アート・デザイン本を出版したファレル・ウィリアムス:ジャンルを超えて活躍するその多才さについて
- Vol.122
- Dig it! NYC 藤井さゆり
2014年に発表したポップソング、Happyが世界中でヒットしたファレル・ウィリアムスさんが、最近、A Fish Doesn't Know It's Wetという本を出版されました。これまでに自身が手掛けた音楽、アート、デザインをベースとしたもので、仲良しであるA Bathing Apeの創業者NIGO®らのメッセージ、オプラ・フィンフリーへのインタビューも掲載されています。
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.@Pharrell's latest book continues to document his prolific and ever-expanding body of work in art, fashion, music and more. #AFishDoesntKnowItsWet is OUT NOW: https://t.co/TyNy2tvzBb pic.twitter.com/2avSwgsIGC
— i am OTHER (@i_am_OTHER) 2018年12月10日
Twitter - i am OTHER @i_am_OTHER
ファレルさんは、元々1990年代初めにヒップホップやR&BミュージックをプロデュースするNeptunesとしてキャリアをスタート、これまでに数多くのアーティストをプロデュースしてきており、11冠ものグラミー賞を授賞しています。
日頃よりファレルさんのファッションセンスや独自のスタイルに興味があり注目していましたが、音楽だけではなく、ファッション、アート、プロダクトデザイン、映画、テレビとジャンルを超え、また、国内に留まらず、色々な国からのインスピレーションを受けつつ、その才能を多方面で発揮されています。
ファレルさんのウェブサイトを見ると、とてもクリエイティブなプロジェクトを数多く手掛けられてきたことがわかります。プロジェクトは単にリストアップされているのではなく、世界中にいるファンが紹介する形(Facebookから投稿するとウェブサイトに反映される仕組み)となっています。
ウェブサイトのデザインセンスもナイスです。ファレルさんは、よくアーティストにありがちな「俺を見てくれ!」というタイプではないようなので、それがウェブサイトにも表れていますね。
最近のファレルさんが手掛けたプロジェクトを見てみますと、アディダスとのコラボレーション“SolarHu”。東アフリカをインスパイアしたカラフルなウェアやスニーカーが並びます。
Instagram - Pharrell Williams
ファレルさんはこれ以外にも、テニスウェアやスニーカーなど、アディダスとは何度もコラボ商品を発表しています。
2018年のアディダスによるFIFAワールドカップ用キャンペーンコマーシャルにもちらっと出演しています。
Create the Answer – adidas
adidas
また、新しくNetflixで配信が始まった、子供たちに面白く新しいやり方で科学を紹介するエンターテイメント番組「brainchild」の制作に、エグゼクティブプロデューサーとして参加。
Instagram - Pharrell Williams
そして、NIGO®がプロデュースするヒップホップグループ「HONEST BOYZ®」の「TOKYO DIP」に、楽曲プロデュースとヴォーカルで参加。
NIGO®の監督によるYoutube限定で昨年の11月に公開されたMV。ファレルさんは前半と後半に出演しています。
Youtube - HONEST BOYZ®「TOKYO DIP feat. PHARRELL WILLIAMS」
LDH MUSIC official
人気急上昇の若手シンガー、カミラ・カベロとの楽曲「Sangria Wine」を昨年の夏に発表。この映像は、Billboard Music Awards 2018での模様。
Instagram - Pharrell Williams
昨年2月に公開された、1980年代の女性ラッパー、ロクサーヌ・シャンティの壮絶な人生を描いた伝記映画「Roxanne Roxanne」にプロデューサーとして参加。2019年のゴールデングローブ賞で作品賞に輝いた「グリーンブック」に出演し、助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリが出演しています。
Instagram - Pharrell Williams
これだけでも2018年に行った主だった活躍ですが、これ以外にも、自身のグループ「N.E.R.D」としてフジロックに出演したり、曲を制作したり、イベントやコンサートに出演したり、インドに行ったりと、どこにそんな時間があるのだろう…と思うほど、精力的に活動をされています。
日本滞在時には、日本の草分け的グラフィックデザイナー・アーティストである田名網敬一さんの展示会にも訪れているみたいです。
Instagram - Pharrell Williams
以前手掛けたものでぜひご紹介しておきたいのが、映画プロデュースと劇中の音楽を手掛けた、2017年の公開映画「ドリーム(原題:Hidden Figures)」。「ドリーム」は1961年当時、職場での黒人差別や女性差別にも負けず、NASAで働く3人の黒人女性のひたむきな姿を描いた感動作で、2017年のアカデミー賞に作品賞としてノミネートされており、ゴールデングローブ賞では作曲賞としてノミネートされています。私も観ましたが、作品も音楽も本当に素晴らしい映画です!
映画『ドリーム』予告A
20世紀フォックス映画公式チャンネル
こちらでは、ファレルさんの劇中の音楽に込められた思いを聞くことができます。
『ドリーム』ファレル・ウィリアムスが手掛けた“映画音楽史に残る劇中歌”特別映像
CinemaGeneシネマジーン-女子向け映画情報メディア-
その他にも注目したいのが、pharrellwilliams.com - art & designで紹介されている過去に手掛けられたアートとデザイン作品。村上隆さんとのコラボレーションオブジェや、フランスのデザイナーDomeau & Pérèsと手掛けたカラフルな足の付いたPERSPECTIVE CHAIR、TAMK CHAIR、VELO BIKEなど、クリエイティブで面白い作品が見られます。
こちらは村上隆さんの仕事場に訪れた時の様子。村上さんのアート作品にファレルさんが感激している様子が新鮮です。
Pharrell Visits Takashi Murakami - The 500 Arhats
iamOTHER
最後にご紹介したいのが、ファレルさんによって立ち上げられた「i am OTHER」というプロジェクト(レコードレーベルでもあり、ファッションレーベルでもある)。グローバルな文化、音楽、ファッション、アートで活躍している人たちを取り上げています。ファレルさんの社会的な活動の一環とも言うべきもの。
i am OTHER - We're Here
iamOTHER
ファレルさんの活動や作品はまだまだたくさんあり、ここでは紹介しきれないほどです。ファレルさんが手掛けられた作品を見れば見るほど、スタイルやジャンルを超えたその多才な活動に魅了され、真のクリエイターとはこういう人のことを言うのかな、と感じた2019年の年初めでした。
ちなみに、「東京は第二のホームだ」と言うファレルさんですが、これを見るとファレルさんの東京への思いがわかります。
Tokyo Rising: Part 1 - Pharrell's Return to Tokyo
Palladium Boots
ということで、本コラムも今年で11年目となりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします!
(参考)
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
Foxylilly.com
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