帽子の人と呼ばれています
- とりとめないわ 第18話
- とりとめないわ 門田陽
一年一度、誕生日が近付くと会社から健康診断の知らせが届きます。注射が苦手なのでイヤですが、今年も先日しぶしぶ受けました。指定された時間に行くとロッカーでまずは上下スウェットに着替えます。先輩後輩同僚たちがこんなにもみんな2月生まれかよ、というくらい沢山います。
そこで毎年のように起こる光景があるのです。「おはようございます」と僕が言うと言われた相手はキョトンとするのです。8~9割は同じ顔をします。「うん?誰?」な表情です。中には毎日顔を会わせている人もいます。いつもと違う僕の姿。帽子を被ってないだけなのに多くの人がほぼ気が付きません。さほど特殊な髪ではないです。いっそ強烈な髪型だったらさらに面白いのでしょうが、いたって普通。だから尚更わからないのかもしれません。帽子は僕の一部のようです。
ふだんときどきこの質問を受けます。「帽子はいくつ持っているのですか?」この問いかけに「いくつだと思いますか」なんて飲み会で歳を聞かれたアラサー女子のような解答はしません。あっさり「160個」と即答です。もうここ10年はずっと160個をキープです。大体毎年20個購入して20個廃棄しています。捨てるのは夏物が多いです。お気に入りの物はよく被るのでどうしても汗染みができやすい。そして帽子の洗濯は難しく、またクリーニングに出すと買ったほうが安いだろ、という価格設定。夏物は仕方ないです。
なぜ160個なのか。理由は棚です。帽子を置いている棚があるのですが、そこに置ける数が決まっているのです。僕の帽子はどれもチューリップ型なので、コップを重ねる要領で保管します。棚の上に横2列×縦4列×10個重ねで計80個が一度におけるギリギリの数です(※写真参照)。それを夏に入る前と冬が始まる前の年2回だけ衣替えを行うのです。だから80個×2で全160個というわけです。
さて、話が前後しますが僕は基本外出先では、会社も含めて常に帽子を被っています。 もう20数年ずっとです。もちろん時と場合はわきまえます。プレゼンなどクライアントさんの前では脱ぎますが、「きょうはどんな帽子なの?」と楽しんでもらえているお得意さんの場合はわざと被ったままです。カラダの一部というのは大げさですが外では被ってないと落ち着かないのは事実です。うまい例えではないですが丁度「ヅラ」を被っている感じでしょうか?うん、違うか?プレゼンのときにいきなり「ヅラ」を脱ぐ人はいないよなぁ。冠婚葬祭の場でもヅラは被ったままだよな。あれ?棺桶の中ではヅラはそのままなのかな?わ~、気になるなぁ!
あ、メガネは近いかも。きっとのび太もタモリもおぎもやはぎも(敬称略)メガネのない顔はあまり知られてないはずです。このタイプの芸能人のみなさんはメガネを脱ぐ(外す)だけのほうがいい変装だと思います。さてさて、僕もメガネをかけていますが(メガネは黄色いのを一つだけです)お風呂でも布団の中でも帽子とメガネは外しているので、棺桶の中ではぜひとも帽子は被せないでください。お願いしますね!ないほうが実はラク です(笑)
ところで、今年の健康診断ですが背が少し伸びていました。一体このいい歳でどこが成長しているのだろうか、という話はまたの機会に。
Profile of 門田 陽(かどた あきら)
電通第5CRプランニング局
クリエーティヴ・ディレクター/コピーライター
1963年福岡市生まれ。
福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。
TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。
趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。