デジタルネイティブ「ミレニアル世代」のハートを鷲掴み!ニューヨーク発クールなアイウェアブランド
- Vol.110
- Dig it! NYC 藤井さゆり
あけましておめでとうございます。
新年を迎えるにあたり、もう何年も使っている古いメガネを新しくしたい!と思い、年末に新しいメガネを買うことにしました。
私が選んだのは、Warby Parker(ワービーパーカー)!
Warby Parker | Portraits
Warby Parker - YouTube
ニューヨーク発のクールなアイウェアブランド、自宅で5本のメガネが試着できる、しかもレンズ込みで95ドル!とあれば、もうココしかありません。
Warby Parkerは2010年にニューヨークで創業開始、以来7年ちょっとしか経っていないにも関わらず、かなり革新的なことをやっている企業です。何が革新的なのかというと、
(1)デザインを自社で行い、自社工場を持つことで、コストを大幅に削減
(2)自宅で5本のメガネが試着できるサービス「HOME TRY-ON」
(3)検眼アプリなるものを開発
と、この他にも色々と革新的な面はあるのですが、ここではこの3つの点について説明していきます。
(1)デザインを自社で行い、自社工場を持つことで、コストを大幅に削減
Warby Parker - Instagram
通常、アメリカでメガネを作る時には、まずは眼科へ行って検眼→眼科医からメガネを作るための度数が記入された処方箋を入手→その処方箋を持ってメガネ屋さんへ、という少し面倒な手続きを踏みます。日本ではすでに安価で手に入るメガネ屋さんが多くありますが、アメリカのメガネ屋さんは高価で、私が行った最初のメガネ屋さんでは、取り揃えてあるフレームの中でもお安めなものを選んだにも関わらず、レンズ込みで300ドル(約33,000円)と言われました。
Warby Parkerは、販売店といった仲介業者を通さず、デザインを自社で行い、自社工場を持ち、直営店やオンラインで販売することでコストを大幅に削減、それにより度入りのメガネを95ドルという価格で販売できるのだそうです。
(2)自宅で5本のメガネが試着できるサービス「HOME TRY-ON」
Warby Parker - Instagram
Warby Parkerは、お店に出向かなくてもメガネの試着ができます!それは、一度に5本まで試着可能という「HOME TRY-ON」というサービス。
ウェブサイトやスマホアプリから、試着したいものを5本まで選び、HOME TRY-ONをオーダーすると、見本品(度なし)が送られてきます。これをお家で試着してみて自分に似合うか、掛け心地はどうか、などをチェックできるのです。HOME TRY-ONは5日間で、試着後、同封されてきた返信用伝票を貼って送り返します。
購入する場合には、眼科医からもらった処方箋をスマホカメラなどで撮影してアップロードし、オンラインで支払い手続き(送料無料)をするのみ。そうすると大体一週間でメガネが送られてきます。
(3)検眼アプリなるものを開発
Warby Parker - Instagram
なんとWarby Parker、検眼アプリなるものを開発しています。スマホとパソコンがあれば、自分の部屋で自分一人で検眼ができます。アプリで検診後に、前回の検眼時よりも度が進んでいるなど視力に変更がある場合には、新たな処方箋が必要になり、眼科医による検診が必要ですが、前回の検診時と同じ視力であるならば、新たな処方箋は必要がないので、眼科医に行く必要はありません。従って、店や眼科医へ外出することなしに、検眼〜試着〜購入〜受け取りまでが可能なのです!
