WEB・モバイル2014.11.12

行動情報が価値を生む未来に向けて…大ヒットライフログアプリ「SilentLog」

Vol.111
レイ・フロンティア株式会社 取締役 デザイナー 澤田典宏さん、田中宏幸さん
iPhoneを持ち歩いているだけで、交通手段や経路、歩数などを自動で記録。撮影した写真とともに時間軸に沿ってまとめてくれるライフログアプリ「SilentLog(サイレントログ)」が話題です。シンプルでオシャレなインターフェースも評価が高く、10月10日のリリースからわずか4日間で10,000ダウンロードを記録しました。今回は、このアプリの開発元であるレイ・フロンティア株式会社を訪問!活気あふれる開発現場で、澤田典宏取締役と、デザイナーの田中宏幸さんに開発秘話や今後の展望などについてお聞きしました!

現実の行動情報が価値を生む時代が来る 先を見据えてアプリを開発

SilentLog“すばらしい日々をログしよう”

SilentLog
“すばらしい日々をログしよう”

リリース直後に10,000ダウンロード達成とは、すごい反響ですね!

澤田さん:AppStoreのベスト新着Appに掲載してもらったので、一気にダウンロードされました。Apple社に高い評価をしてもらったのがうれしいですね。

「SilentLog」を開発することになった経緯は?

澤田さん:弊社はAR(拡張現実)技術をコアにした事業を展開してきました。具体的には、GPSを使ってスマートフォンの持ち主の位置を特定し、それに合わせた情報をスマートフォン上に表示する仕組みです。この仕組みに使う位置情報や移動情報を取得する技術が今後は価値を生むと考え、それを見据えてアプリを開発しました。

移動情報が価値を生むとは?

澤田さん:Web上での移動情報は既に価値を生んでいます。例えば、サッカーが好きで、情報サイトやサッカー用品のショッピングサイトを見ていると、サッカーに関する広告が表示されるようになりますよね。どんなサイトを見ているか、Web上の行動履歴を取得して広告を出しているように、リアルな行動履歴に対し、広告を表示する時代が来るはずです。その時代に備え、リアルな行動履歴を取得できるアプリを開発しようと考えました。

行動情報が見られてしまうというのは、ちょっと怖いですね。

澤田さん:「SilentLog」では、個人情報は一切取得していませんし、所有しているスマートフォンの中だけで完結するログですので、ご安心ください!「SilentLog」の開発を通じて、行動情報を「ログ」として残す技術を高めていく狙いで開発しています。

シンプルでスタイリッシュなデザイン 通知も来ない静かなアプリ「SilentLog」

ARの自社技術を使ったアプリを開発する際、「SilentLog」のようなライフログアプリは最初から想定していたのでしょうか?

澤田さん:行動情報をデータとしてプロットし可視化していくならば、ライフログアプリが良いだろうと最初から想定していました。ただ、他にもライフログアプリは多くあるので、差別化するために写真に重きを置き、さらにデザインをシンプルにカッコ良くすることに力を注ぎました。

写真に重きを置いたのは?

澤田さん:移動経路に写真が一緒に残ると、より行動が直感的に想起しやすいと考えました。

田中さん:写真に重点を置いているアプリなので、デフォルトで表示される写真にもこだわっています。使っていて楽しく、オシャレな気分になるように。

澤田さん:また、Notification(通知)機能は付けていません。アプリを使っていて次々と通知が来ると面倒だし…、要するに自分が嫌いなので付けなかったのですが(笑)。立ち上げなくても自然とログを残すことができる、通知も来ない静かなアプリであることから「SilentLog」と名付けました。

ルーティンな毎日でも変化が見える 旅行や街歩きも楽しくなる!

koudou

行動は「歩く」「乗り物」「滞在」の3つに集約されていますね。

澤田さん:もっと細かく設定することもできましたが、精度を高めるためにあえて3つに集約しました。速度を読み取って相対的に「歩いている」か、「乗り物に乗っている」か、「ずっとそこにいる(滞在)」か、判断しています。

どんな風に使ってもらいたいですか?

田中さん:仕事が外回りだったり、あちこち出かけている人はもちろんですが、ルーティンな日々を送っている人も楽しめますよ。いつもと違うルートで行ってみようと考えたり、効率を追求したり、体調によって歩数や時間が変わったり、代わり映えしないと思っていた日々にも違いが見えて、楽しくなって来ると思います。

澤田さん:営業マンの人から「営業日報を書くのが楽になった」と言われたんです。細かくメモをしたり必死に思い出したりしなくても、ログを見ればどこで何をしていたのかわかりますからね。旅行の時も、写真と一緒に移動経路が残るので記念になります。街歩きの時も、おいしいお店を思い出すのが楽になりますよ!

ユーザーレビューを聞きながらバージョンアップ シンプルなプラットフォームで新たなビジネスの種に!

今後は、どのようにバージョンアップしていく予定ですか?

澤田さん:ユーザーレビューを聞きながら、改善していきます。「電池の消耗が早くなる」との声をいただいたので、次のバージョンでは50~80%程度まで消費電力を削減しています。また、行動ログの精度も向上させていきます。今後の課題としては、先ほど「個人情報は一切取得していないし、所有しているスマートフォンの中だけで完結する」とお話ししましたが、その代わり機種交換をすると、ログを引き継げないんですよ。長く使ってくれる人が増えると、たまったログをどこかに吐き出して保存したい、機種交換しても残したい、という要望が出てくると思うので、対応を考えていきたいです。

ビジネスとしてはどのように考えているのでしょうか?例えば、ゆくゆくは課金機能を付けるなどの構想はありますか?

澤田さん:「SilentLog」単体でビジネスとして成立させようとは思っていません。リアルの行動情報が価値を生む時代を見据え、シンプルなプラットフォームとなるアプリだと思うので、カスタマイズしてクライアントワークにつなげたり、新たなアプリ開発の礎としたり、別のビジネスの種にできればと思っています。このアプリをリリースしてから、「こんな風にカスタマイズできないか」という問い合わせもいただいているので、広告塔の役割も果たしてくれていると言えますね。

田中宏幸氏

レイ・フロンティア株式会社
UI/UXデザイナー
田中宏幸氏

澤田典宏氏

レイ・フロンティア株式会社
取締役CCO
澤田典宏氏

今後のビジネスの広がりが楽しみですね!最後に、若いクリエイターにメッセージをお願いします。

澤田さん:実は以前はゲームの開発をしていたのですが、デバイスが違っても基本的な考え方は同じです。どのように遊んでもらうか設計して、想定通りに遊んでもらえるとうれしいし、想定を越えて遊んでもらえると、もっとうれしい。昔は会社に所属していないと難しかったですが、今はアプリとして市場に出しやすいので、自分が欲しいものを作ることから始めると良いのではないでしょうか。最終的には感性の勝負になりますが、今のトレンドは知っておかないと独りよがりのものになってしまうので、最低限の勉強はしておいた方が良いと思います。

取材日:2013年10月29日 ライター:植松

SilentLog(サイレントログ)

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サイレントログは自動行動記録アプリです。 あなたはiPhoneを持って歩くだけ。 あなたの移動手段、経路、歩数、そして写真を自動で記録します。 わずらわしいノーティフィケーションは一切ありません。 静かに、そして寡黙に記録を取り続けるシンプルなアプリです。 ●公式サイト http://silentlog.com/ja/ ●iTunes App Store(iPhone5s/6/6Plus対応) https://itunes.apple.com/app/silentlog/id901679160 ●レイ・フロンティア株式会社 http://www.rei-frontier.jp/

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