今更アニメに教えてもらうこと

vol.006
CMプロデューサー
Hikaru Sakuragi
櫻木 光

娘がなんだかんだ少し訳がわかるようになって来て

テレビでアニメばっかり見たがるようになりました。

 

どこの家庭でも一緒でしょう。

女の子だからディズニーのプリンセスものが大好きです。

女の子だからと言う書き方がジェンダー差別だとかなんだとか

文句を言う人もいるかもしれませんが、娘を見ていると

なんの理屈もわからないのにプリンセスが好きでガンダムは嫌いです。

わかりやすく本能に線引きがあると思います。まあいいや。

 

で、最近は配信というコンテンツの視聴方法があって

毎月定額のお金を払うと、あるチャンネルが見放題。という便利な世の中でもあります。

ディズニーのチャンネルに加入していればその界隈は驚くほどなんでも見れちゃうんです。

 

映画ひとつ見るのにレンタルビデオ屋さんに行って借りてきていた自分の時代から

大きく様変わりしました。音楽もそうですがディスクを買う必要もない。

 

だから娘は朝起きると「プリンセスみたい」といい、保育園から帰ってくると

「プリンセス見せて」といいます。で、ほぼずっと家のテレビを独占していて

パーになるからテレビばっかり見るんじゃねえ、と視聴時間を制限すると

そういった手前、自分で見たいテレビも見れません。

大谷見たさに野球を見ていると、プリンセス見せろと泣くからめんどくさいです。

 

ディズニーのプリンセスものなんて、本宮ひろ志の漫画が好きな僕の文化には

まるで縁がありませんでした。

シンデレラや白雪姫なんかでも、あらかたどう言う話かは想像がつきますがちゃんと見たことがない。

男ばっかりの家庭で育ったし、ディズニーだと?甘えるな。みたいな家庭だったからです。

本宮ひろ志は良かったのか?というのも疑問ではありますが、アニメは漫画と言われて

得るものが少ないとされていたのも昔の風潮としてはありました。

当然、宮崎駿作品などもちゃんと見たことがありませんでした。

トトロ?なんじゃそりゃ?って感じ。

 

娘ができて、ある程度育ってきたら、そういう文化がガラリと変わりました。

今はそれしか見れないので仕方なく、心の中ではバカにしてみていたのですが

ディズニーやアニメにはものすごいメッセージが込めれれている事がわかってきました。

これって子供にわかるのか?的なものもありますが、そんなことどうでもいいくらい

面白く、可愛くてきれいでテンポがいい作品ばかりです。そこに深い意味が含まれている。

面白いじゃん。となっていきました。

 

で、ある日衝撃的な作品と出逢います。

 

『プリンセスと魔法のキス』と言う作品です。

他のディズニーアニメに比べたらそんなに有名でもなさそうなんですが

2009年の公開。これがやばいくらい素晴らしいアニメだったのです。

 

観ていない人のために詳しくは書けませんが、ざっと書くと

舞台はアメリカのニューオリンズ、黒人の女性が主人公。

自分のレストランを持つのが夢の接客係。料理人だった父親の夢を引き継いでいる。

その人がひょんなことからカエルになってしまう。と言う話。

音楽が全編ニューオリンズジャズモチーフになっているミュージカル仕立てのストーリーです。

その音楽もめちゃくちゃいいんです。

 

カエルから人間に戻りたい主人公は、ブードゥーの妖術使いのおばあさんの尼僧のところに

助けを求めて会いにいきます。

その時にその婆さんが歌う歌に人生の大事なことが歌われるんですがそれにビックリしました。

その通りだったからです。

 

その歌の歌詞です。

 

 

「もう一度考えて」 歌詞*

 

見かけなんかは 気にしちゃいけない

指輪いくつしていようと どうでもいいさ

(どうでもいいさ)

あんたが誰だって 関係ないんだよ

イヌ ブタ ウシ ヤギ

同じなのさ

(同じなのさ)

みんなわかってるよ 欲しいもの

でもわかってない 必要なもの

 

もう1度考えて

自分のこと

もう一度考えて

 

難しくはない

ホントの自分に 気が付いたら

青空が見える

自分を

見つめて

 

 

王子様はもう一度 金持ちになりたい

(金持ちになりたい)

でもお金じゃ幸せは 今も昔も買えない そう!

あんたに一番 大事なことは

「我慢すること!これが必要!」

過去は捨てるんだ

 

もう一度考えて

自分のこと

もう一度考えて

あたしが言ったことを

多分愛が 幸せの鍵さ

Ah~鍵さ)

考えればわかる

 

(お嬢さん)

(はい?)

(はっきり言うよ)

(えぇ、どうぞ)

(へへへっ あんたの方がやっかいだね)

 

あんたのパパは 愛に溢れてた

娘なんだから 似ているさ必ず

 

もう一度考えて

そう 辛くても

もう一度考えて

 

まだそんなもんじゃダメさ

 

ホントの願いを 見つけたら

青空が見える

(窓を開けとくれ!光を入れるんだよ)

青空が

青空が

青空が~

見えるんだ

 

 

歌詞だけ見てもいまいちピンとこないかもしれませんが

ストーリーの流れの中で、映像と共にこの歌を聴くと涙が出ますよ。

ぜひ見てほしいものです。

 

人間は欲しいものは誰でもわかっている、だけど自分に必要なものは

あまりわかっていない。自分に本当に必要なものは自分と向き合って

よく考えなくてはわからない。実は自分に向き合うことは辛いことだ。

自分が欲しいものと自分に必要なものは違う。辛いけどそこを考えろ。

と歌ってる。ジャズで。

 

凄まじいアニメだと思ったんです。これは子供にはすぐにはわからないだろうけど

子供も大きくなって、そう言う悩みにぶつかった時にこの歌を思い出すでしょう。

そう言う未来すら見据えた話でもある。

 

『仁義なき戦い』が最高の映画だと思っていた単細胞おじさんが今になってアニメの奥深さを

知る。と言う感じになっています。

知らないことをバカにして知らないままにしないで、味わってみると発見がある。と。

それこそ自分に必要なものだったんでしょう。

青空が見えたような気持ちになったんです。

 

 

*「もう一度考えて」 日本語歌詞引用元:029chan、smule.com

プロフィール
CMプロデューサー
櫻木 光
自分の関わった仕事の案件で、矢面に立つのは当たり前と、体と気持ちを突っ張って仕事をしていたら、ついたあだ名は「番長」。 52歳で初めて子どもを授かったのでいまや「子連れ番長」。子連れは、今までとは質の違う、考えた事も無かった様な出来事が連発するような日々になったけれど、守りに入らず、世の中の不条理に対する怒りを忘れず、諦めず、悪者だけど卑怯者にはならない様に生きていたいと思っております。

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