恋愛映画でアジアに感動を! 架け橋になるような映画を手がけたい
- Vol.135
- 株式会社アジアピクチャーズエンタテインメント 上野 由洋さん
周囲の反対を押し切って起業! 映画ビジネスを伝える資料を作り、出資者を募る。
上野さんがアジアピクチャーズエンタテインメントを立ち上げた経緯は?
もともとはテレビ局で報道記者をしていました。その後、営業部に異動し、フリーの映画プロデューサーや監督と知り合う機会があり、記者経験があるので、わかりやすく情報を伝えることは得意でしたので、彼らに頼まれて映画の説明資料を作ったりしていました。 手伝っているうちに、彼らには、作りたいテーマや想い、制作の人脈はあるもののビジネスモデルを作ることが苦手な人が多いことに気づいたんです。映画をビジネスとして成立させる役割が求められていると思い、それを自分がやろうとアジアピクチャーズエンタテインメントを設立しました。
もともと事業家志向があったのでしょうか?
小さいころからマジックが趣味で、人を喜ばせたり驚かせたりすることが好きだったので、人を楽しませるエンタメには興味がありました。また、父は自営業でしたから、自分で商売する父をずっと見てきましたし、DNAとしての事業家志向はあったのかもしれません。一方、バブルが弾けて父の事業がうまくいかない時期があったせいか、母は「安定したサラリーマンが1番」と私に教え込んでいたので、自分でもそう思い込んでいた時期が長くありました。 ですが、テレビ局で仕事をするなかで、映画関係者と知り合い、業界を研究しているうちに、古い業界である映画界を変えていくことは、難しいことだけど、難しいからこそ面白いのではないか?難しいチャレンジだからこそやってみたい!という気持ちが抑えられなくなりました。
周囲からは反対されたのではないですか。
親はもちろん、同僚も友だちも、100人いたら100人に反対されました(笑)。映画業界は古い業界で、ベテランの人がたくさんいます。「そんな業界に全くの素人が外部から飛び込んで、何ができる?」と言われました。全くその通りで、だからこそ難しいチャレンジで、だからこそワクワクしたんですよね。
真っ白な状態で映画業界に入って、どのように映画を作っていったのでしょうか?
最初は、知り合いの「縁」からです。例えば昨年制作した『風の色』(2016年公開予定)は、昔から知り合いだったプロデューサーが、『猟奇的な彼女』で知られる韓国の映画監督クァク・ジェヨンの日本代理人で、監督が長い間温めていた構想を聞いて、ぜひ映画化したいと思い、ロケ地の手配など、徐々に映画化のための素材を集めていきました。 また一方で、制作のためにはお金が必要ですから、出資者を募らなくてはなりません。映画業界に関わりの深い企業にはネットワークがありませんでしたので、知り合いのツテを辿って、映画とは縁遠い企業を回り協賛を募りました。ですから、まずは映画業界について、業界の構図や現状、収益構造などを説明した資料を作って説明しました。自分自身が素人であったこともあり、業界では常識と思われることもすべて資料化したので、全部で約300枚の膨大な資料になりました。「ここまで詳しく、わかりやすく映画業界を説明している資料は見たことがない」と、出資を決めていただいたときは、本当に嬉しかったです。
文化は違っても通じる、普遍的なテーマはラブストーリー。 アジアを見据えた座組みで映画を制作。
「アジアピクチャーズエンタテインメント」と社名にあるように、アジア市場をターゲットとして見据えている理由は?
まず、マーケットを日本だけでなく、もっと広く取れば、それだけでビジネスチャンスが広がります。また、中国を始めとして、アジアは経済発展がすさまじく、頑張ればリターンがあるので、エネルギーにあふれ、エンタメ市場も広がっています。みんなが幸せそうに頑張っているアジアが好きなんですよ。好きな人たちと一緒に仕事をしたいですし、そんな人達に映画というエンターテインメントを届けたい。その想いから、日本だけではなく、アジアで通用するかどうかを重要視しています。 映画には、どうしてもその国の文化が反映されるので、国が違うと理解されない部分が出てきますが、できるだけ普遍的なものを作りたいです。その意味で、今は恋愛映画に絞って手がけています。文化は違えど、恋する気持ちは万国共通ですから。
例えば、先程の『風の色』は、なぜアジアでも通用すると思われたのでしょうか?