その他の点としては、全米には60店舗以上のWarby Parker直営店(これがまたオシャレ!)があるのですが、先月、ニューヨークのロックフェラーセンターとアッパーウエストサイドに2店舗が同時オープンしたこと、発展途上国に貢献するBuy a Pair, Give a Pairというプログラムを行うなどソーシャルグッドな企業であること、環境を考えたカーボンニュートラルなアイウェアブランドであることなども、Warby Parkerが革新的な企業であると言えるでしょう。
また、デジタルネイティブである「ミレニアル世代」をメインターゲットにしていることもあり、SNS映えのするクールなデザインが多いこと、ポップで遊び心のあるコマーシャルやビジュアルを使用し、独自のブランディングで成功しているWarby Parker。
Warby Parker - Instagram
使われているビジュアルや店舗デザインがとっても素敵なので、まとめてみます。
Hey, NOLA! Stop by The Frame Studio tomorrow for a delectable array of new frames, presents, gift cards, AND a Hot Chocolate Bar by @SucreNewOrleans! 😛 https://t.co/3N0cMJ1Zpp pic.twitter.com/PjaAJEIGe5
— Warby Parker (@WarbyParker) December 15, 2017
Warby Parker - Twitter
ロサンゼルス北部にある店舗。
Warby Parker - Instagram
ロサンゼルスにあるオシャレな通り”Abbot Kinney”にある店舗。
Warby Parker - Instagram
ニューヨークの店舗。
Warby Parker - Instagram
ヒューストンの店舗。
Warby Parker - Instagram
クリスマスギフト用にデザインされた、メガネを拭くためのクロスデザイン。
Warby Parker - Instagram
シカゴのフォトグラファーとコラボレートしたビジュアル。
Warby Parker - Instagram
もはやメガネがヘアアクセサリーに!
いかがでしたか。Warby Parkerはメガネを作って売っているブランドなだけなのですが、アーティストやクリエイターが描いたビジュアルやソーシャルメディアで表現されているブランドの世界観が個人的にすっごく好きなんですよね。
最後に、Warby Parkerの企業ルールをご紹介したいと思います。
(英文はhttps://www.warbyparker.com/cultureからの引用)
Treat customers the way we’d like to be treated.
They don’t call it the golden rule for nothing. Shopping for glasses should be fun, easy, and not ridiculously expensive.
私たちが扱われたいと思うやり方でお客様を扱おう
無駄に黄金の法則があるわけではない。メガネを買うことは楽しく、簡単で、かつ、とてつもなく高価であるべきものではない。
Create an environment where employees can think big, have fun, and do good.
Sometimes people say to us: “If you love your job so much, why don’t you marry it?” (Answer: we would if we could.)
従業員が大きなことを考えられ、楽しめ、良いことができる環境を創造しよう
時に人々は私たちに言う「もしあなたのする仕事が大好きなら、仕事と結婚する?」(答え:もしできたらそうするだろう)
Get out there.
No company is an island. Serving the community is in our DNA—from distributing a pair of frames for every pair sold to sponsoring local Little League teams (Go Giants! Go Skyscrapers!). We also work with Verité to ensure that our factories have fair working conditions and happy employees.
外に出よう
孤島にある会社はない。コミュニティに仕えることー全てのメガネを売るためにフレームを流通させることから、ローカルの小さな野球チームのスポンサーとなることまでーそれは、私たちのDNAである。また、私たちの工場にはフェアな労働条件で働いている幸せな従業員がおり、それを確実に行っているという真実と共に仕事をしている。
Green is good.
Warby Parker is one of the only carbon-neutral eyewear brands in the world.
グリーン(環境保護)は重要だ
Warby Parkerは、世界でカーボンニュートラルだけで作られているアイウェアブランドの一つである。
Our customers, employees, community and environment are our stakeholders. We consider them in every decision that we make.
お客様、従業員、コミュニティ、そして環境は私たちのステークホルダー(会社の指針や経営に影響を与える団体)です。私たちは、私たちが行う全ての決断に置いて、彼らのことを考慮します。
Warby Parkerはメガネを売る会社ですが、このルール、物やサービスを売っているならばどんな企業でも通用しそうです。どんな業種であれ、企業は「自社の利益追求」だけではダメで、お客様、従業員、コミュニティ、そして地球のことを考えていかなければならないということ、なぜWarby Parkerが革新的なのか、なぜ人々がWarby Parkerからメガネを買うのかが、このルールから理解できます。
自分のビジネスもこう在りたい…と決心した新年でした。ということで、今年もこのコラムをよろしくお願いします!
(引用、参考)
warbyparker.com
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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