企業の課題をアニメで解決?!「ビジネスアニメ」が拓くアニメの新たな可能性
- Vol.113
- 株式会社CMサイトシニアマーケティングプランナー 松原真朋呂さん
ビジネスシーンにおける様々な課題は 突き詰めるとコミュニケーションの課題に集約される
「ビジネスアニメ」のサイトをオープンされた経緯は?
それまで、アニメCMを制作して会員向けに配信する事業を行っていたのですが、クライアントの皆さまからアニメ自体のクオリティーや効果に非常に高い評価をいただき、「配信用途以外にも動画を作って欲しい」と言う要望をいただくようになったのがきっかけです。 昨年は、動画元年と言われ、Web上での動画広告であったり、動画におけるコンテンツマーケティングが非常に盛り上がって来ています。そうした背景でアニメ動画がWeb上でどのように機能するのか、メリット、デメリットを含めて知識を持っていただけるような啓蒙を行っていこうと立ち上げました。
「ビジネスアニメ」とは?
ビジネスには「モノが売れない」「ヒトが集まらない」「ファンが少ない」といった色々な課題がありますよね。これらの課題は突き詰めると、コミュニケーション課題なんですよ。 「モノが売れない」のは「魅力がしっかり伝わっていない」から。 「いい人が入ってこない」のは、「自社の魅力や仕事内容が伝わっていない」から。 このようなコミュニケーション課題と言うのはコミュニケーション手法を工夫することで解決できるんです。<文字>だけよりも<文字+画像>の方がいいし、<文字+画像>よりも<動画>の方がやっぱり伝わります。さらに動画の中でも<アニメ>は万人に見てもらいやすいと言う利点があります。 このようなアニメの利点を活用して、ビジネスシーンにおける様々な課題を解決するのが、ビジネスアニメなのです。
なぜ、アニメ動画が様々なプロモーションに効果があるのでしょうか?
日本のアニメは「ジャパニメーション」として海外でも広く認知されています。日本人とアニメの親和性は非常に高い。実は、50代より若い日本人は生まれたときからアニメがあり、アニメを楽しんで育ってきたので「アニメ=楽しいエンターティメント」と言う図式がマインドに確立されているんです。ですから、アニメはまず見てもらえるというメリットがあります。 そのアニメのストーリーの中で、ユーザーに共感する内容であったり、ユーザーが抱えているであろう悩みの解決策として、広告商品が出てくれば、いきなり商品を告知するよりも、はるかに受け入れられやすくなります。 なので、ネット広告とアニメは親和性が高い。単純にアニメを作りましょうではなく、ビジネスの課題を解決する手法としてアニメが適しているんですよ。
確かにアニメは日本独特の文化で親しまれていますね。 それをビジネス課題に結び付けるメリットは他にもあるのでしょうか?
例えば健康食品や化粧品の場合、薬事法などで「これを飲んだら元気になります!」と、広告ではうたえない場合もありますよね。 それがアニメだと、ガッツポーズの人物の背景に“バーン!"と言ったビジュアルや燃え上がる炎を配置する、といった演出で表現することができるんです。 また、食品のおいしさを伝えるときは、シズル感は写真で見せて、それを食べたリアクションをアニメで過度な演出をしたりします。「オーバーだな」と頭で分かっていても、おいしさは伝わりやすいですよね。 また、「ナノレベルのイオンが酵素に…」と言った技術的に難しいことも文章で説明されるより、アニメならそのメカニズムもわかりやすくなります。
なるほど。アニメならではの演出で、表現力に幅ができるわけですね。
そうです。しかも、Web上ではいろんなデータが取れるので、離脱率やリアクション率をしっかり見た上で、より伝わる課題解決に適したアニメにさらに改善していく、といった形でPDCAサイクルを回すことができます。 これは実写ではなかなか難しいですよね。アニメであれば少し差し替えることが容易にできるのでコストパフォーマンスの向上にもつながります。
他社と一線を画す絵コンテと構成のクオリティー 月100本のアニメ動画制作はスピード感が売り
では、具体的にどのようにアニメ動画は制作されるのですか?
