コロナ禍の起業でも、「失敗したっていいじゃない!」の企業理念で!

新潟
株式会社Creative. LAB 代表取締役社長
Shugo Nakamura
中村 修吾
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2020年4月に設立した映像とWebをメインとした制作会社

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サービスの詳細はこちら→https://creativelab.biz/

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CM撮影の現場風景

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スタジオ撮影の様子

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ロケ現場の様子

2020年1月に新潟市に誕生した映像制作会社の株式会社Creative.LAB(クリエイティブラボ)。立ち上げと時を同じくして、新型コロナウイルス感染症が発生。今も世界的な混乱を巻き起こしている前代未聞の状況下で着実に売り上げを伸ばし、スタッフも増員。その成長の核には、失敗を恐れない企業理念とスタッフのやりたいことを尊重する中村修吾社長の信念がありました。

スタートアップの入念な体制作り、クリエイターと経営者両方の目で事業を運営、そして映像業界の展望など、ニューノーマルの時代をサバイブする起業一年目のストーリーを多角的に伺いました。

1年の時間をかけて、周囲を説得。同時に安定経営の基盤を作る

キャリアのスタートを教えてください。

リクルートに入社して、主に求人系フリーペーパーの営業と編集を担当しながら漠然と「起業したい」思いがありました。でも20代は「このジャンルで!」という独立してやりたいものがなかったんです。ただ広告に携わることの面白さは感じていたので、29歳のときに新潟のテレビ局のグループ企業である制作会社に映像未経験で入社して、プロデューサーとして番組作りからコマーシャル、プロモーション映像など、さまざまな映像作品作りを経験しました。

経験を重ねる中で「もっとこうしたらいいのに」と思っても、会社の方針でやりきれない部分もあり、ならば会社を変えようと思ったところでそれも簡単ではありませんでした。そこを突破したいと思うにつれて、独立を考えるようになりました。

映像の仕事のどんなところに魅了されましたか?

まず、完成した作品がいろんな人に見てもらえる仕事であること。そして「出来上がった商品・サービスを売る」ことが一般的ですが、私たちは、まだこの世にはない“未来に完成する映像”をクライアントに売るわけです。その特殊性。さらにマニアックな変わり者が多い業界(笑)というところですね。

機材がとにかく好きなカメラマンとか、こだわりの強いスタイリストさんとか、たくさんのマニアなプロフェッショナルが、いいものを作ろうと集まって、真面目な映像だけではなく、ときにはバカらしいことも真剣に追求しようと一生懸命悩んで、取り組んでいる現場はすごく楽しいです。

金融機関のCMでは、何も決まっていないところから方向性や地元アイドルの起用を提案し、オリジナルの歌やダンス、コマーシャルやプロモーション映像、CMのメイキング映像の制作と、プロジェクトがどんどん広がっていって面白かったですね。

独立を決意してから実際に退職するまでに1年ほど準備期間を設けたそうですね。

若いうちに起業したいと思いながらも、日々の忙しさを言い訳にしたり、実際会社で一番売り上げを上げていたので、他のみなさんに迷惑をかけてしまうことも心配ではありました。「会社を変えたい」という思いが起業のきっかけではありましたが、同時にたくさんの人との出会いで、「保守的な新潟県のクリエイティブを変えたい」という思いが募るようになりました。

また、昔から「カッコよくなりたい」という漠然とした思いは持っていて、自分の子供たちにそんな姿を見せていきたいなと強く思っていました。私が作ったコマーシャルが流れると踊ったりしているのを見るとうれしいし、家族や子供が後押しになりました

退職と起業の意向を会社に最初に話してから1年間、時間をかけて社内やお客さまと話し合いを重ね、40歳のときに独立。この時間を当時は「起業が遅れる」と辛く感じていましたが、今振り返るとプランを練ることができたり、結果良好な退職・起業につながったのでよかったなと思っています。

初めての経営を支えてくれた、経営理念と独立支援制度や窓口

1人で始めた会社も、徐々に企業理念に共感してくれる仲間が増えてチームになってきています!

