28万人の合格者を社会に送り出したCG検定 ~CG分野の体系的な知識にフォーカスした唯一の検定に注目!~

Vol.72
教育振興協会 教育事業部 事業部長 佐々木元昭さん
年に2回、7月、11月に行われているCG検定は主にクリエイティブ系とエンジニア系の職種分類による5分野を網羅し、それぞれにベーシックとエキスパートの2段階の検定を用意。広くCGを中心としたデジタル画像・映像に携わる人々に求められる知識、能力の検定を行っている。主催する財団法人画像情報教育振興協会(以下、CG-ARTS協会)は、1985年に「CGカリキュラム研究会」として発足し、1991年に協会設立。早くからCGの普及と人材育成、文化振興に取り組んできた団体だ。検定の概要とポイントなどについて同協会の教育事業を担当する佐々木元昭さんにお話をうかがいました。
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2011年前期検定(7月10日開催)
願書受付締め切り 5月24日に迫る! <CG検定HP>
http://www.cgarts.or.jp/kentei/

 

国家資格に準ずると認められている、CG検定

CGクリエイター検定、CGエンジニア検定、Webデザイナー検定、画像処理エンジニア検定、マルチメディア検定の5分野に、毎年約2万人の受験者がチャレンジしているCG検定。主催するCG-ARTS協会とはどんな団体で、どんな理念で検定が実施されているのだろう。

【佐々木さんのお話】
CG-ARTS協会の事業には人材育成と文化振興の2つの柱があります。
文化振興事業としては、文化庁メディア芸術プラザの運営をはじめ、メディア芸術分野の人材の支援や、海外との交流事業などに取り組んでいます。人材育成事業にはカリキュラム構築、教材開発、指導者育成、そして検定実施があります。検定は1991年に「画像情報生成処理者試験」がスタートし、1993年に「画像情報技能検定CG部門(CG検定)」が文部省より認定を受けました。のべで約64万人が受験し、約28万人の合格者を送り出してきました。特にCGクリエイター、CGエンジニア、画像処理エンジニアの検定制度は他にはないもので、私たちが唯一、技能保持者のスキル診断の場を提供していると思います。
CG検定は民間資格ですが、文部科学省の後援を得ており、関連教育機関などでは国家資格に準ずる資格と認められています。毎年約2万人が受験しています。19年の歴史がありますから、検定OBには現在現役で活躍されているCGクリエイターや制作会社経営者、幹部も数多くいます。

ロジカルな思考と知識を問う

CG検定は、アプリケーションの操作(実技)ではなく理論と知識の力量を問う検定だ。パソコンとアプリケーションさえあれば、今日からでも制作を始められる世界だが、それだけで乗り切れるほどCGの世界は甘くない。「後付け」でもいいから、しっかりとした理論と体系的な知識を。そう考えて受験する人、受験を薦める人がCG検定を支持しているのである。

【佐々木さんのお話】
CG検定の最大の特徴は、実技検定ではない点でしょう。検定では、各分野の業務に必要なロジカルな思考と知識がいかに身についているかを問います。また、記憶力ではなく、思考力を求める答案様式となっています。
パソコンという道具はあまりに便利で、誰もが基礎なしで、いきなり応用から入ってもなんとかなる。アプリケーションさえおぼえれば、作品として形になったものをアウトプットできます。ですがひとたびそれをプロの仕事として担当し、制作しつづけることになると基礎を無視した技術のメッキはすぐにはがれてしまいます。CG制作の現場で、制作チームを率いるディレクターやプロデューサーが頭を悩ませるのは、実はこの点です。基本を知らず、アプリケーションのノウハウだけで「できた気」になっている若手、新人の指導は想像以上に難しいのだそうです。CGデザインにおいて、色の三原色や光を操るカメラワーク、演出などがカリキュラムに盛り込まれているのはそのためです。
検定の難易度としては、ベーシックは「業界で2~3年やっているなら、知っていて当然だね」というレベルの設問です。検定用テキストをちゃんと読んでいればパスできるはず。エキスパートは、その上に数年の実務経験があって理解できる問題。難易度はかなり高くなります。後輩を指導する立場になったとき、感覚ではなく言葉で教えることの難しさを知り、もう一度自分の知識を整理したいという意図から受験される方もいらっしゃいます。

カリキュラム、教材、検定を持つ唯一の団体として

【インタビュー対象者】  財団法人画像情報教育振興協会  教育事業部 事業部長  佐々木元昭さん   CG-ARTS協会HP  http://www.cgarts.or.jp/

【インタビュー対象者】
財団法人画像情報教育振興協会
教育事業部 事業部長
佐々木元昭さん
CG-ARTS協会HP
http://www.cgarts.or.jp/

CGに関して、カリキュラム構築、教材開発、そして検定と一揃えのファクターを持ち合わせる唯一無二の団体がCG-ARTS協会。今後も、そのポテンシャルをフルに発揮し、CG業界の発展と繁栄を支えていくとのことだ。

【佐々木さんのお話】
協会、検定ともに、時代の要請に応える形で柔軟に変貌して今日にいたっています。デジタル画像分野に関する基本的なリテラシーを検定するマルチメディア検定は1995年に新設されたものですし、2005年後期には検定分野を3つから5つへと再編成し、今日のラインナップとなりました。このリニューアルにおいては、それまで以上に人材育成への思いを強く打ち出すことになったと感じています。人材供給のミッションが明らかになったと言ってもいいでしょう。1985年に「CGを担う人材を育てるために」との思いを真ん中に発足した当協会が、次のステップに踏み出したと言えます。
CG-ARTS協会は、この分野でカリキュラム構築、学習書開発、そして学んだ成果を試す検定までをいわゆる「一気通貫」で提供している唯一の団体であることに存在意義があると考えています。特に学習書は各分野の専門家の知を結集して、体系的に網羅した内容になっていますので、企業や学校から好評をいただいています。今後もその強みを生かし、画像情報分野での基礎能力の強化にフォーカスした教育支援を地道に実践し、基本に裏打ちされた優れた人材を世界に輩出しつづけたいと考えています。

CG-ARTS協会
CG検定概要
CGクリエイター検定活用分野映画、アニメーション、CM ゲーム、ミュージックビデオなど
想定職種ディジタルアーティスト、CGモデラ、CGアニメータ、CGデザイナー、ゲームクリエイター、グラフィックデザイナーなど
CGエンジニア検定活用分野アニメーション、映画、VR(バーチャルリアリティ)、MR(ミックスドリアリティ)など
想定職種CGプログラマ、ゲームプログラマ、ソフトウェアエンジニア、CADエンジニア、テクニカルディレクタなど
Webデザイナー検定活用分野Web制作、Web運用 インフォメーションアーキテクトなど
想定職種Webデザイナー、Webプロデューサ、Webディレクタ、Webプランナ、Webプログラマ、コーダ、広報、営業・販売など
画像処理エンジニア検定活用分野映像通信、コンピュータ周辺機器、ロボットビジョン、製品検査、医療応用、印刷など
想定職種エンジニア、プログラマ、開発・研究者など
マルチメディア検定活用分野IT関連、コンテンツ制作関連、ビジネス全般など
想定職種すべてのビジネスパーソンに、これから社会人になる学生の方、日常業務でPCやインターネットを利用する方 IT分野に携わる方など

取材/2011年4月25日

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