バック・トゥ・ザ・フューチャー

番長プロデューサーの世直しコラムVol.95
番長プロデューサーの世直しコラム 櫻木光
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1985年に公開された映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。 不朽の名作です。 まあ、当時は知らない人はいないだろうと思われるほどヒットした映画なのですが。マイケル・J・フォックスの演じるマーティーと、クリストファー・ロイド演じるドクが、タイムマシンに乗って過去と未来を行き来して自分や家族の運命を修正するという話です。

第一作目の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では30年前の過去に戻り、自分の父と母の出会いを手助けする。 第二作目の「バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2」では30年後の未来に行き、自分の息子のトラブルを解決する。 第三作目の「バック・トゥ・ザ・フューチャーPart3」では、タイムマシンが落雷で打たれ、ドクが1885に飛ばされてしまう。それを救いにマーティーが西部開拓時代の1885年に向かう。 というあらすじ。

過去と未来が絡み合い、主人公の行動が時間の経過に影響を及ぼしてなかなかうまくいかないもどかしさを感じ、予想外の事が次々に起きてドキドキする。ものすごいレベルで描かれたタイムパラドクスのストーリーと、とんちの効いた台詞満載な脚本で本当に面白いSFコメディ映画。

ストーリーの中心となる日にちが1985年の10月21日。 Part2で行く未来は30年後の2015年の10月21日。 つまり、ついに来年の10月なのです。

Part1の公開が1985年、僕は高校生でした。 Part2が公開されたのは1989年、東京に出てきた年。 この映画で表現されている2015年の社会はめちゃくちゃ未来の話で夢の様な表現がされていてびっくりした覚えがあります。衝撃的でした。

NIKEの靴のヒモは自動でしまるようになっているし、スケボーは宙に浮いているし、ものすごい大きいテレビでマルチチャンネルのテレビを見ていたり、立体のホログラムが迫ってくるし、(ジョーズ19と書いてあり、ジョーズがシリーズ化されているパロディの宣伝立体映像)テレビで会議をしていました。人々は平たいタブレット型のコンピューターも使っていましたね。

そんな馬鹿なと思って見ていた未来が、ついに来年きてしてしまうという事が感慨深いのです。 だけど、そんな馬鹿なと思っていた未来の表現も、ほとんど現実のものになっています。

3Dホログラム映像もテレビ会議もタブレット型のPCも大画面テレビも既にある。 NIKEはシャレの効いた会社なので2015年にあわせて、自動でヒモの締まる、映画と同じデザインンの靴を意地で発売すると発表しています。

▼ナイキ、バック・トゥ・ザ・フューチャーIIの自動靴ひも調節シューズを来年発売(Engadget日本語版) http://japanese.engadget.com/2014/02/16/ii/

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3年前に、実際に発売された、同じデザインで、まだ自動でヒモが締まらないタイプの靴についていたキャッチコピーには「2015年になれば自動で締まるようになります」でした。

実現していないのはタイムマシンと宙に浮いているスケボーくらいですね。

そういうところがこの映画のすごいところで、この映画で描かれた未来をみんなで追いかけたんじゃないか?というくらいその通りになっている。作った人たちの想像力や好奇心のレベルが、結局、その先の現実の世の中を引っ張って行くんだなあというすごい例だと思います。

Part1の最後に「30年後の未来にいくぞ」とドクがマーティーを誘う時のマーティーの台詞に、「30年後は47歳だよ」というのがあって、あれ?俺と同い年かよ、30年後は47歳なんだな。俺はどうなっているんだろう?と思いを馳せた覚えがあるのでなおさら思うところがあるのです。 あのころの未来に僕らはたっているのかな?ですよ。 全く想像と違う様な気がしますけど。

とにかく、バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2で描かれた未来が来年やってきます。そういう思いでもう一回見直してみることをおすすめします。へえ、そうだったんだ的な新しい発見もあり、結構楽しめると思いますよ。見た事の無い若い人たちにも是非見てほしい。全然色あせていませんから。いろんな表現もさることながら、練りに練られたストーリーや脚本が、映画って楽しいなあと思わせてくれる作品です。最高。

Profile of 櫻木光 (CMプロデューサー)

プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが、矢面に立つのは当たり前と仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。


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