事業内容と社内の体制を教えてください。

映像制作とWeb制作、そしてライブ配信を中心に手掛けています。立ち上げ時は私1人でしたが、10カ月経った今は私を含め5人のメンバーで活動しています。4人がプロデューサーで、1人がWebと事務の仕事を担当。実際の撮影や照明などは今までのお付き合いのある外注の方々と一緒にしています。

起業の際にやってみてよかったことはありますか?

県や市の起業の相談窓口を活用したことです。新潟だと「にいがた産業創造機構(NICO)」や「新潟市産業振興財団(新潟IPC財団)」、信用保証協会などの団体です。補助金や事業計画などの相談に乗ってもらったことですごく助かりました。新潟県は全国でも起業率がワースト1位や2位なので、自治体の手厚いバックアップがあります。

映像をプロデュースする醍醐味(だいごみ)はどこにあると感じていますか?

人に求められたものに対して方向性をつけていける、真面目なだけじゃなくて面白くするとか、トータル的に監修できて、それを形にする際に、映像、音楽、衣装やキャスティングなどいろんなプロフェッショナルを交わらせてまとめていくところが面白いですね。

企業に属している一プロデューサーから経営者になって、新しく芽生えた思いはありますか?

すごくたくさんあります。プロデューサーや制作者は仕事を完結させて完了ですが、今はさらに会社の総務や税金の処理など全てやらないといけないので、単純に仕事量は前職のときより倍以上になった感じです。

しかし経営者になって全てを決められるということは大きなメリットです。前までは「難しくても挑戦したい」と思ってもなかなかできなかったところまでやれますし、お金をかける判断も自分でできます。あと経営者になってチャレンジすることでいろんな人がついてきてくれる、そこが変わったところですね。

その分責任が生まれることと、経営者としての考え方が非常に大切だなと最初に感じました。悩む場面が非常に多いですが、悩んでばかりもいられません。決断はどのような結果になろうとなるべく早い方がいいということも学びました。

経営者という立場になって、会社経営で心がけていることを教えてください。

自社の経営理念は「楽しさの上に仕事がある!」「とにかくやってみよう!」「失敗したっていいじゃない!」「関わる人たちを大切に!」の4つです。起業前は経営理念は気にしていませんでしたが、「これから先、絶対迷うことがある。そのときになんのために会社を起こしたのか、どういう会社にしたいかという経営理念がないと、社員たちが困る」とアドバイスをもらって、そこで考え抜いて導き出しました。

例えば「失敗したっていいじゃない」は、やったことのないものに挑戦しないと、すごいものなんてできないですよね。どんどん新しいチャレンジをやっていく必要があると思うし、それには失敗はつきものです。むしろどんどん失敗したほうがいいという意味です。一生懸命やったミスはいくらしてもいいと思っています。僕自身、自分の中で一番生きていることは、失敗した経験なんですよね。だから社員を縛らないことを常に心がけています。

そして「関わる人たちを大切に」することで、フリーの方や外注の方からもアイデアをもらっていいものができるし、このスタンスだからこそ、今、営業をしてなくても仕事が入ってきているのだと思います。

映像業界へのニーズがコロナ禍で加速。地方から広がる可能性

2020年1月に起業して、法人化したのが4月。まさに新型コロナウイルス感染症が発生した時期と重なります。仕事に影響はありませんでしたか?

3月までは順調でしたが、コロナ以降はCMやイベントのキャンセルなどが多く、5月頃に一度リセットされてしまった状態でした。しかし人と会えなくなった分、Web用の動画やリクルート用の動画制作などの仕事がとても増え、そして、ライブ配信の需要も急激に増えて、当初の年度計画よりも大幅な売り上げ増が見込めています。

結果的に、映像業界への需要が加速しましたし、新しいお客さんとの出会いにもつながり、この状態でも仕事の依頼がたくさん来ることは社会に求められているという自信にもつながりました。

新潟の映像業界や制作環境はいかがですか?

