君の名は君のせいじゃない
- とりとめないわ 第21話
- とりとめないわ 門田陽
モーリシャス共和国(通称モーリシャス)に行ってきました。4月の頭、仕事(撮影)です。
モーリシャスはアフリカの南、マダガスカルの隣にある島で大きさは東京23区とほぼ同じくらい。わかりにくいかな。沖縄の約1.5倍。ますますわかりにくいかな。ま、それくらいの小さな島です。暖かいところだろうな(ガイドブックに常春の楽園と書いてあったので)程度の前知識しかありません。僕個人的には17世紀に絶滅したドードー鳥が生息していた島(薄井ゆうじ著「ドードー鳥の飼育」という本を読んだばかりだった)という興味はありましたが他にはあまり詳しくない国です。
さて今回は1週間という短い滞在でしたがそのうちの2日間をシャン・ド・マルス競馬場での撮影に費やしました。競馬ファン以外にはあまり知られていませんがモーリシャスは世界で2番目に古い競馬の歴史を持つ国です。国内最大のスポーツイベントも競馬で国民的な人気があり、競走馬400頭が毎週のように凌ぎを削っているのだそうです。早朝から訪れた練習場は大きなレースの前ということで緊張感があって、駆ける馬の気迫と乗る騎手の凛々しさがたまらなくカッコイイのです。そのあと伺った厩舎では馬も騎手も共にリラックスして特に馬のしぐさや顔がかわいいのもギャップがあって面白い。
おっ、こいつ澄んだいい目をしているな。と、ふとゼッケンに目をやると「データコントローラ」とあります(※写真①)。何でそんな愛想のない名前にしたのかなと横の馬のゼッケンを見ると「ブラックトラクター」です。強そうだけど、速そうではない。そういえば、「ハルウララ」という弱くて人気のある馬がいたよなぁ、とか思い出していた僕の目の前を通った馬の名前にキョトンとなりました。「ゴールデンボール」です!エッ?見直しましたがやはり「ゴールデンボール」です(※写真②)。これ、日本だと実況アナウンサーが困るだろうなとか余計な想像をしてしまいます。もちろんこちらではそんな意味のはずはないでしょうが、どういう意味で付けたのだろうかゴールデンボール。あ~、聞けばよかった、とこれが今回のモーリシャスでの一番の後悔でした(苦笑)。
さて、日本に戻ると無性に馬のことが気にかかる体質になりました。そこでGW明けの週末に東京競馬場へ行ったのです。その日はG1レースもあるので駅から人人人人人の波。(話それますが、黒山の人だかりって日本だけの言い方なのかな?ま、いいやこの話は。) それをかき分けパドックに着くと、気になる馬を見つけました。「トキメキユキチャン」です(※写真③)。う~ん、この名は勝てそうにない。人気も低いし大穴です。もちろん買いました(※写真④)。勝てば高配当、帰りは焼肉だ!ユキチャン、思ったよりは頑張って5着でしたが焼肉は食べられません。
それから数レースはこれといってときめく馬を見つけられず、メインレースで賭けた「カラクレナイ」も敗れて、そろそろ帰ろうかなとしたときです。この日の最終レースにいい馬がいたのです。その名は「ウリボー」!!なぜ馬なのにオレの名はウリボーなんだよ、という本人(馬だけど)の抗議が聞こえてきます(※写真⑤)。おそらく名付け親は猪突猛進あたりの意味で付けたのでしょう。でもなー、猫に生まれたのに「ポチ」にされたみたいだもんなぁ。もちろん人気薄。大穴です。最終レースにはもう一頭、「セクシーボーイ」というこれまた勝てないでしょと思う名の馬がいたので(※写真⑥)この2頭を購入。勝てば万馬券、帰りはすき焼きだ!と一瞬夢を見ましたが予想以上に2頭は弱く帰りはガード下で焼き鳥になりました。
ところで偶然はよくあるもので、上野の大英自然史博物館展でドードー鳥の実物大(模型)が展示されていると聞いたので勇んで行くと再び人人人人人の波(※写真⑦)でしたという話はまたの機会に。
Profile of 門田 陽(かどた あきら)
電通第5CRプランニング局
クリエーティヴ・ディレクター/コピーライター
1963年福岡市生まれ。
福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。
TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。
趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。