アメリカ大統領選、候補者達のキャンペーンロゴ
- Dig It! NYC Vol.86
- Dig It! NYC 藤井さゆり
来年11月に行われる次期大統領選に向けて、早くも盛り上がっているアメリカ。オバマ大統領の再選から3年が経ち、来期は民主党、共和党よりそれぞれ候補者が選出され、最終的に国民の投票によって大統領が決まります。現在、各党より立候補者が出揃い、予備選がスタート。各党内の候補者同士で白熱した公開ディベートが行われているところです。
さて今回は、候補者のブランドイメージを左右しかねない!キャンペーンロゴに注目したいと思います。アメリカでは、大統領選挙に出馬を決めたなら、選挙活動(こちらではキャンペーンと言います)のためにキャンペーンロゴを制作します。キャンペーンロゴはいわゆる候補者の顔であり、非常に重要なもの。アメリカ国旗のキーカラーである、赤、青、白を基調とし、ポップなものから保守的なものと、候補者の主義主張、アイデンティティが表現されたものとなっています。
キャンペーンロゴは、商品や企業のそれと同じく、ウェブや広告などの媒体の他、支援グッズなど様々な使われ方をします。ロゴを印刷した看板、Tシャツ、マグ、アメリカではお馴染みのバンパーステッカーといった支援グッズをウェブストア上で販売している候補者も多く、オシャレなデザイングッズも見られます。
それでは早速、各候補者のキャンペーンロゴとともに、ウェブストアで販売されているグッズもいくつかご紹介していきたいと思います。(※下記候補者は、2015年11月時点のもの)
ヒラリー・クリントン(民主党)
※画像:facebook.com/hillaryclinton
説明不要、前クリントン大統領の妻でありファーストレディ、そして国務長官を務めたヒラリー・クリントン。キャンペーンロゴは、ヒラリーの頭文字であるHに、右に向かう赤い矢印を重ねたもの。この他、レインボーカラーでできたLGBTサポートバージョンなど、いくつかのパターンがあります。
※画像:shop.hillaryclinton.com
Tシャツ(画像左)、iPhoneケース(画像中央)は定番ですが、クッキーカッター(画像右)まで!iPhoneケースのデザインはなかなかオシャレですね。
ヒラリーが大統領選出馬表明をした際に発表されたプロモーションビデオ。最後にキャンペーンロゴが出てくるのですが、矢印が右に進む動きによりアクティブな印象を与えています。
バーニー・サンダース(民主党)
※画像:facebook.com/berniesanders
ヒラリーの対抗馬として人気急上昇中なのがサンダース。ニューヨークのブルックリン出身でポーランド系のユダヤ人。過去にバーリントン市長を務め、現在はバーモント州の上院議員。ロゴはなんとなく某メーカーの歯磨き粉を思い出させますが、すっきりとしたタイトなデザイン。
※画像:store.berniesanders.com
グッズはロゴ入りTシャツ、マグなど定番。画像右は看板。
マーティン・オマリー(民主党) ※画像:facebook.com/MartinOMalley
民主党3人目の候補は、メリーランド州ボルチモア市長、メリーランド州知事を務めたマーティン・オマリー。53歳とまだ若く、アイリッシュロックバンドのフロントマンも務める一面も。ロゴは苗字であるオマリー(O'Malley)からのO'Mと、枠が吹き出しの形となっているところがポイント。
※画像:store.martinomalley.com
Tシャツは表と裏両方にデザインが入っているタイプ。画像右はバンパーステッカー。
ドナルド・トランプ(共和党) ※画像:facebook.com/DonaldTrump
全米にカジノやホテルを所持する不動産王であり、資産40億ドルとも言われる大富豪のドナルド・トランプが大統領選に出馬。オバマ大統領に出生証明書を出させたり、移民問題での暴言も多くかなりのお騒がせ人物ですが、現在のところ共和党候補の中では一番人気。キャンペーンロゴはわりとシンプルなデザイン。
※画像:shop.donaldjtrump.com
定番ロゴ入りTシャツと、缶ビールの保冷に使われるKoozie。
ジェブ・ブッシュ(共和党)
※画像:facebook.com/jebbush
ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟であり、父も大統領を務めたブッシュ家から、今度は次男が出馬。過去にはフロリダ州の知事を務め、奥さんがメキシコ人ということもあり、スペイン語が堪能。ロゴは、エクスクラメーションマークが印象的なインパクトのあるデザイン。Tシャツも「ロゴをそのまま乗っけました」感がなくオシャレに仕上がっています。
※画像:jeb2016.com/shop
ウェブストアのTシャツページが、モデルが着ているせいかカタログ風でオシャレな雰囲気を醸し出しています。中央の赤いTシャツに書いてあるのは「My Dad is the greatest man. I've ever seen.」→パパブッシュのことですね!
マルコ・ルビオ(共和党)
※画像:facebook.com/MarcoRubio
フロリダ州マイアミ出身、現在は同州の上院議員。両親はキューバからの移民で、まだ44歳という若さ。という彼の経歴よりも、ロゴのi(アイ)の上の・部分に注目!この部分、アメリカ合衆国の形なのですが、よく考えると“ハワイ州とアラスカ州がない"んです。「国の代表を選ぶ」ためのキャンペーンにこのロゴはちょっと不適格なのでは?と考えてしまいます。
※画像:store.marcorubio.com
上記画像のTシャツ、水ボトル、iPhoneケースの他に、ロゴ入りニット帽やマフラーなどたくさんのグッズがウェブストアで売られていました。他の候補者と比べるとかなり力入ってます。
以上、大統領選候補者のキャンペーンロゴとグッズをご紹介しました。実はこの他にも候補者はたくさんいます。が、ここで取り上げるほど…という訳でもなく、グッズも似たり寄ったりといったところでしたので、すみませんが、割愛させて頂きました!
最後に、上記候補者とのキャンペーンロゴと比べるべきではないかもしれませんが、ぜひ見て頂きたいのがオバマ大統領のウェブストア。オバマ大統領は8年の任期が終わり、もうキャンペーンのことは考えなくていいからかもしれませんが、結構攻めたデザインのTシャツ、グッズが売られています。オシャレ度高いです。
一見すると、オバマ大統領や政治と関係のあるものとは思えないですよね。このデザインなら買いたい!と思ってしまいます。
Tシャツに書いてあるメッセージは、“銃暴力の阻止"、“ヘルスケア"、“気候変動"、“同性婚に対する平等な権利"など、オバマ大統領の政策を反映させたもの。デザインがオシャレなだけではないのです!
以前のコラムで、オバマ大統領のキャンペーンロゴについて書きましたが、それ以降、大統領選挙のキャンペーンロゴの流れがだいぶ変わってきたと思います。今回のクリントンのロゴは、Windows8やMITメディアラボのロゴを手がけた世界有数のデザインコンサルタント企業、Pentagramが手がけたもの。クリントンの2008年当時のキャンペーンロゴと比べると違いは歴然で、オバマ大統領のロゴを意識した形になっていると言えるでしょう。
次期アメリカ大統領が誰になるかも気になるところですが、さらに今後、キャンペーンロゴの流れがどう変わっていくのかも個人的に興味があるところです。
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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