営業と制作が担当して、クライアントが抱えている課題をヒアリングし、どのように動画で解決できるのかを企画提案させていただきます。 実際にクライアントに動画の構成を確認いただく際には、かなり作りこんだ絵コンテを提示しています。よくある棒人間のカット割りではなく、絵コンテライターがきちんとイラストを描いているんですよ。 (実際の絵コンテを見せていただく)
本当ですね。キャラクターも構成もわかりやすい。
この絵コンテを下絵にしてFlashクリエイターがアニメに描き起こしていきます。「棒人間がこういうアニメになります」と言っても、完成版をイメージしにくいのですが、この絵コンテならキャラクター設定も構成もクライアントに伝わります。
クライアントのプロモーション方針やブランディングによって、キャラクター設定やタッチは変わりますよね?
そうです。同じメッセージを伝えるのにタッチが違うだけで、効果に違いが出てきます。 クライアントのご要望をお聞きする場合もありますが、12000本の制作実績の中で、業種や商品ジャンルによる成否の傾向がほぼわかっているんですね。なので、こういう課題であればこういうタッチ&こういう構成がより効果が出やすいと提案できる。このノウハウが弊社の強みでもあります。
アニメの制作期間はどれくらいでしょうか?
1分の動画であれば1か月ほどで制作できる能力はあるのですが、クライアントの多くはアニメ動画の制作は初めてなので、その場合はヒアリングから提案を含めて1か月半から2か月くらいの期間をいただいています。
クライアントからの実際の反応はいかがですか?
おかげさまで高く評価していただいています。特に、お褒めの言葉をいただくポイントが3か所あるんですよ。 まずは<絵コンテと構成のクオリティー>ですね。 「あっ、確かにこれなら効果が出そうだね!」と。課題解決のためのストーリーにきっちり落とし込めている、アクションにつながりそうだと初版の段階で言っていただけることが多いです。 次に<制作期間とクオリティー>です。 動画が完成した段階で、「この期間でこれだけのクオリティーのモノが仕上がるの?」「音や声が入るとやっぱり違うね!」と驚かれます。実は、アニメ動画で意外に大切なのがナレーションなんです。「声」に関してはキャスティングすればするほどコストが上がってしまうのですが、弊社には専属のナレーターがいるのでコストを抑えて短期間で制作できるのです。 そして納品後、<運用の成果>にお褒めの言葉をいただきます。 「効果があった」と言っていただけるのが何よりもうれしいですね。
マニュアル本よりも、マニュアルアニメ 教育ツールとしてもアニメ動画は抜群の効果を発揮する
商品のプロモーションや企業の採用などの他に活用事例はありますか?
最近制作が完了し、今まさに活用していただいているのが、販売店さんのスタッフを教育するためのアニメ動画です。この販売店さんでは、販売員が若い女性中心で採用スパンも短いので、全国の各店舗でその都度コーチングするのは時間もコストもかかってしまう…という課題がありました。それを改善するためにビジネスアニメを導入いただいたわけです。 実際、アニメであれば年配の男性がレクチャーするよりスムーズに見てくれますし、ストーリーに商品の説明やセールストークのロープレが盛り込まれているので実践的です。さらに成約となった場合の手続きや機器のオペレーションまでもひとつのストーリーに内包した形になっています。
マニュアル本ではなくマニュアルアニメですね?
まさにそのとおりです。コーチングレクチャーアニメですが、これはたいへん有効にご活用いただいています。
ところで、ビジネスアニメに連載中のコラム「動画のツボ」は勉強にもなりますし、ツボにはまりますね。更新を楽しみにしています。
ありがとうございます。私は主に「アニメ動画の効果や活用方法」といったマジメ担当ですが、ディレクターが持ち回りでアップしている「制作現場あるある」は、クリエイターや広告関係の方には、結構共感いただけるかと思います。
※「ビジネスアニメ」は株式会社CMサイトの登録商標です。
取材日:2014年12月25日 ライター:フルキノリコ