NYのデザイナー制作のハロウィンコスチューム~費用をかけてないのに超クリエイティブ!
- Dig It! NYC Vol.73
- Dig It! NYC 藤井さゆり
10月31日のハロウィン、今年は金曜日ということもあり、特に渋谷がすごかったみたいですね! ニューヨークでは毎年マンハッタンで大規模なパレードが行われるのですが、今年も本格的なメイクや大掛かりな道具を使用するなど完成度が高かったです。
渋谷の盛り上がりもすごいなと思いましたが、ニューヨークにはアーティスト、デザイナー、パフォーマーなどクリエイターが大勢集まるということもあり、考えもつかないコスチュームで自分を表現する人がたくさんいます。
今回は、そのニューヨークでデザイナー、コミュニティオーガナイザー他、多方面で精力的に活躍されているクリエイター、Ken Tanabeさんが発案されたハロウィンコスチュームをご紹介したいと思います。
Kenさんの制作したコスチュームは、超オリジナルな世界観と独自のコンセプトで毎年作られており、かつ、6つのルールに沿って作られています。このルールとは、
- 1. コスチュームは自分で作ること
- 自分がオリジナルであることを追求するベストな方法は自分でコスチュームを作ること。 店で買ったコスチュームはコスチュームなしよりマシだが、店で買ったものよりカッコイイものは自分で作ることができる。
- 2. 自分の体全部を使うこと
- 普通の洋服にマスクだけ着ける、それは本当にコスチュームではない。 頭からつま先まで全部を使うようにする。
- 3. 費用は安く抑えること
- 費用をかければ誰でもカッコイイコスチュームやメイクで着飾ったりすることができる。 本当の意味でのチャレンジとは、予算内でそれを実現させること。
- 4. あのキャラクターだと気づかれるようなコスチュームは着ないこと
- セレブや映画のキャラクターのコスチュームを着ない。 ありふれたキャラクター、ドラキュラやポカホンタスも聖域である。
- 5. セクシー系コスチュームに依存しないこと
- と言っても誤解しないでほしい。セクシーであることは素晴らしいしそれこそ全てだ。 ただコスチュームに関してはセクシー系には依存しない。
- 6. ホラー系コスチュームにも依存しないこと
- ホラー系の血や内臓はハロウィンの鉄板コスチュームだが、そういった制限を捨てる。 何でも着ることができるこの日を絶好の機会にする。
以上6つのルールですが、人々が通常ハロウィンで行うこととほぼ全く逆の方向性なのではないでしょうか。 「みんながやりそうなこととはあえて逆のことを行う」というのは、まさに真のクリエイター! ということで、上記のルールに沿って制作されたコスチュームをご覧ください。
(以下、画像は全てkentanabe.comより)
Halloween 2014: Yellow Sovereign
イエローソブリンと題されたこのコスチューム。古代の統治者、スピリチュアルリーダーが身につけていた儀式用の衣服と、スターウォーズエピソード5/帝国の逆襲のストーム・トルーパー、そして、ポロ葱の構造から影響を受けてデザインされたもの。
【購入したもの】 黄色のフォームシート2枚(13.29ドル×2) マスキングテープ(3.79ドル) ※中に着ているシャツやジーンズ、ブーツ、グローブなどは私物。
Halloween 2013: Pink Wings
ハロウィンコスチュームデザイン10年を記念し、男性バージョンと女性バージョンセットで制作。ウィングアーマーとヘルメットは、マーベル・コミックのキャラクター、マイティ・ソーとバイキングの衣装より、ウィングシューズは、ジェレミー・スコットのアディダスシューズ、ファッションフォトから影響を受けたデザイン。
【購入したもの】 イケアのマガジンファイル(9.95ドル) ピンクのスプレーペイント(22.39ドル) スプレーキャップ(82セント) ボルト・ナット・ワッシャー(7.96ドル) ※中に着ているタートルネックやジーンズ、ブーツなどは私物。
Halloween 2012: Death of Discs
ディスクの死と題されたコスチューム。特にCDとDVD、また、ブルーレイやハードドライブの終焉の予兆を表現したデザイン。 元コンセプトはVHSテープバージョン(Halloween 2004: Death of VHS)。
【無料で手に入れたもの】 片面記録DVDケース16枚 【購入したもの】 両面記録DVDケース10枚(4.29ドル) DVD50枚(12.5ドル) ※中に着ているタートルネックやジーンズ、シューズなどは私物。
Halloween 2008: Green Armor
シドニーのオペラハウス、エビやロブスターなどの甲殻類、日本のロボットアニメ(アメリカで放映されていたテレビアニメであるボルトロンやガンダム)の影響を受けて制作されたデザイン。
【無料で手に入れたもの】 フェデックス(宅急便)の梱包用筒5つ フェデックスの梱包ボックス大2つ 【購入したもの】 スプレーペイント2つ(10ドル×2) 黒のコスチュームグローブ(6.5ドル) ※中に着ているタートルネックやジーンズなどは私物。
上記以外の歴代コスチュームはこちら。
いかがですか? ほとんどが文房具店やDIYショップなどで安く購入できる道具で作られているにも関わらずそう見えないですし、それをここまでクリエイティブにかつ完成度が高いハロウィンコスチュームに仕上げてしまうKenさんのセンス、技術力、器用さに思わず唸ってしまいました。そして、コンセプトもかなりユニークで幅広ーーい!(思わずクスッと笑ってしまうものもありましたが)。
実はKenさんは、モーション、インタラクティブ、アイデンティティー、環境、プリントなどなど、多くの領域にまたがって活躍されているデザイナーであるとともに、Loving Dayという世界でも大規模なネットワークである多民族コミュニティの創始者であり、パーソンズやスクールオブビジュアルアーツといった大学でのスピーチ、またドミニカ共和国で教鞭をとるなど、数え切れないほど幅広い活動をされている方。このページにこれまでの作品経歴が出てるのでクリエイターの方にはぜひ見て頂きたいです。
さて、Kenさんのハロウィンコスチューム、来年はどんなものが出来上がるのでしょうか。 今後のKenさんの活躍にも注視していきたいと思います!
◆Ken Tanabe kentanabe.com
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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