キャラクターが現実の世界に飛び出す!AR絵本アプリWonderscope
- Vol.121
- Dig it! NYC 藤井さゆり
タブレットやスマートフォンを巧みに操り、AR&VRが特別なものと感じていない現代の子供達へー革新的でクリエイティブ、しかも、教育的なARアプリが登場しました!その名も「Wonderscope(ワンダースコープ)」。
Introducing Wonderscope: an augmented reality iOS app for kids
Wonderscope - Youtube
AR(拡張現実)によってキャラクター達が現実の世界に登場し、話したり、動いたりして物語が繰り広げられていく、デジタル絵本の進化系とも言えるこのアプリ。
カーペットの上、ベッドなど、自分がいつも生活している日常の場で、飛行機や滑走路、汽車、ナイアガラの滝が登場し、キャラクターが飛行機で飛び回ったり、バイクを運転しながら汽車の上に飛び乗ったり、ナイアガラの滝の上で綱渡りしたり。
それをタブレットやスマートフォンを動かして様々な角度から見たり、また、画面上でキャラクター達に触れると体をよじったりして反応をするので、自然に物語の世界観に入り込んでしまいます。
現在公開されているストーリーは2つで、1つ目は「A Brief History of Stunts by Astounding People」という、歴史上、驚異的なスタントを行った3人の実在人物についてのストーリーで、88歳で飛行機(複葉機)の翼に乗ったベティー・ブロマージさん、ハリウッドで最初の女性スタントマンとなったヘレン・ギブソンさん、ナイアガラの滝での綱渡りを行ったチャールズ・ブロディンさんが登場します。
画面に表示される字幕を読むとキャラクター達が応えてくれるのですが、彼らと会話をしているような感覚で物語が進んでいきます。
2つ目は「Little Red the Inventor」という童話の赤ずきんちゃんをベースにしたストーリー。1つ目のストーリーは楽しいポップな感じのアニメーションですが、こちらは雰囲気が違い、全編美しいグラフィックで表現されています。オオカミから逃げるため、読み手と赤ずきんちゃんがチームになって活躍していくストーリー。
wonderscopeapp - Instagram
このアプリを作ったのは、ロサンゼルスにあるVR・ARをベースにしたコンテンツを提供するメディア企業、Withinです。Withinは、カニエ・ウエスト、U2、アーケード・ファイアといったトップアーティストのミュージックビデオを監督したVRのグルと言われるクリス・ミルク氏と、グーグルでVRとインタラクティブビジュアルデザインをしていたアーロン・コブリン氏が2014年に設立。2017年の夏には4,000万ドルの投資を受けており、Apple、Google、Facebook、SONYらがパートナー企業として名を連ねています。
クリス・ミルク氏は、2015年にTEDで「仮想現実が究極の感情移入マシーンを作り出すまで」と題して、自身が監督したトップミュージシャンとコラボレートしたVRミュージックビデオやドキュメンタリーフィルムを通して、VRがどれだけ人の感情に入り込めるのか、ということを講演しており、また翌年には、「芸術として生まれ変わったバーチャルリアリティ(VR)」と題して、講演中に、人々にGoogleカードボードを使って、同時にVRを体験してもらうという実験をしています。
Chris Milk: How virtual reality can create the ultimate empathy machine
(仮想現実が究極の感情移入マシーンを作り出すまで)
TED - Youtube
The birth of virtual reality as an art form | Chris Milk
(芸術として生まれ変わったバーチャルリアリティ(VR))
TED - Youtube
アーロン・コブリン氏は、視覚化されたデータを使ったビジュアルデザインについて講演しており、特にクラウドソーシングによるクリス・ミルクとの共同プロジェクト、ジョニー・キャッシュのミュージックビデオ制作のくだりがとても興味深いです。
Aaron Koblin: Artfully visualizing our humanity
(アーロン・コブリン:人間性を巧みに描く)
TED - Youtube
アプリのダウンロードは無料、1つ目のストーリー「A Brief History of Stunts by Astounding People」は無料ですが、2作目「Little Red the Inventor」以降からは有料(4.99ドル)コンテンツとなるようです。アプリの利用者として適した年齢は、7歳から10歳の子ども、ということですが、大人でももちろん楽しめます。
ウチの娘たち(5歳と6歳)にも見せましたが、とても楽しんでいました。6歳だとまだ文章を読む力が十分ではないので、親が読んであげる必要がありますが、親子で楽しめるアプリとしてオススメです。
もう少し上の年代の子どもたち向けや、大人向けのストーリーを作ってもウケそうです。3作目は近々公開予定で、「Wonder's Land Ringmaster Wanted」という不思議の国のアリスをベースにしたストーリーのようです。もちろん迷わず購入します!今後のストーリーも楽しみです。
注)Wonderscopeは現在(2018年11月)のところ、IOSアプリ(英語版)のみとなっています。
(参考)
fastcompany.com - Chris Milk’s first AR app is here, and it’s revolutionary
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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