オリジナルブランドの展開で、利益を生み出すスポーツショップ経営を
石川県中部の都市・野々市市にある「IKESPO金沢」はユニークなスポーツショップです。全国的にも珍しい、オリジナルブランドを持ち、サッカーをはじめとするオリジナルユニフォームをオーダーメイド。金沢市近郊のベッドタウンにある一見普通のスポーツショップが、なぜ大手メーカーの商品販売にとどまらないのか。小さなお店で大きな利益を生む仕組みをどのように生み出しているのか。社長の池田達也(いけだ たつや)さんにお話を伺いました。
勤務店のクローズで立ち上げた、普通ではないスポーツショップ
「株式会社IKESPO金沢」立ち上げまでのお話を教えて下さい。
僕は小学生の頃からサッカーをしていまして、将来の夢は「1.プロサッカー選手、2.お笑い芸人、3.スポーツショップの店員」だったんです。小学生の時はやんちゃでしたが、中学に入るとほかの小学校からも人が集まり、知らない子たちと触れ合うことになって人見知りの性格が芽生え、お笑い芸人は諦めました。
そして高校生になるとサッカーの成績も伸びず、プロ選手も諦めました。それで、サッカー用品を購入したりとずっとお世話になっていたスポーツショップの金沢店に就職し、頑張って23歳で店長になりました。
ところが、本社の業績が悪くなり「来週で店を閉める」と急に言われたので、店を開けることができなくなってからは外に机を出して、お客さまへの説明を行いました。その時のお客さまは今もIKESPOを利用してくださっています。その人たちがいらっしゃったから、自分でショップをやろうと思えたんです。閉店の1年後に起業しました。
ホームページを拝見すると、サッカーのオリジナルユニフォームを作っていらっしゃいますが、スポーツ用品の小売店がどのような経緯でこの事業を始めたのか教えてください。
閉店の経験から「大手メーカーの商品を扱うだけのスポーツショップを普通にやっていても、大きな利益を出すのは難しい」と痛感していました。既存のブランド品をどれだけ取り揃えていても、仕入れ値は決まっている訳ですし、利益を出すためには売価を上げなければならないですね。でも他店より売価を高くしたら売れません。
それに、他店と競い合って安売りをしたり、「大型店にお客さんを取られた」と文句を言ったりも、したくなかった。自分がやるなら、ちゃんと利益の出るシステムを作り上げたいと考えたんです。それで、自社のオリジナルブランドを立ち上げることにしました。それがフルオーダーユニフォームのBRVS(ブラバス)というブランドです。「勇敢な」とか「猪突猛進」という意味を込めたブランド名です。
立ち上げ当初は、白い布を一反仕入れて、パソコンでデザインを作り、プリンターで印刷し、それをプレスして、縫製工場に出す、という作業を自分でやっていました。今ではシステムが完成し、スマホで簡単に注文でき、世界で1枚のオリジナルユニフォームを作ることができるブランドとして評価されています。
目標を決めたら人に話す。すると協力者が現れる。そして実現する。
BRVSでユニフォームを作りたいというお客さまはどれくらいいらっしゃいますか?
現在2000チームくらいでしょうか。大手メーカーに頼むより安くできますし、納期も早いですし、何より細かい希望に応えることができます。既存のブランド品を使うと、どこかのチームとデザインがかぶることもありますし、公式ユニフォームに使っていたデザインが廃版になってしまうこともあります。
BRVSならそういうことがありません。自分たちで最後まで作り上げ、納品後もちょっとしたお直しなどの相談にも乗ります。
そうやって、学校の部活動の先生やクラブチームの監督さんなどから信頼され、口コミでお客さまが増えました。サッカーが主ですが、陸上やテニスなど他のスポーツのユニフォームの注文もありますよ。
お話を聞いていますと、池田さんはアイデア豊富で経営のセンスもかなりのものとお見受けしますが、どこかで学ばれたのですか?
学校の勉強は大嫌いでしたね。でも、この仕事を始めてから、仲のいい社長さんにいろいろ教えてもらったり、セミナーに行って学んだりはしています。ただ勉強していても、何のためにしているのか、結局何をしたいのかという目標を決めていないとダメですね。
僕の目標は単純ですよ。ポルシェに乗りたい、それだけです(笑)。ポルシェを買うためには毎月これくらい売り上げがないとだめだな、と。
そして目標を決めたら人に話します。話すことによって、自分にハッパをかけるんですね。人に言った以上、実現させないと信用を無くしますし。そうやって動いていると、周りの人が協力してくれるようになります。「こんなサイトがあるよ」と教えてくれたり「こんな人がいるから紹介するね」とか。
自分の思いを人に言えて、甘えられて、助けられて、そうしたら達成できる。達成できたら感謝する。そんなサイクルが大事かな。できるかできないかじゃなくて、やりたいと思うことがあったら、どうやったら実現できるかを考えますね。
代理店が得するシステムで全国展開を目指す
これから実現しようと思うことは何ですか?
全国展開ですね。オリジナルブランドBRVSの代理店を全国に500店作ることが目標です。現在、代理店をやってくれる人、加盟してくれるお店を募集中です。このシステムは、代理店さんにとってはめちゃくちゃいいものなんですよ。仕入れにお金がかからないので。お客さまからユニフォームやTシャツの注文があったら「BRVS」で制作し、販売後に代金の何割かを「IKESPO金沢」に入金してもらう、というものです。
例えば、チームの代表者や指導者の方が代理店になれば、メンバーが支払ったユニフォーム代の何割かが手元に残るので、そのお金をチームの活動費に回すこともできるわけです。これをどうやって広めようか、全国の人にどうやって知ってもらおうかと、現在模索中です。
いいアイデアですね! 代理店になったらみんなが幸せになれそう。500店という目標が達成されたら、その先には何がありますか?
その後は、地元に貢献したいと思います。地元の企業とタイアップして、地域活性化の一翼を担えたらと思います。僕が構築したいのは「B to B」の良い関係なんです。いろいろな業種の人と一緒に、地元に貢献できることを考え、実行するつもりです。
取材日:2020年9月11日 ライター:松井 能子
株式会社IKESPO金沢
- 代表者名:池田 達也
- 事業内容:スポーツ用品販売、オリジナルユニフォーム制作、フットサルリーグ運営
- 所在地:〒921-8809 石川県野々市市二日市2-132
- 連絡先:TEL.076-207-5550 FAX.076-207-5551
- URL:http://www.ikespo-shop.com/
- お問い合わせ先:上記URLの「お問い合わせ」まで