クァク・ジェヨン監督は、韓国だけでなくアジアで大ヒットした映画を何本も制作している名監督です。また、舞台である北海道は、アジアからの旅行客に大人気の観光地でもあります。主演の古川雄輝さんは、元ミスター慶応でバイリンガルの俳優ですが、主演したドラマ『イタズラなKiss』が中国でも放送され人気が沸騰し、中国版ツイッターで当時140万人のフォロワーがいるほど中国で、認知度が高かったんです。この映画は、韓国、中国、そして日本をマーケットとしています。
アジアでも大人気!『イタズラなKiss』初の映画化。 国境も時代も越えた強力なコンテンツで勝負。
大人気漫画『イタズラなKiss』初の映画化も手がけていらっしゃいますね。
映画『イタズラなKiss』はシリーズ化を考えていす。第1弾として「ハイスクール編」がもうすぐ公開(2016年11月25日ロードショー)されます。『イタズラなKiss』は、1990年代に発表された少女漫画ですが、日本だけでなく中国、韓国、タイ、台湾でドラマが放送され、特に台湾では放送された年のテレビドラマの年間最高視聴率を記録したほどアジアで人気があります。初めてこのお話が来たときには、まだ立ち上げて2年目のベンチャー企業が手がけて良いのかと、ちょっと緊張してしまったほど、国境も時代も越えた強力なコンテンツです。
ファンにとっては、まさに待望の映画化ですよね。
統括プロデューサーを務めてくれた竹村友里さんが長年、温め続けていた企画で、先に『風の色』を撮っていたので、「韓国の有名監督を担ぎ出した面白いベンチャー企業がある」との噂を聞きつけ、話を持ってきてくれました。『イタズラなKiss』というコンテンツはすでにアジアに広く知れ渡り、十分に通用するもので、アジアをターゲットとした映画を作ることをミッションとしている弊社としては、本当に恵まれた縁でした。 今回の監督は、アニメやドラマのすべてに企画プロデューサーや脚本の監修として参加し、『イタズラなKiss』ブランドを守ってきた溝口稔さんが、満を持してメガホンを握っています。『イタズラなKiss』ファンにはたまらない映画に仕上がったと自負しています。
アジア展開に向けたプロデュース業務も視野に。 アジアの架け橋になるような映画を手がけたい。
メジャーコンテンツである『イタズラなKiss』の映画化を手掛けたことによって、さらにビジネスが広がっているのでは?
確かに、大きな実績として、知名度や信頼度は高まりました。「作った映画を中国やアジアに持っていきたいけれど、どうすればいいか」「アジアに通用する映画を作るには、何が必要か」など、映画のアジア展開に関する相談も増えました。今後は制作や出資にこだわらず、アジア展開に向けたコンサルティングやプロデュース業も手がけていきたいと思います。
ますます、今後が楽しみですね!
来年(2017年)公開予定の映画『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど』は、実在する台湾の女の子と日本の男の子のFacebook上で展開されたエピソードが元になったラブストーリーです。普遍的な恋する気持ちが詰まっていて、日本や台湾はもちろん、他のアジアの国での展開を考えています。 日本と韓国、中国の間で政治的にはいろいろありますが、韓流ブームが来てドラマ『冬のソナタ』でガラッと韓国と日本の距離感が変わったように、アジアの架け橋になるような映画をぜひ、手がけてみたいですね。
取材日:10月4日 ライター:植松織江
株式会社アジアピクチャーズエンタテインメント
- 代表者名: 代表取締役 上野由洋
- 設立年月: 2013年11月
- 事業内容: 映画製作&配給宣伝事業 スクール事業 関連付帯事業
- 所在地: 〒108-0023 東京都港区芝浦2-14-13 加瀬ビル161 4F
- URL: http://apie.jp
- お問い合わせ先:03-3452-2211(FAX:03-3452-2215)
佐藤寛太(劇団EXILE)、美沙玲奈、山口乃々華(E-girls)、 大倉士門、灯 敦生、石塚英彦、石田ひかり、陣内孝則
原作:多田かおる 監監督・脚本:溝口 稔 主題歌:Happiness「Always」(rhythm zone) 企画・制作:株式会社ミレ・ファクトリー 株式会社アジアピクチャーズエンタテインメント エグゼクティブ・プロデューサー:依田 巽、上野由洋 統括プロデューサー:竹村友里 プロデューサー:市川 篤、百武弘二 撮影:堂前徹之 照明:大坂章夫 録音:小原善哉 編集:金子尚樹 製作:「イタズラなKiss THE MOVIE」製作委員会 配給:ギャガ・プラス (C)「イタズラなKiss THE MOVIE」製作委員会 (C)多田かおる/ミナトプロ・エムズ 11月25日(金)全国ロードショー!
決して手の届かないあなたに、恋をした。 累計発行部数3500万部の人気少女漫画、世界待望の初の映画化。
高校3年生、万年落ちこぼれクラスのおばか女子高生・相原琴子は、入学式の時に一目惚れした超絶イケメンかつIQ200の天才・入江直樹へ想いを告白するも、こっぴどく玉砕してしまう。さらに、引越し先の新居が欠陥住宅だったことから、ガス管工事が原因で家が崩壊してしまい、踏んだり蹴ったりの琴子。ところが、琴子の父・相原重雄の親友宅に居候することになり、琴子の状況は一変。なんと、同居し始めた家の長男があの入江直樹だったのだ。2年間も片想いし続けた憧れの直樹と、同じ屋根の下で暮らすことになった琴子の恋の行方は?
くわしくは、『イタズラなKiss THE MOVIE』公式サイト(http://itakiss-movie.com)をご覧ください。