今年のスーパーボウルコマーシャルは過去最値!AmazonやPayPalも進出
- Dig It! NYC Vol.89
- Dig It! NYC 藤井さゆり
今年もこのネタを書く時期がやってきました。それは、スーパーボウルのコマーシャル!!
スーパーボウルとはアメリカンフットボールのプロリーグ、NFLの優勝決定戦のこと。毎年2月上旬の日曜日に開催されテレビ中継されるのですが、アメリカでは全国民が見ていると言っても過言ではないほどの国民的一大スポーツイベントです。
前半と後半の間のハーフタイムショーでは人気アーティストのライブが行われ、それも大きな目玉となっています。ちなみに今年は、冒頭ではレディ・ガガが国家斉唱を歌い上げ、ハーフタイムショーでは、イギリスのロックバンド、コールドプレイが出演、ショーの途中でビヨンセとブルーノ・マーズが登場し、会場を沸かせていました。
そして、それら同様に注目されるのが、テレビ中継で放送されるコマーシャル。スーパーボウル中継は多くの人が見ているわけですから、多くの消費者に訴求できるコマーシャルも注目されないはずはありません。それゆえに毎年、コマーシャル枠は高額で、FORTUNEによれば、今年のスーパーボウルのCM枠は、なんと過去最値の30秒で5億ドル!CM枠だけでその値段です。それに加え、企業はかなりの制作費をかけてスーパーボウル用の特別なコマーシャルを制作するわけですから莫大なコストがかかります。スーパーボウルのコマーシャルが“コマーシャルの祭典"と言われるのがわかりますよね。
それゆえに毎年、トヨタ、コカ・コーラ、バドワイザーといった巨大企業・ブランドが名を連ねていますが、今年はAmazonやPayPalといった新しい企業の進出が見られたのが新しいところ。
毎年、全国民が注目するコマーシャルの祭典的なイベントは日本にはあまりないと思いますし、高額なコストをかけてどんなものが作られているのか気になるところだと思います。それでは、今年のスーパーボウルコマーシャルで気になったもの、話題になっているものをいくつかご紹介したいと思います。
#Pokemon20: Pokémon Super Bowl Commercial
なんと、スーパーボウルのコマーシャルにポケモンが登場!ポケモン20周年のキャンペーン用コマーシャルで、「I can do that.(僕にもできる)」、「You can do that.(君にもできる)」というメッセージが込められたコマーシャル。ポケモンと思えないようなドラマチックなコマーシャルです。
Mtn Dew Kickstart: Puppymonkeybaby | Super Bowl Spot
清涼飲料水、マウンテンデューキックスタートのコマーシャル。Puppy(子犬)、Monkey(猿)、 Baby(赤ちゃん)を掛け合わせた謎の生き物がサプライズビジターとして突如やってくるというもの。このキャラクターのインパクトで、全く商品名が頭に入ってきません……。可愛い、飼いたい、怖い、誰がこれを見て買いたいと思うか?とコメントは賛否両論ですが、かなり話題となっています。
Skittles: "The Portrait" w/ Steven Tyler. Super Bowl 50 Commercial.
カラフルなフルーツキャンディ、スキットルズのコマーシャル。スーパーボウルコマーシャルにふさわしく、スティーブン・タイラーをぶっ込んできました。が、豪華ゲストによる出演も、話題性はありながら高評価にはつながらず。インパクトはあるんですけどね……。
Doritos ® Crash The Super Bowl Finalist - Ultrasound
トルティーヤチップス、ドリトスのコマーシャル。妊娠中の母親が超音波検診中、お腹の中でドリトスを欲しがる胎児がまさかの…!日本では、こういったことをネタにしたコマーシャルは作られないでしょうし、放送したとしてもクレームがついて放送禁止になるレベルなので、アメリカはだいぶ違うなぁ……。と正直思いました。不快感を覚えるというコメントと、めちゃくちゃ笑った!というコメントの両極端が見られます。
“Super Bowl Babies Choir" feat. Seal | Music Video
感動的なコマーシャルだと思っていたところ、「スーパーボウルで勝利したチームの都市では、スーパーボウル開催日から9ヶ月後に子供の出生が上昇するというデータがある」(注:アメリカでは週数の数え方の違いで10ヶ月ではなく9ヶ月で子供が生まれます)という冒頭のコピーに度肝を抜かれました。いわゆる、スーパーボウルの勝利がきっかけでこの子供たち=Super Bowl Babiesが作られたんだよ、と言いたかったということですね(笑)。
The All-New 2016 Toyota Prius | The Longest Chase #GoPriusGo | Toyota
映画「ハングオーバー!」っぽいコメディ映画の作りで、個人的には一番好きなコマーシャル。銀行強盗をした4人組、銀行前に駐車した車がレッカー移動されてしまったことから、新しいプリウスを見つけ運転することに。「プリウスは遅い」という一般的な概念を覆すほど新しいプリウスは早く、燃費もよく、静かであるため、追ってくるポリスカーをぐんぐん引き離し、4人が乗ったそのプリウスはテレビ中継されるほど有名に……。というストーリー。
Official 2016 Jeep Super Bowl Commercial | Portraits
過去にボブ・ディランやクリント・イーストウッドを起用し、完成度の高いコマーシャルを制作してきたクライスラーは今年はなく、フィアット・クライスラーが所有するブランド、Jeepのみのコマーシャル。Jeepを所有する人たちのココロを分かっている素晴らしい作りです。「Jeepオーナーとして誇りを持たせるコマーシャルだ」「今までのJeepコマーシャルの中でダントツに良い」といったポジティブなコメントが多く見られます。
最後はAmazonとPayPalのコマーシャルを見てみましょう。
Amazon Echo: #BaldwinBowl Party feat Alec Baldwin, Dan Marino, Jason Schwartzman, & Missy Elliott
ハンズフリーの置き型音声アシスタント、Amazon Echoのコマーシャル。豪華な出演者やコマーシャルそのものよりも、製品であるAmazon Echoに目を奪われてしまいました。楽しいコマーシャルです。
PayPal 2016 Big Game Commercial - “There's a New Money in Town"
「PayPalはNew Moneyじゃない」「New MoneyはBitCoinだ」というコメントで賑わっている本コマーシャル。PayPalの世界観は伝わっていると思います。PayPalがNew Moneyかどうかは別として、スーパーボウルのコマーシャルとして放送されたことで、PayPalの存在が広く周知されることは喜ばしいことです。
いかがでしたでしょうか。個人的には、今年のは好きか嫌いかはどうかは別にして、インパクトはあったんじゃないかなと思います。また来年もどんな企業がどんなコマーシャルが作るのか楽しみです。正直言って、スーパーボウル自体よりもコマーシャルやハーフタイムショーのほうを楽しんでいる私ですが。
ここで紹介したスパーボウルのコマーシャルは一部で、これ以外にもたくさんありますので、興味がある方は http://www.ispot.tv/events/2016-super-bowl-commercials でチェックしてみてください。
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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