草間彌生さんのすごい進化
- Dig It! NYC Vol.47
- Dig It! NYC 藤井さゆり
今、ニューヨークのルイ・ヴィトンでは草間彌生さんとのコラボアイテムが販売されていまして、5番街にあるルイ・ヴィトンストアが草間さんのシンボルである水玉模様になっています。コレクション発表時には草間さんも来訪されたようです。観光でいらっしゃる方はぜひストアを見にいってみてください。
それと連動して、ニューヨークのホイットニー美術館では、草間さんの回顧展をやっているというので、行ってきました。
知らなかったのですが、草間さんは現在83歳!1957年の28歳の時に渡米し、ニューヨークに住んでいました。体調不良が原因で1973年に帰国していますが、ニューヨークに来てすぐ「ニューヨークでアートのナンバー1になる」という目標を立て精力的に活動、コンテンポラリーアート界で評価を得るようになり、1960年代にはハプニングと呼ばれる伝説的なパフォーマンスを行っています。そしてアートでの数々の賞を受賞、世界的に評価されるまでに。
回顧展では、日本で若いときに手がけた油絵から、アメリカ時代の映像、コラージュ、立体作品、自身が手がけた洋服デザイン、2000年代に入ってからの現在の作品のほか、草間さんが載っている新聞・雑誌の切り抜き、交流があった人たちとの手紙や、展示会のフライヤーなど、作品以外の部分でも草間さんを深く掘り下げていて、とても面白い構成となっていました。
アートだけではなく、洋服のデザインもしていたのも新鮮でしたし、コラージュ作品では、今では誰もしなそうな「水玉ボディスーツを来た草間さんや物の写真を切り貼り」していて、フォトショップでは出ない味や独特の世界観を出していたり、展示会やイベントのフライヤーも、文字を切り貼りレイアウトしてデザインをして作っていたり、過去にニクソン大統領宛に手紙を書いたことがあったようで、その実際のタイプ書きされた手紙が公開されていたりと、私にとっては正直アート作品以外のこっちのほうが興味深かったです。かなり意欲的に活動されていたことが伺い知れます。
そんな草間さん、日本帰国後には小説も発表されているんですね。多才な方でびっくりしました。
周囲の反対もあったようですが、今から50年以上前に、日本人女性が一人でニューヨークに来るという決意もすごいですし、当時のニューヨークでも女性がアートで評価されることはとても厳しいことだったようです。草間さんのかなりご苦労されたとのことでした。しかし現在では世界的なアーティストとして知られていて、今もなお活動中であり、83歳でルイ・ヴィトンとのコラボって、めちゃめちゃカッコいいじゃないですか!
そのルイ・ヴィトンとのコラボ商品がまたカワイイのです。おしゃれなクリエイティブ女子の目に留まるようなカラフルな水玉がモチーフになったアイテムたち。人づてに聞いたお話ですが、草間さんは「女性はいくつになってもおしゃれしてないとだめなのよー」と言っていたとのことで、きっとこのおしゃれアイテムたちには充分満足されたことでしょう。
また、ルイ・ヴィトンと草間さんとのコラボレーションによって生まれたものがもう一つ。アイフォンアプリです。アプリは無料でダウンロード可能。アプリの機能である、草間さんのアートからインスピレーションを得た、水玉、ウェーブ、ミラーの3種類のデジタルフィルターで、撮った写真を加工すると、草間さん風の素敵なアートな写真のできあがり。撮ったアート写真はルイ・ヴィトンのサイト内、フェイスブック、インスタグラムでシェアできます。
草間さんがニューヨークに来た1957年から55年とずいぶん時は経っていますが、その当時、草間さんのクリエイティブの原点である水玉モチーフがルイ・ヴィトンとコラボして、商品になったり、アイフォンアプリにまで進化するとは思いもよらなかったでしょうね。
これから先、55年後、みなさんのクリエイティブはどう進化しているのでしょうか。自分がどうなっているのか考えもつかない世界ですが、もしかすると草間さんのように、みなさんの今創っている物が思いもよらない方法で進化しているかもしれません。55年後の自分と自分が創ったもの、どう進化しているのかその日を楽しみにしたいなぁと、草間さんの作品を通してそんな風に思った私です。
■ルイ・ヴィトンと草間彌生さんのコラボレーションサイト louisvuittonkusama.com
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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