職種その他2017.12.27

おじさんぽ。平成通り篇

とりとめないわ 第28話
とりとめないわ 門田陽

体力の衰えなのでしょう。目が覚めるのが年々早くなっています。沢山眠れません。10代や20代のとき、どんなに寝ても足りなかったのがまさに夢のよう。あの頃、すこし寝過ぎたのかもしれません。そのおかげで、最近のマイブームは朝の散歩です。特に休日は隣町やその先まで足を伸ばすことも多いです。僕の中では「おじさんぽ」と呼んでいます。

玄関を一歩出ると僕の頭を「おじさんぽ」のテーマ曲東京スカパラダイスオーケストラの「君と僕」が駆け巡ります。ほんとは口笛を吹きたいのですが(僕は口笛ができないのです)、かわりにフフフフフフフフ~フフフフフ~フ~フ~という不気味なハミングで歩いています。師走の日曜日、この日の「おじさんぽ」のコースは茅場町から築地までの平成通り。僕はこの通りが好きでして、よく歩きます。通り全体がゆるい感じ。名前は平成だけど通り沿いの店の多くは昭和のたたずまい。余計なお世話ながら生計の成り立ちがわからない本屋さんや洋品店や小物屋さんが並んでいます。ここ数年、外国人をターゲットにしたビジネスホテルやバルもずいぶん増えました。通りの中程にあるカレー居酒屋のカレーコロッケは、ふつうのコロッケの上にカレーのルーが掛けてあるという斬新さがたまりません。この日もテクテク歩いていたら築地二丁目のバス停が工事中(※写真①)。あれ?ここ随分前から同じ状況だよなと看板(※写真②)を見るともう半年もやっています。本気出せば一日で終わりそうなのに、そこもまたこの通りらしいなと思いました。そういえば、平成通りは昭和時代は何と呼ばれていたのでしょうか。気になったので先程のバス停から徒歩1分の京橋図書館(※写真③)で調べてみたら電車通りと呼ばれていました。そうです、ここは昭和47年まで都電が走っていたのです。図書館の係の方がとても親切で都電の走る昔の写真を次々と探してくれました。気がつくとすっかり長居をしてしまい、今回の「おじさんぽ」はここで終了。

写真①

写真②

写真③

さて。そんな「平成」は再来年の4月で終わり新しい元号になります。すでに多くの人が次は何かと予測していますが(ネット上では「安始」や「安久」や「光成」とかが人気みたいです)僕も考えてみました。ネーミングは本職ですし。元号には一応決まり事があって、その縛りから逆算するとかなり輪郭がはっきりします。大前提として漢字2文字。万人が読みやすくわかりやすいものが原則です。ここ4代の「平成」「昭和」「大正」「明治」に限れば、使われている8文字はどれも小学4年までに習います。さらに最初の1文字は小学3年までの字です。これに倣えば、最初の1文字に使える漢字は全部で440。

この440文字の中から、いま日本に現存している人がいる明治から平成までの四つのイニシャルであるMとTとSとHは公的文書やふだんの生活の中で紛らわしいので省くと236文字(※自分調べなので間違ってたらゴメンなさい)。そこから悪とか毒とか負とか意味的になさそうなものや、数字や動物や外国の名になっているものなどを外して荒選りすると101文字。最後にエイヤと独断で僕が好きでない文字を消すと残ったのは54文字。これが次の元号の頭の1文字候補の本命です。(参考までに並べると、花貝学気空見校人日入文立力林羽活間丸記京元光行合道分野用来里理安意育央化開起究決研向幸全定美由有葉陽緑礼路和の以上54文字)

そしてそうしてこの54文字をよく観察(※写真④)。文字のバランスや美しさや頭文字としての字ずらに今の時代の気分で僕が勝手に次の10文字に絞りました。人羽元光安開幸全和文。この10文字に小学4年までに習う字から同様に厳選した74字の組み合わせでの僕の一押しは「元紀」ですが、もし重ね字が許されるなら「安安」がかわいい。上野の「香香(シャンシャン)」みたいできっと人気が出るはずです。ま、それはないとして以下「安成」「人和」「文京」「全向」「幸成」「文央」等々。今から発表が楽しみです。(※今回も相変わらず横道にそれたままになりましたが、この企画はクリエイティブ探検隊でちゃんと追ったら面白くなりそうだよなぁ)

写真④

ところで、不眠症の男が真夜中に散歩して居眠り運転の車に撥ねられるショートショートの話はまたの機会に。

Profile of 門田 陽(かどた あきら)

門田陽

電通第5CRプランニング局
クリエーティヴ・ディレクター/コピーライター
1963年福岡市生まれ。
福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。
TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。
趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。

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