NYの映像クリエイター、ケイシー・ネイスタットが開発したビデオシェアアプリ 「Beme」が斬新過ぎる!
- Dig It! NYC Vol.83
- Dig It! NYC 藤井さゆり
以前のコラムで、ニューヨーク在住の映像クリエイター、ケイシー・ネイスタットについて紹介したことがありましたが、その彼が最近、新しいビデオシェアアプリ「Beme(ビーム)」をリリースし、話題になっています。
Meet Beme
この紹介ビデオではちょっとわかりにくいかもしれませんが、この「Beme」アプリのねらいは「リアルな瞬間や素の自分を撮影したビデオをシェアする」こと。
そして、他のソーシャルアプリにあるべき機能がありません。
というのは、通常、iPhoneのカメラやアプリを使ってビデオを撮影する場合には、撮影ボタンをタップして、画面を見ながら撮影しますよね?
通常、iPhoneを使って自分自身を撮影するときは、画面を見ながらこんな風に撮ります。
「Beme」を使ってビデオ撮影をする場合、撮影ボタンをタップする必要はなく、また、確認画面も見ることができません。撮影中は画面が黒くなるので、どのように撮影されているのか確認ができないのです。そして撮影が終了したら確認する間もなく自動的にシェアされてしまうのです!
どういうことかと言うと、確認画面を見ながらの撮影ではないので、ビデオを撮っている意識、撮られている意識がなくなり、よりリアルなシーンや素の自分を撮影することができる、というわけです。
なぜ撮影開始ボタンを押すことなしに撮影が可能なのか、それは、iPhoneのカメラレンズ付近に付いている「プロキシミティセンサー」を遮ることによって自動的にビデオ撮影が開始するためです。
ここでアプリ操作方法の流れを簡単に説明すると、
- 1. Bemeアプリを開く
- 2. iPhoneを胸に持っていくなどして、iPhoneのカメラレンズ付近に付いている「プロキシミティセンサー」を遮る。と同時にビデオ撮影がスタート。(自分自身を撮影したい場合は、iPhoneを壁面に付けるなどして、プロキシミティセンサーを遮るとビデオ撮影が自動的に開始される)
iPhoneを胸に持っていくと「プロキシミティセンサー」が遮られるので、ビデオ撮影が自動的に開始される。
自分自身を撮影したい時は、iPhoneを壁面に付けるなどして、プロキシミティセンサーを遮るとビデオ撮影が自動的に開始。
- 3. iPhoneの画面が黒くなる=撮影中(4秒間)
- 4. 自動的に撮影終了&Beme上でシェアされる
また「Beme」には、ソーシャルアプリには必ずある「いいね!」「シェア」「コメントする」といったメニューがありません。
誰かのビデオを見て反応したい場合には、「いいね!」「シェア」「コメントする」の代わりに、「ビデオを見ている時の自分のリアクション顔を相手に送る」というユニークな方法でやりとりされます。
その実際の方法ですが、見ているビデオの画面上で指をスライドさせ、右上に表示される自分の顔をタップすれば、自分が今しているリアクションの顔写真が相手に送られるというもの。そのリアクション顔が送られた側は、相手がどんな様子で自分のビデオを見ているか見ることができます。この機能、かなりウケるんですけど(笑)
以下画像はいずれもitunes.apple.comより
画面上で指をスライドすると、見ているビデオの右上に自分の顔が現れるので、それをタップすると、画像が相手側に送られる。
自分のビデオを見て反応した人からのリアクション顔を確認できる。
ケイシー・ネイスタットは「多くのソーシャルメディアにシェアされているビデオや写真は誰もが自分のベストショットを選ぶため、リアルな自分とは違う。Bemeは、リアル、素の自分がシェアされる。新しい形のシェア方法だ。」と言っています。
また、シェアしたビデオは時間が経つと自動的に削除されるので、過去に遡ってビデオを見ることはできない仕組みとなっています。
さて、そんなユニークなソーシャルアプリを生み出したケイシー・ネイスタット。以前のコラムを書いた約3年前の時点でも、 すでにYouTubeでは有名な映像クリエイターでしたが、現在では“スター・クリエイティブ・セレブリティ”と言っても過言ではないほど知名度もアップ。 映像制作の方法や表現の仕方、アイディアなど、以前よりもより進化していますし、先月23日にはケイシー・ネイスタットのYouTubeチャンネル登録数が100万件を超えるという快挙を成し遂げるほど!
TechCrunchによると、Beme開発のために、投資会社から260万ドルの資金調達に成功。また、Bemeをリリースした先月の17日以降、8日間で110万人のユーザーがBeme上でビデオをシェア、240万枚のリアクション写真が送られたとのこと。スタート時点から滑り出しもよく、「ソーシャルメディアの流れを変える」などど、各メディアからもよい評価を受けています。
Bemeを開発したことは、現在の彼の一番の進化形と言えるでしょうが、やはり彼のクリエイティビティを十分堪能できるのは、YouTubeの映像作品です。
以前にもコラム内で紹介したことがありますが、彼の作品の中でやはりダントツに閲覧数が多いのは、NIKE+FUELBANDの「Make It Count」。その他にも秀逸な作品があるので、いくつか紹介したいと思います。
Make It Count
NIKE+FUELBANDのムービー制作を頼まれたケイシーとその友人は、そのムービーを制作する代わりに、予算が尽きるまでNIKE+FUELBANDをしてニューヨークから世界へ旅に出かけるという実験的な映像作品。躍動感にあふれています。
How to Turn Your Apple Watch Gold
12,000ドルのゴールドのアップルウォッチ。彼の手にかかれば、399ドルの通常のアップルウォッチが見た目もまったく同じゴールドのアップルウォッチに大変身。その方法とは?!
Bike Lanes by Casey Neistat
ニューヨーク市内を自転車で走っていた彼は、自転車道にあった障害物をよけるため車道を走っていたが、自転車道を走っていなかったことが理由で警察に罰金を取られる。その事に納得のいかなかった彼は、自転車道を自転車で走りながら、駐車中の車やゴミ箱にぶつかって横転しまくるという作品。体張ってます…
Snowboarding New York City
雪深いニューヨーク市内をスノーボードで駆け抜けるケイシー。編集もすばらしく、見ているだけで爽快な気分になります。コメント欄に「ケイシーにかかればニューヨークも大きな遊び場になる」と書かれていましたが、まさにその通り。
いかがでしたか。今後も彼がどんな新しいクリエイティビティを見せてくれるか楽しみです。YouTubeでは彼のこれまでの映像作品がたくさん見られますので、ぜひチェックしてみてください。
Profile of 藤井さゆり
東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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