技術者集団トップゲートに聞く、Google技術でできること。
- Vol.116
- 株式会社トップゲート ソリューション事業本部 マーケティング事業部 山下さん、安永さん
「Googleに特化した技術者集団」 “Googleのプロ"としてプログラマーをトレーニング!
株式会社トップゲートの設立は?
安永さん:2006年に、もともとエンジニアだった代表の加藤昌樹が立ち上げました。その後、Google技術における日本のトップエキスパートである小川信一(現在、CTO〔最高技術責任者〕)が入社し、彼をリスペクトしている若い技術者が次々と入社してきて、「Googleに特化した技術者集団」を名乗ることができるだけの人材が集まりました。トップゲートは、「Google Cloud Platform」のトレーニングを正式に提供できる日本で唯一の会社です。
「Google Cloud Platform」とは?
安永さん:Googleが提供している開発者向けクラウドコンピューティングサービスです。つまり、プログラミングのプロ向けに、Googleのプラットフォームをクラウドで解放しているサービスです。プログラマーが使いこなして開発を行うためのトレーニングを、トップゲートでは提供しています。
なるほど!Googleを使ったサービスを開発するためのトレーニングを、Googleのプロであるトップゲートが提供している、ということですね!
安永さん:そうですね。ですので、私たちが開発したAndroidアプリや、Googleのプラットフォームを使ったシステム開発は、やはりひと味違うと思っていただけると幸いです(笑)。
Androidはオープンでリリースが簡単なのが魅力 評価が早ければ、より早くより良いものに!
わかりました(笑)。山下さんは、主にAndroidを中心に開発をされているとのことですが、トップゲートに入社したキッカケは?
山下さん:もともとゲームの開発会社にいたのですが、2009年にAndroid端末が発売されたらすぐ買って、遊んでいるうちに面白くなってきて、個人的にアプリを開発していました。もっと深くやりたいな、と思っていた頃に、すでにトップゲートの社員になっていた知人から紹介されて入社しました。
どのあたりがAndroidの魅力でしょうか?
山下さん:やはり、開発の自由度が高いところですね。iOSの場合、リリースまでのステップが煩雑だとよく言われますが、Androidはオープンな文化なのでリリースが簡単で、そのぶんスピーディーにたくさんの人に評価してもらえます。早く多くの人に見てもらえるということは、システムやアプリをより良いものにしていく助言を早くもらえていることになりますから、面白いですね。また、基本的にそんなに難しくないので、アイデア次第で勝負できるところも魅力です。
Androidの普及とともに、わかりやすさが重要に 高度化しすぎないことが開発のポイント
Androidの開発を始めた頃と、今の違いは?
山下さん:リリースするのが難しくなりましたね。以前は、とりあえずできたらリリースしてしまってましたが、今は完成度を高めないとリリースできません。
それは、ユーザーが慣れてアプリを見る目が肥えてきたからですか?
山下さん:それもありますが、どちらかと言えば逆で、デジタル慣れしていないリテラシーの低い人が多くなったのが理由ですね。PCを操作できない高齢の方や、PCを持っていない若い人もスマートフォンを買う時代になりました。以前よりトガった端末も減って普遍的なデバイスになり、ユーザーも多様化してきたので、「わからない」と言われることが多くなりました。
現在のAndroidアプリに求められていることは?
山下さん:機能的には、難しくしすぎない、高度化しすぎないことです。よく言われるのですが、十徳ナイフにそれ以上の機能を付けても誰も使わない、ということ。やればやるほど高機能化できますが、それは開発者の自己満足ですから。また、リテラシーの低い人が増えてきただけに、インターフェースデザインも重要ですね。グラフィカルに、わかりやすくすることが求められています。あと、Androidならではですが、標準ボタンが黒白でダサいので(笑)、しっかりデザインしないとダメですね。
インターフェースデザインについて、他に思うことは?
