クリエイターを新しい形で支援できるオンラインマーケットプレイス「ZIIBRA」
- Dig It! NYC Vol.77
- Dig It! NYC 藤井さゆり
当コラムでいくつかオンラインマーケットプレイスをご紹介したことがありますが、今回はアーティストやデザイナーが自分のファンと直接つながることで収益を生み出すマーケットプレイス、ZIIBRA(ジーブラ)をご紹介します。
オンラインマーケットプレイスは基本的に「物品の売買」が主な目的ですが、ZIIBRAはそれ以外に、一年や四半期など一定の期間に渡り、好きなクリエイターを支援できるメニュー(SUBSCRIPTIONS)があります。例えば、肖像画を描いているアーティストTom Longchampさんの場合・・・。
Tom DesLongchamp
- メニュー1(1年間):価格75ドル
- 期間内、ZIIBRA上で書いているTomさんのブログに自由にアクセス可能、半年に1回アート作品が届く
- メニュー2(3ヶ月間):価格75ドル
- 期間内ブログへのアクセス他、期間内に3枚シリーズのアート作品が届く
- メニュー3(1年間):価格350ドル
- 期間内ブログへのアクセス他、シアトルに住んでいれば、コーヒーショップで一緒にコーヒーを飲みながらTomさんと話ができ(遠方の場合はスカイプチャットで)、その後自分の肖像画を描いて送ってくれる
お客さんは、アーティストのいわゆるパトロン(支援者)になる、というもの。アーティストは展覧会を開催し、自分の作品を見てもらってパトロンを探すというのが通常だと思いますが、ZIIBRAを通して、このような手軽な方法で本当に自分の作品を気に入ってくれているファンから直接支援される、というのも今の時代に合ったパトロンの形かもしれません。
もし自分が支援したいクリエイターがいたら、アート作品の購入以外にこういった形で支援できるというのもファンにとっては嬉しいでしょうし、自分のアートを本当に好きなファンから直接支援されるというのはクリエイター側にとっても幸せなことでしょう。また、作品の売買は一時で終わるのに対し、このような方法を提供することによって、長く支援してもらえ、ファンとの関係性が深まり、それによりアーティストやデザイナーとしての自覚が芽生える、というのもあると思います。
ZIIBRAにアーティスト登録するのにお金はかかりませんが、売買が成立するごとにZIIBRAへ売上の5%の手数料、外部の決済システムへ売上の2.9%+30セントの手数料を支払います。しかし、1ヶ月間でZIIBRA上で100名のフォロワーを獲得した場合、次の月のZIIBRAへの手数料は無料に、250名のフォロワーを獲得した場合、ZIIBRAと外部の決済システムへの手数料が次の月に無料となる仕組みです。
ここでZIIBRAに登録しているクリエイターさんの作品をちらっとご紹介します。 画像は全てziibra.comより。
Shogo Ota
Michael Hsiung
folding bones press
ZIIBRAではデザイナーやイラストレーターの他に、音楽、食、クラフト、ライティング、パフォーマンス、写真といったカテゴリーもあり、様々な分野のクリエイターを支援できます。
クリエイティブプロジェクトをユーザーに寄付してもらうことで支援するKickstarterや、以前当コラムで紹介した、社会貢献といった観点から選ばれたクリエイターの製品を販売しているThe Grommetもそうですが、商品やサービスの売買といった経済活動以外にも、ウェブというものを通して誰か誰かを支援するというあり方が、とても素晴らしいなと思います。
また加筆すべき点として、クリエイターそれぞれの紹介ページがとても見やすくデザインされていることが挙げられます。それぞれのクリエイターの紹介ビデオも美しく作られており、ポートフォリオのページや、クリエイターの経歴ページ「My Story」も上手に編集されています。
今のところZIIBRAに登録しているアーティストは西海岸エリア在住のみですが、それ以外の全米エリアにも、そして近い将来には国外にも広げていってほしいなと思います。 (作品の購入は国外からでも可能です)
■ziibra.com https://www.ziibra.com/
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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