保守的と言われますが、それは業界自体に見直すべきところもあるからだと思います。クリエイターが表に出てこなかったり、これだけのものが作れるということを発信してこなかったから、クライアントも分からない。だから自分たちで「こういうことができます」「こんなことをやっていきませんか」とアクションを起こしていくことが大事だと思っています。 首都圏への劣等感や憧れを業界内で感じることもありますが、地方でも首都圏でも、アイデアを出すのは同じ人間。

そしてマスメディアよりもインターネットの時代になってきます。そうするとあとは環境さえ整えられてクオリティが担保できれば、わざわざ遠くの東京の会社に依頼する必要もない。「地方」ということがネガティブな要素になることはなくなっていくと思います。

スタッフに求めるものを教えてください。

スキルよりも夢中になるものを持って、未来を見ている人を求めています。 スタッフには、スキルや経験はいくらでも勉強できるものだから、一番は夢を持って、3年後とか5年後とか10年後をイメージして取り組んでほしい。人生において働く時間は決して短くはないので、将来なりたいもの、やりたいことを諦めず、素直に挑戦してもらいたいですね。

会社はそのための環境を用意すればいいと思っているので、若い人が生き生きと働ける環境づくりに力を入れていきたいです。また、業界内だけで知られても埋もれるだけなので、皆にどんどんいろいろな業界、世の中に出て行ってほしいとも思っています。

今後の展望を教えてください。

クリエイターが活躍するプラットフォームを作りたいと思っています。そして新潟で1番の制作会社になって、7年目くらいには海外に拠点も置いて、海外展開をしたいと思っています。地方と首都圏の距離の縮まりと同じく、世界もどんどん近いものになっていくでしょう。

私は制作者として、「これを作りたい!」と強く思うものはあまりなく(その時々はあるのですが。)、スタッフが作りたいものに取り組んでいくことが楽しみなので応援したいですね。どんどん挑戦してもらえる会社でありたいと思います。

映像を志す人、地方でクリエイティブな仕事をしたいと思っている人にメッセージやアドバイスをお願いします。

映像業界は夢がある仕事だと思います。この業界に入りたいと思っている人は、まずはなんでもやってみるといい。すでに制作に携わっている人は、業界内はもちろん外の世界のいろんな人と会って、他の人がチャレンジできないような映像作りにトライして、頭角を表していってください。

全てに共通するのは、失敗した方がいいということ(笑)。失敗は怖い。ですが、なぜ私は失敗が怖くないかというと、たくさん失敗してきたから。おかげで、どんなトラブルが起きても、リカバリーできるようになりましたし、どんな要求にも応えられる自信はあります。失敗するべきということではないですよ(笑)。一生懸命に考えて真剣に取り組んだことでも、ときには失敗します。しかし、全力で挑戦して失敗することは自分の身に残り、次に生かせる能力に変わります。

私は「行動に移すこと」を大切にしています。言うだけだと何も変えられずもったいないので、その先に行けるかがすごく大事なんですよ。人生をより楽しく、より成長できるためにも挑戦する姿勢を意識してほしいです。挑戦した先に成功がありますので!

そのため、独立を考えている人は相談機関をどんどん利用することをお勧めします。法人に限らず個人事業主の場合も利用した方がいいと思います。私も相談に乗ることができますので、その際はお声かけください!

取材日:9月28日 ライター:丸山 智子

株式会社Creative.LAB(クリエイティブラボ)

  • 代表者名:代表取締役社長 中村 修吾
  • 設立年月:2020年4月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:映像制作業、Web制作業、インターネットなどの通信ネットワークおよび電子技術を利用した各種情報提供サービスならびに情報収集サービス、広告代理業および各種の宣伝に関する業務
  • 所在地:〒950-0078 新潟県新潟市中央区万代島5-1 万代島ビル11F
  • URL:https://creativelab.biz
  • 電話番号:025-240-1031
  • お問い合わせ先:上記ホームページの「Contact」より

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