映画「eatrip」のプロモーションがキッカケ 「ごはん」をキーワードにした映画祭コンセプトが好評！

「ごはん映画祭」は今回で5回目の開催となりますね。

「ごはん」をキーワードにして集めた映画の映画館上映を中心に、ごはんつき上映会や映画に登場するごはんを実際に食べられるフードコートなど、映画とごはんで“おいしい時間”を過ごせる映画祭として企画を進めています。第1回は恵比寿ガーデンプレイスが会場でしたが、3回からは表参道や青山で開催しています。

「ごはん映画祭」をスタートするキッカケは？

2009年に食の原点をたどるドキュメンタリー映画『eatrip（イートリップ）』が公開されたことがキッカケです。この映画のプロモーションのため、恵比寿ガーデンプレイスでフードカルチャーをテーマにしたイベントを開催しました。野点をしたり、トークショーをしたり、様々な企画があったのですが、映画とリアルなごはんを結びつけるコンセプトは1年で終わらせるのはもったいない、ぜひ今後も続けたいと考え、翌年の2010年から「ごはん映画祭」としてスタートしました。

第1回を開催した反応は？

第1回は「eatrip」を中心に、「ごはん」をキーワードに様々な映画を集め、当時の恵比寿ガーデンシネマで上映しました。「ごはん」を中心にした映画祭は珍しく、「こんな映画の楽しみ方もあるんだ！」と好評で、新しい映画の視点を提案できたと思います。 3回までは映画上映が主でしたが、昨年からはリアルにごはんを食べながら映画を見たり、映画に登場するごはんを食べる企画にも力を入れています。

世界中の食が集まる街「東京」 シェフのクリエイティビティを自由に発揮！

リアルなごはんにも重きを置くようになったのは？

東京は世界中の食が集まり、20～30代の若手を中心に新たなフードカルチャーが次々と生まれている刺激的な街です。そんな東京ならではの食文化を発信していきたい、という思いがありました。

前回の第4回からレストランなどでごはんを食べながら映画を見る食事付き上映会が増えていますが、レストランやシェフなどはどのように選んでいるのでしょうか？

1件1件、私からお声掛けをさせていただいています。 例えば、「エル・ブリの秘密　世界一予約の取れないレストラン」のごはん付き上映会では、エル・ブリ氏自身がオリジナリティあふれる料理を作るシェフですから、シェフやレストランという括りを飛び越え、ゲリラレストランなどアーティストとして活動している「food creation」に依頼をしました。

また、映画としてとても人気が高い「バグダッド・カフェ」の上映会では、コーヒー専門店の「パトラーズコーヒー」が映画に合うコーヒー豆を提案し、そのコーヒーに合うオリジナルパンをユヌクレが焼き上げる贅沢なごはんとなりました。お客様はコーヒーの香り漂う会場に入った瞬間に「バグダッド・カフェ」の世界観に包まれ、映画館では味わうことのできない体験をしていただけたと思います。

ごはん付き上映会は、映画が先に決まるのですか？ それともレストランやシェフを先に決めるのですか？

どちらのアプローチもありますよ。「エル・ブリの秘密」や「バグダッド・カフェ」は映画が先に決まり、その映画のイメージに合う方にお声掛けしました。決まったレストランやシェフの方には、「映画を見て自由に作って、お客様を楽しませてください」というだけで、その後は口を出しません。料理をつくる人はクリエイターですから、楽しみながら自由に発想し、クリエイティビティを発揮してくださっています。

レストランやシェフなど、料理をつくる人が先に決まる場合は？

レストランで上映会を開催する場合は、基本的にはシェフが映画を選びます。「1年かけて映画を見て決めなくちゃね！」と嬉しくもあり、悩ましくもあり、その過程を楽しんでくれています。もちろん、私はプロデューサーとして相談に乗りますが、シェフやオーナーは悩みつつも決めてくださっています。

映画館ではなく、レストランなどの会場で映画を見る醍醐味とは？

上映する映画のコンセプトに合う会場や料理となっているので、雰囲気や空気感を楽しむことができます。「ごはん付き」なので、映画を見ている最中に料理を作る音がしたり、おいしそうな香りに包まれますので、、その臨場感も映画と一緒に味わってもらえればと思います。

美食の街・バスクの「サン・セバスチャン国際映画祭」と提携 1987年の公開以来となる「バベットの晩餐会」も上映！

「映画祭」として、今回の見どころは？

今回から、バスク地方で開かれる「サン・セバスチャン国際映画祭」と提携しました。バスクは美食の街として有名で、この映画祭の“美食部門”である「キュリナリー・シネマ部門」最優秀作品を日本で公開します。しかも、最優秀作品発表から1週間で公開なんですよ。何が受賞するかわからないので、決定したら大急ぎで翻訳して字幕を付けて…実はヒヤヒヤしています（笑）。

「サン・セバスチャン国際映画祭」での受賞作品のごはん付き上映会もありますね。

何が受賞するかわからないのですが、今回はバスク地方を知ってほしいと思い、モダンスパニッシュの名店「ZURRIORA（スリオラ）」で開催します。「ZURRIORA」の店名はサン・セバスチャンの海岸から取っていて、バスクで修行経験のある本多シェフが腕を振るいます。

他に見どころは？

1987年に日本公開されて以来、日本で見るチャンスのなかった「バベットの晩餐会」を上映します。毎回来場者の方にアンケートを取るのですが、上映してほしい映画は？との質問は、ダントツで「バベットの晩餐会」が挙がっていました。ようやく上映できることになったので、ぜひ足を運んでほしいです。映画は1回券は1,300円（一般）ですが、半券があればリピーター割引で1,000円で見ることができるので、ぜひこの機会にたくさんの「おいしい映画」を見てください。

お腹がすく映画祭になりそうですね（笑）

ぜひ映画を見て、お腹をすかせてほしいです（笑）。 上映会場の近辺にはおいしいお店がたくさんありますから、食事の予定を立てて見に来ることをオススメします。映画を見てお腹がすけば、その後の食事が楽しくなります。話題にも事欠かない、記念に残る食事になりますよね。一生でできる食事の回数には限りがあり、その1回1回を楽しいものにすることで、毎日の暮らしが充実したものになると私は考えています。 この映画祭が皆さんの暮らしが楽しく、充実する手助けになればと思っています。

2015年9月には大阪で開催！ おいしい映画とごはんでクリエイティビティの刺激を！

今後の「ごはん映画祭」の展開は？

2015年9月には大阪で開催します。また、ぜび東京や大阪以外の地方でもやりたいですね。地方で頑張っている料理人の方はたくさんいますし、地方に行けば「食材」の視点も取り入れることができます。映画と食を絡めた可能性は、まだまだあると思っています。

クリエイターにとっても刺激となる映画祭になりそうですね。

おいしいものを食べると発見があり、発想が広がりますし、楽しい食事はリフレッシュになり、刺激になります。 ぜひ「ごはん映画祭」で映画を見て、おいしいものを食べて、クリエイティビティを高めてください！

取材日：2014年9月17日 ライター：植松