劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス
- ミニ・シネマ・パラダイスVol.32
- ミニ・シネマ・パラダイス 市川桂
米国アカデミー賞で賑わっている中ではありますが、 とっても気になったので今回はムーミンにしました。 『劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス』
ムーミンは小さい頃にアニメで観ていた方も多いと思います。 私は、最近原作も少し読み、 結構ムーミンが可愛くなかったり、ホラーだったり、ブラックユーモアだったり、 「かわいいだけじゃないなー」と感じていて、気になっていました。 本国フィンランドではトーベ・ヤンソン生誕100周年を記念して、初の全編手書きアニメーションとして映画化。 今回は日比谷のTOHOシネマみゆき座で観ることに。
この界隈は宝塚劇場があるので、とても独特な雰囲気を醸し出しています…。 宝塚目当ての妙齢の女性が沢山。宝塚ファンの盛り上がった会話がいたるところで聞こえてきます。 ちょうど開場前の時間がバッティングし、ざわざわとヅカファンがいる横を抜けて、地下2階の劇場に向かいます。 TOHOシネマズス スカラ座・みゆき座は、同じ劇場内にスカラ座とみゆき座の2スクリーンがあります。 二つの映画館が同じ場所にあるようで、けっこう不思議な印象を持ちます。 スカラ座が大きく、みゆき座は小さい収容人数です。
さて、本国フィンランドで誕生してから100周年を迎えたムーミン。 どれだけ壮大で感動的な内容かと思っていたら、 もーびっくりするぐらい、楽しい内容。 原作のイメージを忠実に表現された、とても美しいアニメーションでした。 特に色使いはさすが北欧!といった感じで、オシャレで見ていて楽しいです。 一つ一つのシーンが、どこを切り取っても 原作の一枚の完成されたイラストのように密度の高い画になっていて、 ペラペラとページをめくっているような気分になります。
ムーミンたちの家はムーミンママの手によって育てられた、色とりどりの 植物で飾られ、屋根や庭先のハンモック、窓や玄関までとても細かく書き込まれています。 一時停止して細部まで見て楽しみたい欲望に駆られます。 ムーミン一家が、高級リゾート地に行き、ひと騒動を起こすといった、 昔のムーミンの記憶を持っていると、ちょっと意外な(笑)内容なのですが、 家族が大切にすることは何か、自分らしく生きるとは、といった 普遍的なメッセージを持っていて、 見終わったあとは、そうそうムーミンってこんな感じだったなーと妙に納得してしまいました。
吹き替えの声優陣は1990年代に日本で製作された「楽しいムーミン一家」のメンバーがほとんど。 その点もとても懐かしい気持ちになりました。 公式サイトでも映像が見れますので、ぜひその画をチェックしてみていただければと思います!
Profile of 市川 桂
美術系大学で、自ら映像制作を中心にものづくりを行い、ものづくりの苦労や感動を体験してきました。今は株式会社フェローズにてクリエイティブ業界、特にWEB&グラフィック業界専門のエージェントをしています。 映画鑑賞は、大学時代は年間200~300本ほど、社会人になった現在は年間100本を観るのを目標にしています。