山下さん:機能面では競合するアプリも多いので、デザインをプラスすることで、ユーザーの評価も変わってきます。スマホのデザインは右下や右上にメニューのプルダウンボタンがあることが多いのですが、これもない方がいいですよね。ユーザビリティをわかりやすくするならば、極論はボタンをなくしてユーザーの選択肢を減らすのが一番だと思います。それは無理なことが多いので(笑)、できるだけその極論に近づけるインターフェースを目指します。
Google Glassで野菜の収穫タイミングがわかる!? アイデア次第で可能性は無限大
最近作ったアプリで、印象的だったのは?
山下さん:Googleのイベント用の技術デモアプリですが、かなり細かい単位での位置情報が取得できる技術を使って、ブース内のスタッフの位置がわかるアプリを作りました。例えば、イベント登壇者に質問したい時、その登壇者がどこにいるのかわかるので、すぐに見つけることができます。
もうひとつは、これも技術デモアプリですが、Google Glassを使って野菜を見ると、その成熟度をカメラで判定し、収穫のタイミングがわかるアプリです。これがあれば、目利きの農家でなくても、誰でも収穫ができるんですよ。
Googleの新しい技術やツールを使うと、本当にいろいろなことができるようになるんですね!他に、山下さんが個人的に面白いと思っているGoogleの技術はありますか?
山下さん:僕はスポーツが好きなんですよ。運動量管理ができるGoogle Fitが発表された時「これを使って何ができるかな?」と考えて、ロードバイクのアプリを作りました。ロードバイクにセンサーを付けて距離や時間などを計測し、心拍計を付けて心拍数を計ってアプリと連動させています。このアプリはそんなに難しいプログラムを使っているわけではないのですが、作っていて本当に楽しいし、ロードバイクで走るのもより楽しくなりました(笑)。
新しい発表があれば「これで何ができるかな?」と考えることが大切 この分野はアーリーアダプターになってこそ!
新しいGoogle技術やツールが発表された時「これを使って何ができるかな?」と考えるのは、プログラマーはもちろん、デザイナーなど他のクリエイターにとっても大切なトレーニングとなりますね。Googleの動向はどこをチェックすればいいでしょうか?
山下さん:GoogleのAndroid開発者向けサイトは、やはり情報の宝庫ですね。英語版なので、なかなか全部読むのは難しいと思うので、Google Servicesの「overview (概要)」(http://developer.android.com/google/index.html)をチェックすれば十分だと思います。
安永さん:Androidのデザインの「あり方」も発表されていましたね。(http://developer.android.com/design/index.html)
山下さん:デザイナーを統括しているかのような視点はすごいですよね(笑)。
ですが、やはり統括しているだけに(笑)、Googleのサイトはさすがに読みやすく、デザインも洗練されているので、最新情報チェックはもちろん、参考になる点が多いので、クリエイターはこまめにチェックすべきですね。
安永さん:Googleのイベントにも注目ですね。5月下旬(28日、29日)にGoogleはI/0カンファレンスを開くので、ここで大きな発表があるかもしれません。
Googleの最新情報を得たら、どう動くべきでしょうか?
山下さん:まず、ワクワクして、何ができるかを考えればいいと思います。アイデア重視で、難しくなくていいんです。毎日の暮らしや仕事に役立つツールはもちろん、僕のロードバイクアプリのように個人的に使って楽しいもの、ただ単純に究極にバカバカしいものでも良いと思います。この分野はアーリーアダプターになってこそなので、考え甲斐がありますよ。
今後の展開が楽しみですね!ますます可能性が広がるGoogle技術やトップゲートに興味を持っている人も多くいると思います。
安永さん:2014年10月から、「Google Cloud Platform」のトレーニングを正式に提供し始めたのに合わせて、技術者同士の横のつながりを作りたいと、コワーキングスペース「Studio Geeks」をオープンしました。トップゲートの社員や取引のある技術者も利用していますし、セミナーやイベントも行っています。また、IT系のイベントにも定期的に出展していますので、ぜひサイトをチェックして、興味のある方は遊びにきてください!
取材日:2015年4月3日 ライター:植松