンドガーデンの代表曲「Black Hole Sun」(1994年リリース)のカバー。オリジナルとの違いに、個人的に一番衝撃を受けた動画です。オリジナルはゴリゴリのロックサウンドですが、こちらのカバーはしっとりとしたジャズに仕上がっていて大人っぽい雰囲気があります。ジャズドラマーの方がボーカルを取るのもいいですね。
コメントには「これは美しいですね。ゾクゾクして泣きたくなります」、「暗く不気味なグランジの名曲が、天使の声を持つ男性によって歌われる豪華なオーケストラのバラードに変わった。本当に素晴らしい」といった声が。
ジャスティン・ビーバーのBaby(2010年リリース)のカバー。当時、ティーンの女の子に大人気だったジャスティン・ビーバーのヒットソングを、「ビンテージ・ダイアナ・ロススタイル」でカバーしています。一気に60’sモータウン風になり、こちらがオリジナルだったんじゃ?!と思うほどの完成度。
コメントには「罪深い私の快楽ソングを堂々と聴ける曲に変えてくれてありがとう」、「ジャスティン・ビーバーがこんな風に歌えたら、ファンになれるかもしれない」とありました!
こちらはマイケル・ジャクソンのヒットソングSmooth Criminal(1987年リリース)を、フィルムノワールスタイル(1940年代〜1950年代にかけてハリウッドで制作された犯罪映画やミステリー映画のこと)でカバーされました。
オリジナルは言うまでもなく素晴らしいですが、このアレンジも素晴らしいです!それでいてオリジナルへのリスペクトを強く感じます。ボーカルの女性が途中、トロンボーンを演奏し始めるのもめちゃくちゃかっこいいです。
コメントには「私が本当に驚かされたのは彼女の驚異的なブレスコントロール!トロンボーンを吹いた直後に、こんなに強力なベルティングボイスを出せるとは思わなかった」、「マイケル・ジャクソンのファンだけど、オリジナル曲と同じくらいこのカバーが大好き!これがフィルムノワール探偵映画のテーマソングだったら最高だろうな」とあります。
こちらは少し毛色が違って、なんと「スーパーマリオブラザーズのテーマ」をレトロスタイルにアレンジ。タップダンスの音が小気味よく入っていて、聞いていて気持ちいいサウンドです。タップダンサーが赤と青のマリオカラーを着ているのもいいですね。特にラストがかわいいので、ぜひ動画を最後まで見てほしいです。
「バンドのみんなが曲を演奏しながら笑顔でいるのが大好き、彼らがどれだけ楽しんでいるかが伝わってくる」、「彼女のタップダンスが素晴らしい」というコメントの他、「日本人はとても喜んでいます、ありがとう」と日本語のコメントもいくつか見られました。
Postmodern Jukeboxは2024年12月現在、チャンネル登録者数635万人で計449個のビデオが投稿されています。YouTubeチャンネルの開始は2009年、当時まだ無名のピアニストだったスコット・ブラッドリーさんにより、ニューヨークのクイーンズの地下室で生み出されました。彼の目標はただ一つ、ヒット曲を伝説のクラシックサウンドにリメイクすること。
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スコット・ブラッドリーさん
それから10年以上が経過、Postmodern Jukeboxはポップカルチャーの主流に成長、ニューヨークのラジオシティミュージックホール、シドニーのオペラハウス、コロラドのレッドロックスアンフィシアターで行った公演が好評を博し、現在、世界ツアーを行っています。その過程で、Postmodern Jukeboxは多くの歌手、ダンサー、演奏者を紹介してきましたが、その中の多くは後に有名になりました。
↑こちらの動画は13年前に投稿された、ブラッドリーさんが「きらきら星」を1900年代〜2010年代の各時代に流行った音楽スタイルでピアノを弾く動画。もっと前の15年前に投稿された動画もありますが、最初はここから始まったのか…と思うと感慨深いものがあります。
原曲やアレンジの素晴らしさ、歌手や演奏者の技術や表現力の高さだけではなく、それぞれの動画のために作り込んだ世界観やコンセプト、それに基づいた動画編集も丁寧にされているからこそ、ここまで評価されるのでしょう。
上記で紹介したもの以外にも、たくさんの動画が公開されています。20’s〜70’sと年代別で見られるプレイリストもありますし、ジャズ、ソウル、スイング、Doo-Wop、R&B、フォークとジャンル別から見るのも楽しいです。もしかしたらあなたの好きな曲が予想だにしない形でアレンジされているかもしれません。ぜひお気に入りを見つけてみてください!
(参考)
New Jersey Stage – Scott Bradlee’s Postmodern Jukebox to bring “10” tour to The Newton Theatre