WEB・モバイル2012.07.04

Make It Count 人生を無駄にしない

Dig It! NYC Vol.45
Dig It! NYC 藤井さゆり

日常生活の運動量を「NikeFuel」という単位で計測し、アイフォンアプリを使用してウェブサイト上で日々の運動量を記録することができる、Nike+フューエルバンド。

Nike+フューエルバンド

ニューヨーク在住の映像作家、Casey Neistatによるフューエルバンドの広告映像がちょっとした話題です。ナイキからフューエルバンドのキャッチフレーズであるMake It Countを表現したショートムービーの制作を依頼された彼は、制作する代わりに、友人と予算が尽きるまで世界をまわる旅に出ることに。フューエルバンドを装着した彼は、身一つでニューヨークのアパートを出発し、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカを旅し、またニューヨークに帰るまでを記録映画風に撮っています。

深い谷底にダイブしたり、砂浜でキュートな女の子たちと出会ったり、ビル街をバックに空中プールで泳いだり…と、世界を駆け巡ります。遊び感覚に溢れていて、宣伝なのか、プライベートフィルムなのかわからない作りとなっていますが、見たらあなたも今すぐ旅立ちたい!という気分になるでしょう。アスリートやスポーツのためだけではない、フューエルバンドの新たな世界観を植え付けられた感じです。

また、随所に、偉人たちが残した名言が差し込まれていることで、ワクワクかつ説得力のある作品になっています。

「何はさておき、試してみよ」 -フランクリン・ルーズベルト

「何はさておき、試してみよ」 -フランクリン・ルーズベルト

「過ちを犯さないものは、何も成し遂げない」 -ジャコモ・カサノバ

「過ちを犯さないものは、何も成し遂げない」 -ジャコモ・カサノバ

「毎日ひとつ、あなたが怖いと思うことをやりなさい」 -エレノア・ルーズベルト

「毎日ひとつ、あなたが怖いと思うことをやりなさい」 -エレノア・ルーズベルト

Make it countには、「カウントする」という意味の他「人生を無駄にしない」という意味もあります。まさにこの通りの映像作品です。「今すぐ何かしたい!」と突き動かされるような気持ちになります。

次もCasey Neistatによるフューエルバンドの広告映像。3人のアスリートを起用したもう少しCMっぽい作りですが、先ほどのものと同様に遊び心が溢れてます。アスリートたちの運動量(NikeFuel)が目標値に達するまでのリアルライフを追ったショートムービーで、フューエルバンドに表示されるLEDライトを色の付いたチョコレートで表現。コミカルな作品になっています。

オープニング

オープニング

3人のアスリートたちのNikeFuelが加算

3人のアスリートたちのNikeFuelが加算

NikeFuelが目標値に達するとGOALと表示される

NikeFuelが目標値に達するとGOALと表示される

エンディング

エンディング

もう一つ彼の作品ですが、これは広告映像ではなく「ニューヨークで自転車泥棒がどれだけ容易か?」という実験的なもので、自転車泥棒を装って、盗むまでにかかった時間と通行人の反応を見る、というもの。ニューヨークで自転車を盗むってこんなに簡単にできてしまうものなのね…と呆れつつも「よくやったなー」と思わず唸ってしまう作品。

マンハッタンのダウンタウンエリアで自転車泥棒を装うーかかった時間6分、目撃者19人

マンハッタンのダウンタウンエリアで自転車泥棒を装うーかかった時間6分、目撃者19人

マジソンスクエアパークにて、黒人の友人に自転車泥棒を装ってもらうーかかった時間4分、目撃者26人

マジソンスクエアパークにて、黒人の友人に自転車泥棒を装ってもらうーかかった時間4分、目撃者26人

今度は人通りの多いユニオンスクエアにて、明らかに怪しげな格好かつ、音の出るマシーンを使用

今度は人通りの多いユニオンスクエアにて、明らかに怪しげな格好かつ、音の出るマシーンを使用

結果、警察に呼び止められますが、事情を説明して事なきを得ます 彼が「今までに自転車泥棒を捕まえたことがあるか?」と警察に聞いたところ「ない」

結果、警察に呼び止められますが、事情を説明して事なきを得ます 彼が「今までに自転車泥棒を捕まえたことがあるか?」と警察に聞いたところ「ない」

その他の彼の作品は、壊れたカメラの修理にピーナッツバターの瓶のふたを使って工作したり、南アフリカにいるガールフレンドにアポなしで会いに行ったり、バルーンのサメをニューヨークの美術館や地下鉄で飛ばしたりと、アイディアとしては一見陳腐に感じてしまいますが、作り方がうまいので「こういうのでも作品になるんだな~」と感心してしまいます。フューエルバンドの広告も「こーゆーのやったら面白いんじゃない?」という軽いノリで作っているんじゃないでしょうか。きっと彼のクリエイティブは遊び心が基となっているのでしょう。

「人が見たらくだらないかな?」と感じてしまうアイディアでも、見せ方、作り方次第で面白くするのは可能なんですよね。アイディアを考えたら、とりあえず形にすることで新たなアイディアが出たり、人に話すことでよいアドバイスをもらえたりします。案ずるよりも生むが易し。「こんなアイディアどうなんだろう…」とそこで悩んでばかりいては時間の無駄、人生の無駄になってしまうかも。それこそMake It Count人生を無駄にしない、ですね!

ぜひ他の作品もウェブサイトcaseyneistat.comでチェックしてみてください。 クリエイティブアイディアのよい刺激になるかもしれません。

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
Foxylilly.com
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instagram.com/foxylilly

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