「もしも口笛が吹けたなら」
世の中がこんなことになるなんて、去年の今頃は想像すらしませんでした。しんどいことだらけですが、やまない雨はないことを信じリモートで余った時間を活用してふだんできないことをやってみました。できないことというのは、正確に言うとできたらいいなと常々思っていたことです。
それは口笛。僕はずっと口笛が吹けません。子どもの頃から50年以上のコンプレックスと言っても過言ではありません。口笛吹いて空き地へ行った「みんななかよし(NHK教育テレビ)」世代としては死ぬまで(できれば老衰で)に一度でいいから気持ちよい音を自力で鳴らしてみたいのです。さて、まずどうするか。わからないことは人に聞けです!パソコンやスマホとかも分厚い取説(トリセツ)を読むよりも詳しい人に聞くのが一番。しかもこの時代、リモートの間も散々お世話になっているユーチューブで調べるとあるわあるわ、口笛の吹き方を教えてくれる動画だけで数十本。その中で「舌を使って口笛を吹く3つの簡単な方法(ブライトサイドチャンネル)」
(URL:https://m.youtube.com/watch?v=aSs3hXlWTE8)と、くちぶえ君という方が作られている「口笛の吹き方」(URL:https://m.youtube.com/watch?v=2tPEz7lrEZQ)のふたつはズバ抜けて再生回数が多いので(前者は30万回以上、後者も27万回以上)この2本を中心に見よう見まねでやってみることにしました。
動画を見て少し安心したのは口笛を吹ける人は全体の約33パーセント、つまり吹けない人の方が多数派だとわかったことです。そっか、みんな吹けるわけじゃないんだ!さらに口笛ができないのは遺伝や唇や舌のカタチとは無関係で、練習次第で吹けるとどの動画でも力説します。これはうれしい。実は小4(小5かも?)のときに舌が短いせいだと思い舌の裏の舌小帯の手術をしてもらったのですがそれでも口笛は鳴らなかった苦い過去が僕にはあるからです。
夢は膨らみます。もしも口笛ができたなら、僕には吹きたい曲が7曲あります。1曲目は口笛の定番中の定番「口笛吹きと犬」。トリスウイスキーを始めプロミスやマルちゃん正麺など繰り返しCMに使われるランララララ、ランララン♪のあの曲(メロディを文字にするのは難易度が高いなぁ。今回この曲のタイトルがわからず友人達に電話で迷惑かけてスミマセンでした詫)。
次に吹きたいのは当コラムの第28話「おじさんぽ。平成通り篇」でも書いた僕の散歩のテーマ曲東京スカパラダイスオーケストラの「君と僕」、またはピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの「ヤング・フォークス」を隅田川の支流の仙台堀川沿いの道(※写真①)とかでぜひ披露したいものです。4曲目と5曲目はいずれもマカロニウエスタン。若き日のクリント・イーストウッドの出世作「荒野の用心棒」のさすらいの口笛と「夕陽のガンマン」のテーマ曲。作曲はどちらもエンニオ・モリコーネ。痺れる名曲です。6曲目は「密室の恐怖実験」。これはタランティーノの「キル・ビル」で挿入曲として使われました。身の毛がよだつ旋律がたまりません。この曲を家の近所の夜道(※写真②)で吹いてみたいのです。悪趣味です。あ~、やりたい。
7曲目、大トリはこれしかないです。ビリー・ジョエルの「ストレンジャー」のイントロ部分。これが吹ければ本望、もう何もいりません。とにかく練習あるのみです。
で、結果どうだったか。まるで吹けませんでした。三日坊主じゃまずいので7日間頑張りましたが、全く音は鳴りません。口をアレコレすぼめたり、小声で「ひゆう」を何度も何度も繰り返したけどダメでした。唇を水で濡らしたりリップを付けたり抵抗も試みましたがムダでした。今最もやってはいけない飛沫だけを出す結果。ほんとは5日目で諦めました。虚しくなったのです。自分には必要ないのじゃないか、と悟ってしまったのです。
と同時に別のことをやってみたくなりました。指パッチンです。こちらも負けずにユーチューブには沢山のハウツー動画がありました。
それとは一線を画しますが、今は亡きポール牧師匠の指パッチン動画は秀逸で何度見ても笑えます。そうです、これを見てしまって口笛のことはどうでもよくなったのです、反省。でもですね、指パッチンは3日目で音が出るようになりました!今はやりすぎて指を痛めてできないけれど、口笛よりは見込みがありそうです。一日も早くこんなことをやることのない日常に戻りますように。
ところで、「あくび指南」という落語があるくらいだから口笛を教える所(教室)があるかもしれない、と冗談で調べたら都内近郊だけで10箇所以上発見してしまった話はまたの機会に。