自転車通勤
- 番長プロデューサーの世直しコラムVol.33
- 番長プロデューサーの世直しコラム 櫻木光
実は、自転車通勤をしています。家から会社まで、そんなに長い距離ではないのですが、始めてからもう1年続いています。雨の日と、夜遅くなる予定の日以外はほとんど。会社の行き帰りだけではなく、会社から仕事先に行くときの移動などにも、無理がない範囲で自転車で行動しています。
バイコロジーという言葉があります。Bike(自転車)とecology(エコロジー)を合成した造語で、運転時に排気ガスを発生させない自転車を利用することで大気汚染などの公害を防ぐ社会運動を指します。
その起源は意外と古くて、1971年にアメリカの青年が提唱し、オイルショックなどと相まって一旦急速に世界中に広まった運動でした。でも、オイルショックが収まると、なんとなく忘れ去られちゃったそうです。
それが、昨今の環境問題の深刻化と先進国の健康問題などを背景に、ヨーロッパ発で見直しの動きが広まっています。
フランスのパリ市は、レンタル自転車サービス「velib(ヴェリブ)」を開始しました。パリの750箇所に専用の駐輪場があり(ほぼ300mに1カ所)、全部で10,648台が貸し出されているそうです。パリ市のねらいは「街からの自動車の締め出し」。パリ市って大体、世田谷区と同じ面積だっていいますから、相当な自転車濃度になりますね。パリ市を走る車両の数が13%減ったそうです。
オランダでは、アムステルダムだけではなく全国の道路に自転車レーンなるものが整備されていて、自転車で移動するライフスタイルがかなり定着しているそうです。電車に、自転車を持ったまま乗るのも普通。一人平均2台(近距離用と遠距離用)を保有し、国民一人あたりの自転車保有率は世界一だそうです。起伏の少ない国土なのも、大きな要因らしいですね。
最近は日本でも「ジテツー」や「チャリ通」という言葉を頻繁に耳にするようになっていていますし、地方自治体を中心に自転車通勤の推進キャンペーンも盛んになっているようです。
たとえば、山口県の地球温暖化防止活動推進センター(すごい名称!)という機関では、温暖化防止の観点から「eco2rin(エコツウリン)」として自転車通勤拡大キャンペーンを行っています。
名古屋市役所にいたっては、職員の通勤手当改革をして「自転車通勤手当」をこれまでの2倍に。一方、5㎞未満の距離をマイカーで通勤する人の通勤手当は半額としました。職員用のシャワールームの設置など、設備面からも自転車通勤をサポートしています。
まあ、僕の自転車通勤作戦は、そんな大きい世の中の動きに合わせて、環境のことを考えてというわけじゃない。実は、ダイエットが主目的です(笑)。40歳になって再開したハードなバスケットボールのため、体重を減らすため、また補助的なトレーニングのため、膝と足首の強化のため。そういうことも、なんとなく視野に入れています。
たったそれだけだったんだけれど、意外に他のことにいい影響を及ぼすのもわかってきました。
まず、朝、自転車をこいで会社まで行くと、血流がよくなるのか、脳みそがスッキリした状態で仕事に入れます。
体力的にも、明らかに回復傾向にあります。若い頃は平気だった徹夜の作業も、最近は、一回徹夜の日があるとなかなか立ち直るのに時間がかかるようになっていましたが、再び、かなり平気になってきました。
会社の健康診断に行ったら、いろんな数値が改善されていて、{少し太り気味}というところ以外は全部A判定になっていて、笑いました。
バスも電車もあまり使わなくなったので、オートチャージになっているSUICAの口座からお金が減るのが遅くなりました。毎日、交通費って結構使っているものですね。
「夏は暑いし、冬は寒いだろう?」という質問を受けます。その通りなんですが、高校生の頃を思い出してみてください。地方出身者は特に。通学するのに毎日自転車で通った日々。暑いとか寒いとか考えていたでしょうか?毎日乗っていればあまり気にならないもので、逆に季節の移り変わりを感じることができて、忘れていた何かを思い出すようなすがすがしい気分です。
で、本来の目的はどうなったか?
毎日、自転車に乗っていると、カラダの基礎代謝率が高くなるみたいで、当然体重が減り始めました。見た目からはっきり痩せてきたのです。会う人会う人に、「やせましたね~」と言われます。今の僕に、これ以上嬉しい褒め言葉はありません。自転車の運動は足だけ使うわけではないらしく、二の腕や背中の贅肉が減りました。バスケでのダイエット効果もあると思いますが、毎日の自転車の効果も相当あると確信します。
最初はつらいこともありますが、慣れてしまえばこっちのものです。悪いことは何一つない。道路交通法さえ守れば、健康にも環境にも経済にも良い。お勧めです。
Profile of 櫻木光 (CMプロデューサー)
~株式会社リフト 第一制作部 チーフプロデューサー~
- 1968年 佐賀県生まれ、44歳。
- 1991年 ニッテンアルティ入社(旧 日本天然色映画株式会社)
- 2000年にプロデューサーに昇格。
- 2009年 社名がリフトに変更。
プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが(日本にはCMプロデューサーと名乗る人が2000人もいるそうです)、自分のケツを自分で拭こうとしているプロデューサーは何人いるでしょうか?矢面に立つのは当たり前だとつっぱって仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。根性論を書いているかと思ったら、意外に現実論者でもあります。
<主なプロデュース作品>
- AGF ブレンディボトルコーヒー(原田知世さんと子供)
- 日清食品 焼きそばU.F.O
- マルコメ 料亭の味
- リーブ21 企業CM
- コーセーサロンスタイル 『髪からはじまる物語」行定勲監督Webムービー
- クレイジーケンバンドPV